陸上で溶接作業をしていて、あやまって溶接ホルダーを握ったまま海に落ちると間違いなく死亡災害になる。
あり得ないようだが、いつ落ちてもおかしくないような足場や筏で鋼管杭の継ぎ手箇所の溶接や地盤改良船のケーシングパイプなどの修理をしているケースをよく見かける。
水中溶接ができるのだから、海に落ちても問題ないだろうと考えるのは大間違いである。水中溶接は、通常、直流電源を使用し電撃の危険性は交流電源の六分の一程度であり、溶接ホルダーも陸上用とは全く異なり絶縁性能もかなり高くなっている。しかし、陸上用溶接ホルダーは握り部分の直近が充電しており、ホルダーを握ったまま落水したとたんに感電死します。
そしたらどうしたらいいか、当然落ちないような足場や手すり、波を被らないような高さの足場にすること、絶縁手袋を着用して作業することなどです。
それでも溶接作業者が海に落ちてしまったら....そのときは運を天に任して溶接ホルダーを思い切り遠くへ放り投げるしかないであろう。人間は危険な状態に陥ると思いっきり何かを握ってしまう習性がある。それを離せというのは相当落ち着いてなければならない。水中部では充電部から同心円状に電圧が急激に降下し、50cmも離れると電圧はほとんどゼロに近くなる。そして接地の位置との関係により回路の中に入っていようと十分離れていれば問題がなくなる。
しかし、海に落ちたときのためにホルダーを遠くに投げる訓練をするのは愚の骨頂である。まずは、本質安全を図ること。すなわち溶接しなくてもよい工法を考えること、次に海中転落しないような安全な設備を設けることである。最悪のことを考える必要はあるが、まずは本質安全である。
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