パロマ工業製のガス湯沸かし器を使用した人が一酸化炭素中毒で死亡した事故で、メーカの責任の重大さを問い、業務上過失死傷罪で、5月11日、東京地裁は元社長に禁固1年6ヶ月執行猶予3年、共犯の罪で元品質管理部長を禁固1年執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
この事件は、同社が1980年から89年に製造した湯沸かし器で1985年〜2005年に事故が28件起き、死者21人、重軽傷者36人を出した。この事故は、表面上パロマ工業とは資本関係のない契約修理業者が不正改造したために引き起こされたものですが、消費者の生命にかかわる重要な機器ということで、メーカの安全配慮義務が問われたものです。
従来の概念では、不正改造した職人だけが責任を問われると思ってしまうが、今回、重視された点は、メーカーの安全配慮義務であり、元社長が死傷事故の発生を事前に予見できたか(危険の予見可能性)、死傷者が出る結果を避ける対策を取ることができたのか(結果回避義務)であった。
「安全配慮義務の実行」とは、「災害を起こす可能性」すなわち「危険」を事前に発見し、その防止対策を講じることであり、それを怠った責任を問われている。
危険の予見の方法の一つとして、リスクアセスメントがあり、「機械の包括的安全基準に関する指針」が関係する。絶対に安全な製品を作ることは不可能であるということが基本的な考えとなっています。したがって、製品の設計をする際に予見される危険性をすべて洗い出して対策を取るリスクアセスメントを行い、かつ残留するリスクを使用者に知らさなければならない。今回、容易に不法改造できることは予見できたはずであり、実際に行われていたことを知りながら対策を怠ったことが危険配慮義務を怠ったことになります。
建設業において、危険の予見可能性についての対応は、リスクアセスメントやKY活動などが、それに当たります。したがって、リスクアセスメントは法律の面からも重要な活動といえる。
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