感電災害は、一般の作業員がうっかり触って感電するのではなく、意外と電気の知識が豊富な電気作業員が感電することが多い。
今回も同じケースでおこった。
被災者は、大学で電気工学を修め、民間企業で7年間も電気工事に従事したベテランであった。
しかし、なぜか220Vの電気ケーブルの接続部を軍手で直接ばらそうとして、充電ケーブルに触れて感電死した。夏のくそ暑い時期に、活きた電線を軍手で触るというのは、普通では考えられないことであるが、ベテランだからこそ犯す過ちであろう。意外とベテランは、低圧であれば、生きたケーブルを上手く処理することをたまにやるそうである。
今回は、分電盤はロックされていて勝手に触れないようになっていたが、ベテランが犯す「過信」というヒューマンファクターが働いて、さらに設備の不備が加わり災害に至った。
220Vの電線に1000Ωの抵抗の人間が触れると、220mAの電流が流れる。普通なら一瞬のうち弾き飛ばされ、流れる時間も一瞬でしに至ることは少ないが、握ってしまうと筋肉が硬直して離せなくなり、体内に電流が長い時間流れ死に至ってしまう。
感電は、体内を流れる電流の大きさと時間、経路によって被害の程度が大きく異なる。
人体に流れる交流電流の影響を下記のECの表で説明されている。
仮設電気作業の感電対策は、分電盤の出力部分に漏電遮断器を取り付けることです。日本国内ではIECの基準に準拠して感度電流30mAの漏電遮断器の取り付けを推奨されていますが、OSHAでは5mAを推奨しています。ただし、発展途上国では漏電遮断器はほとんど普及しておらず、入手も出来ないところがあります。
また発展途上国では、あってもかなり高価です。被災者の補償費用よりも高くなることが普及しない理由なのでしょう。
土木技術者は、電気についてあまり得意ではないことが多いです。でも最低限の知識は必要で、それが人の命、作業員の家族の幸せを確保することになるのです。決してお金で物事を測ってはいけない。
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