国連人口基金東京事務所のウェブサイトより転載
現在、食料は先進国に十分行き渡っているが、地球温暖化が進み異常気象が発生する中で増加する人口をまかなうだけ穀物を増産することは難しいであろう。記録的なエルニーニュにより世界各地で大干ばつが発生したに1972年は、各国の穀物の生産が大幅に落ち込んだ。米国は1973年大豆禁輸措置をとった。飢餓で苦しむ人が多くいる中で米国の高官は「アメリカの消費者の夕食をまずは用意した」と語った。日本は、戦後の米国の政策により小麦、大豆、トウモロコシのほとんどを米国に頼らざる得ない状況に陥っており、少しでも米国人の満腹感を満たされないような状況に陥った場合、穀物が手に入らない事態に陥ることが予想される。
中国四国農政局ウェブサイトより転載
一方、日本の食料自給率は先進国の中で飛び抜けて低い。カロリーベースでみた食料自給率は、1972年において英国で50%、ドイツで72%、スイスで48%であったのに対し、2007年時点をみると、英国で65%、ドイツで80%、スイスで52%と向上している。一方、日本においては、カロリーベースでみて1972年に57%であったものが2010年は39%へと減少している。食料はエネルギーにつぐ国家の生命線であるため、現状の脆弱な状態は何とか改善の方向に向かわせなければならない。TPPは、日本食料安全保障のうえで逆行し、米国が利するだけで日本の穀物確保は米国の言いなりになってしまう恐れがある。まずは、ASEAN+3に参加し、アジアでの立場を確立することが重要ではないだろうか。米国に対して何もかもオープンにしてしまうのはまだ時期尚早と考える。深刻なデフレ経済から脱却できず、世界経済が益々混迷を深めていく今こそ、食料問題について真剣に考える必要がある。
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