2011年12月7日水曜日

労働安全コンサルタントの国際的認知レベル

日本の労働安全コンサルタントは、国際的にみて高いレベルなのだろうか?

米国と比べ労働安全コンサルタントの試験内容は、かなり難しく経験と基礎知識を要求することは同じであるが、日本の資格は一度取得すると永久資格であり更新制度が無いことが大きな差である。米国のCertified Safety Professional(CSP)は、5年ごとにCPDのポイントを一定基準以上取得することが条件になっている。労働安全コンサルタントは制度の上では継続研鑽としてCPDを取得することになっているが、更新制ではないためほとんどの資格者がCPDを行なっていないのが実態である。

資格更新ごとの力量の認定制度が無いこと、および大学において安全衛生、環境および技術者倫理についての認定を受けた講義が未だ整備されていないことが、米国がCSPと労働安全コンサルタントの相互認証を行ない理由だと考える。
米国の認定安全専門家委員会(BCSP:The Board of Certified Safety
Professionals)は、一部の米国以外の専門労働安全の対象者に対し、CSPの要求水準と同様の試験に合格している場合、CSP申請のプロセスでいくつかの信用を提供する協定を確立している。カナダのCanadian Registered Safety Professional (CRSP)、英国のChartered Member of the Institution of Occupational Safety and Health (CMIOSH)、シンガポールのSingapore Institute of Safety Officers(SISO)、オーストラリアのChartered Professional Member of the Safety Institute of Australia(CPMSIA)などがあげられる。

労働安全コンサルタント制度もCPDのポイントを250点以上取得すれば、CSP労働安全コンサルタントの称号を名乗ることができるという制度がある。しかし、なぜこの制度を資格者全員に義務づけ、5年ごとの更新制にしないのかが不思議でならない。

まだ労働安全の世界では、厚生労働省を頂点としたもたれ合いの古い体質が残っているのであろう。安全担当者は法の番人ではない。現場から離れた本社や支店にいて、たまに現場をまわって工事の問題点も理解せずに、ただ安衛法ではこうだから、とか社内基準だから守れと一方的に言うような安全屋はもういらない。現場の状況を理解した上でリスクマネジメントを技術者の立場で指導していくことが重要である。それには、安衛法だけでなく広い視野を持つことが重要であり、セーフティーエンジニアとして自立する必要がある。

労働安全コンサルタントはセーフティーエンジニアとして、自己研鑽を行い常に力量を向上させる必要があり、新規に更新制のあるAPECエンジニアの労働安全部門を新設してはどうかと考える。同様に労働衛生コンサルタントもAPECエンジニア(労働衛生)を新設することを提案する。

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