「ストレス」という言葉は、とかく悪いイメージがつきまとう。
日本人は、「リストラ」のように都合の悪い言葉はカタカナで言う傾向がある。よく本来の意味と違った特別な意味に使われてしまっている。
ストレスとは緊張のことで、人間はものごとに真剣に取り組むときは緊張が必要である。緊張がないと集中力に欠け十分な成果が出ないものである。しかし、心のストレスの場合はマイナスイメージばかり強調されているような気がする。英語ではMental Fatigueであり精神疲労という言葉のほうが適切であろう。
一方、職場におけるストレス性疾患は増加の一途をたどり、自殺者は1日あたり100人、自殺未遂者は1日あたり1000人に達している。ストレス性疾患のなかで、うつ病は身近な問題である。
うつ病の原因は、業務におけるストレスばかりでなく、業務外の要因および生物学的要因も関係している。とかく職場内の人間関係によるストレスばかりが注目されるが、生物学的要因である発症脆弱性も見逃せない。
過度なストレスを受けてもうつ病にかかりやすい人とかかりにくい人がいる。性格の問題であったり、ストレスの解消法が判らなかったりする場合がある。
また、組織あるいは社会全体の歪みも各個人に影響している。とくに景気の低迷は各個人に「職を失う」、「住むところを失う」リスクを伴い、自分だけは存続したいという本能が他人へストレスとなって現れていることも見逃せない。
厚生労働省よりメンタルヘルス対策について、労働安全衛生法第70条の2に基づき、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるよう「労働者の心の健康の保持増進のための指針」がだされている。
しかし社会が安定しないとメンタルヘルス対策もうまく機能しないであろう。経済的にも安定した社会を作ることが基本であるが、最後はセルフケアに頼らざる得ない。
問題が大きくならないうちに、うつ病発症脆弱性のある人へのフォローや自分自身でセルフケアをすることが必要と考える。
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