2011年2月16日水曜日

エンジニアのCPD

先週、日本技術士会のCPD認定技術者の更新を済ませたところです。最近の資格は、CPD(継続研鑽)が義務づけられている。

日本の資格は、一度取得すれば永久資格として有効であるが、欧米の資格では更新制度が取り入れられており、技術者及び資格の質の低下を防いでいる。日本の資格を各国と相互認証しようとしたところ、この問題が引っかかり、日本の制度を変える必要からCPDが導入されたが、まだ更新制度を取り入れる資格は少ない。また、CPD制度もペナルティー規定がなく、CPDを行わなくても資格を剥奪されることはない。

政府もやっと、昨年末に監理技術者講習の廃止を決定した。この講習は高い受講費が必要だが、大きな講堂に多人数を詰め込み、ただ座っているだけで修了証がもらえるというものであった。各学協会がCPD教育を開催している中で、国土交通省関連の団体の維持のための行事で、継続研鑽の内容から程遠かった。

技術者制度検討会(座長: 小沢一雅・東京大学大学院教授)が発表した廃止の主な理由は、
・講習会等で一律に質を確保することは困難。
・参加すれば修了証が取得できる現状は見直すべき。
・専門工事の新技術に関する講習は乏しい。
・専門技術は講習で実施する形式にはそぐわない。
・法改正等を的確に業務に反映するには、5年周期ではなく、自ら希望して必要な講習が受講できる仕組みが必要。
・ 自主性に任せつつ、監理技術者として最低限必要な法制度、施工技術等を適時に効率的に学習する機会は必要。
・自主的な取組を支援、後押しするインセンティブが必要。
・CPDと連携したしくみ(ポイント獲得が目的化しない工夫)。 
・技術力の確認のため、技術者の更新プロセスが必要。

労働安全衛生コンサルタントもCPD制度があるが、資格保有者でCPDを行っている人は少ない。米国のCSP制度をモデルにしていて、CPD250時間達成したらCSP( Certified Safety Professional )を名乗るための申請をすることができる。今のところ、CPDを行わなくてもなんら業務に支障はなく、中途半端な制度である。国際的に相互承認しうる資格にするためには、思い切って資格の更新制とCSP制度を導入すべきである。

このままでは、日本の技術士も労働安全コンサルタントもガラパコス化するのではないだろうか。国際経済の自由化の流れで、技術者の国家間移動の障壁がなくなったとき、日本はどうするのだろうか。

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