2010年6月16日水曜日

登山における危険源(Hazard)

ごく一般的な初心者向きの登山コースでも事故になる危険源(Hazard)は潜在しています。

低い山での事故原因は、落石、転落、落雷、道迷いからくる疲労、熱中症、降雨による低体温症、倒木、熊等の動物に襲われる、マムシに咬まれるなどがあります。事故現場を見ると、なぜこんな所で起こったのかと疑問に思いますが、逆に言えば、どんな所でも事故は起こりうるということです。

先日、丹沢の大山に登ったとき、死亡事故現場を2箇所確認しました。ここは、尾根筋にある見晴台ですが、1992年11月1日に木造四阿に落雷し、雨宿りしていた約25人の内、1人死亡、10人負傷しました。晴れている時は、大山を見ながらお弁当を食べてのんびりと休憩する所です。落雷の危険がある場合、平らな所にぽつんと建つ四阿や高い木の下は非常に危険であるということを知っていなければなりません。高い木の先端から45度の範囲の中から対比すべきです。ここの場合は林の中に逃げ込めば助かったと思われます。

ここは、おなじ大山の登山ルートで、見晴台からケーブル駅への道ですが、転落死した現場です。普通に歩いていればまず落ちることはありません。話に夢中になっていてよそ見していたか、写真を撮っていて足を踏み外したか、あるいは気分が悪くなってめまいをして転落したといか考えられません。登山ルートにすべて転落防止策を設けるのは不可能で、事故で責任を負うしかありません。

これは尾瀬の木道です。木道が雨で濡れて、その上に落ち葉が落ちている場合、歩きながらちょっとよそ見すると、ステンと見事に転びます。しかし、転んだときに両脇の杭に頭をぶつけると大事故になります。環境省の人から毎年何人かそのような人がいてヘリコプターで運ばれるそうです。何でもない安全そうな道にも危険源があります。

冬の武奈が岳です。京都の近郊にあり晴れた日は快適な雪登山を楽しめますが、吹雪になりガスに覆われると、踏み跡が識別できず方向を見失って遭難する可能性があります。最近は地図とコンパスを持たずに登る中高年登山者が多く、深田百名山の気分で登っている登山者の遭難が増えています。

登山にもリスクアセスメントは必要でしょう。安全登山の教育を受けずに登って遭難した場合、登山保険には加入できないようにする、捜索費用は全額遺族が負担するとすることも必要と考えます。

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