2012年2月18日土曜日

建設現場におけるヒューマンエラー

2011年9月6日夜、那覇発羽田行きの全日空140便(ボイング737−700/乗客乗員117名)が、浜松沖を飛行中、重大インシデントが発生した。機体は左に大きく傾いてほぼ背面飛行の状態になり、約30秒間にわたって約1900メートル急降下した。

原因は、副操縦士が、トイレから戻った機長のために操縦室のロックを解除するスイッチを操作しようとして、誤って尾翼の方向舵を調整するスイッチを操作したことによるヒューマンエラーであった。操作ボタンを間違って押したもので、何か考えことをしていたのか、あせっていたのか、確認を怠ったのか、詳しいことは我々には判らない。設備が簡単に間違って操作しないような人間工学的な配慮がなされていなかったことは事実である。

建設現場では、このような種類のヒューマンエラーは比較的少ない。ヒューマンエラーには、「意図しないもの」と「意図するもの」がある。前者には、人間の能力の限界や能力の特性があり、後者には、無関心行為・無視や規則違反などが含まれる。

その中でも建設現場で一番多いのは、規則違反である。「分かっているけどちょっとのことだから」とついやってしまうケースです。中には確信犯も多い。ビティ足場をよじ上ったり、脚立から飛び降りたりするなど、決められたことをしないで災害にあうことが多い。再発防止対策を検討する際に本人の過失を責めるのではなく、なぜ決められたことが守られないのかを考えなければならない。昇降口が少なくて遠回りしなければならない、早く終わって帰る支度をしたいなど作業者を規則違反に駆り立てる原因が潜在しているはずです。特にベテランほど今までの自分の力を過信し、横着をして災害にあうケースが多い。

また、建設業に従事する労働者の高齢化もヒューマンエラーの一つの要因として大きな影響がある。ヒューマンファクターの中の人間の能力の限界に当たる。

建設現場を対象にしたヒューマンエラー対策は、規則違反と高齢化に絞り込むと効果が上がるであろう。その対策は、このようなヒューマンエラーを起こす作業員の目線で解決策を立てる必要がある。ただ規則を守れというのではなく、作業しやすい環境を作って「わざわざ規則違反をしなくてもよい環境」を整備することである。どうしても設備的な対策が取れない場合は、なぜ規則どおりに行なければいけないのかを分かりやすく説明することが必要である。

さらに今後は、経験ある作業員が少なくなることから、知識不足や技量不足といった要素のヒューマンエラーも増えていくことにも注意を払わねばならない。

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