安全衛生担当者が現場巡視に行く際、最低限装備すべき個人用保護具(PPE)の代表的なものには、以下のものがあります。安全衛生担当者 は、他の者に対して見本となるべき存在であり、各現場においては下記の基準を満たしたものを装備するように指導する必要があります。(ENは欧州規格、ANSIは米国工業規格、JISは日本工業規格の略です)
とにかく、安全衛生担当者は、きちんとした服装と装備で現場に出ましょう。
- 安全靴: 土木の現場では、先芯があるもので、EN345:1992 S5、ANSI Z 41-1991、JIS T 8101 S種いずれかの基準を満足するもの。安全靴は、牛革製であることも条件になっています。また、短靴を使用する場合はスパッツを併用する必要があります。
- 保護帽: 一般作業では、EN397、ANSI Z 89.1、厚生労働省型式認定いずれかの基準を満足するもの。欧米の保護帽(飛来落下防止が主な目的)はラチェット構造で頭に固定し、顎ひもは標準装備されていません。その理由は、落下物が頭に当たった時、ヘルメットが脱落することによってエネルギーが分散し、頭への衝撃を緩和させるためです。野球のヘルメットと同じ考え方です。ただし、高所作業者は顎ひもが必要です。
- 保護めがね: EN166:2001 クラス2、ANSI Z 87.1、JIS T 8147:2003いずれかの基準を満足するもの。日本では、着用の意識が極めて希薄ですが、欧米ではヘルメットと同じような感じで着用させられます。
- 高視認性安全ベスト: EN471 クラス2、ANSI 107 クラス2の基準を満足すもの(黄色)。日本には特に規格がありません。英国では、道路工事従事者には法令で義務付けられていて、昼間でも視認性を確保する仕様になっています。欧米では、一般工事従事者も着用することが一般的になっていますが、日本では反射チョッキが一部の事業者に採用されているだけです。
- 耳栓: EN352、ANSI S3.19、JIS T 8161いずれかの基準を満足するもの。
- 使い捨て式防塵マスク: EN149(FFP2)、NIOSH認定(N95)、厚生労働省大臣型式検定(DS2)のいずれかの基準を満足するもの。風邪用マスクは、防じんマスクには適しません。
- 手袋:皮手袋は、EN388:2004 の基準を満足するもの。その他作業状況に応じた手袋を使用する。綿製軍手は、回転する機械工具で使用すると巻き込まれる恐れがあり危険です。
- フルボディーハーネス: EN358/EN361、ANSI Z 351、「安全帯の規格」(厚生労働省告示第38号平成14年2月25日)のいずれかの基準を満足するもの。欧米では、胴ベルト型安全帯は一般作業では使用禁止になっています。その理由は、胴ベルト型の場合、墜落した時の身体への衝撃が大きく、内臓破裂になるケースもあることから、墜落しても身体を守る思想が貫かれています。
- 救命胴衣: EN395、USCG、国土交通省小型船舶用救命胴衣の型式承認試験基準(Type-A)のいずれかの基準を満足するもの。
- ホイッスル: 巡視中に作業員に危険が迫っているのを発見したとき、または自分自身に危険が迫ったときにまわりに知らせる必要があります。
とにかく、安全衛生担当者は、きちんとした服装と装備で現場に出ましょう。
1 件のコメント:
反射チョッキ(Safety vest)は安全のために必要な設備だと思います。
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