その原因は、火山の噴火により火山灰が航空機の飛行ルートである高層まで達し、危険性が生じているからです。その危険性とは、火山灰が機体に高速でぶつかり、ちょうどサンドブラストのような状態で操縦席の窓ガラスをすりガラスのように磨耗してしまうこと、さらに最も危険な要素として、火山灰がジェットエンジンの中に吸い込まれ、中で熔けて排気口で冷却され付着し、排気口が塞がれて出力を低下させる恐れがあるからです。また、航空機の速度を計測するピトー管に火山灰が詰まって計測不能に陥る恐れも指摘されています。電磁波が生じて無線も通じにくくなります。
過去に火山灰によるインシデントも発生しています。1982年6月24日、マレーシアのクアラルンプールから
オーストラリアのパースに向かっていた英国航空9便のボーイング747-200は、
乗客247名乗員16名を乗せ、インドネシア・スマトラ島の南を巡航中、ジャワ島西部のグヌングン火山噴火の際に撒き散らされた火山灰により、高度11470mで
4基のエンジンが停止するという事態に見舞われた。同機は機長の冷静な判断により危機一髪でエンジンの再始動に成功し、ジャカルタ空港に緊急着陸した。
日本でも大規模噴火が懸念されている火山があり、航空機のトラブルが起こる可能性があります。気象庁によると関東の浅間山、鹿児島・桜島、口永量良部島が噴火警戒レベル3です。レベル3は、大きな噴火が発生する一ランクした下のレベルです。浅間山が大規模噴火すると、航空機の安全を確保するため、関東地区の空港は閉鎖され、日本経済に与えるインパクトは計り知れないものがあります。桜島が大噴火を起こすと関東以西は完全にマヒします。
今回の措置は、過去のインシデントを活かした判断で、止む得ない措置と思います。しっかりした安全確保に対する思想がないと、これほどまでの経済損失を被ってまで安全確保を優先することは出来ません。安全確保には一本筋が通ったポリシーが必要なのでしょう。
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