日本経済は、デフレ経済から脱却できないでいたところに、東日本大震災、福島第一原子力発電所による放射能汚染と電力不足、ドル安に絡む超円高の三重苦に直面する事態に陥った。輸出関連企業を中心に危機感が一段と強まっており、超円高がこのまま続けば、生産拠点の海外移転と国内産業の「空洞化」が加速すると予想される。9月以降の内閣改造後、増税も予想され企業や国民の負担がさらに重くのしかかる。
世界は、経済自由化の流れに乗って、韓国やASEAN諸国は自由化促進し経済を活発化させているが、日本は農業団体や建設団体が外資の国内乱入をかたくなに拒んできた経緯があり、いまのところ自由化には二歩も三歩も遅れを取っている。このままでは日本経済は孤立し、生産拠点の海外移転と国内産業の「空洞化」の加速度がさらに増すであろう。
国内産業の「空洞化」は、「技術の空洞化」にもつながる。ベテラン技術者の大量退職の時代を迎え、すでに技術の伝承が大問題となっている現状が更に悪化することが予想される。理科系離れが進み、国内のモノづくりが軽視されている。このままでは日本でモノをつくらなくなり、今ある先進技術は海外に流出していくであろう。
これは国の将来に危機的なことであるのに政府は無策である。いくら中国やASEAN諸国が世界の工場になったといえ、アメリカやEU諸国では今もモノづくりをやめていない。発展途上国ではできないモノづくりを行ない新しい産業を育てて技術者を育成することがこれからの日本にとって重要なことである。
そして国内の需要が急激に縮小するような産業、特に建設業は海外に出るしかない。韓国が通貨危機により国内経済が壊滅状態になったとき、建設業者は海外に出ざる得なかった。しかし、今では世界のトップ企業と肩を並べるまでになり、技術者も国際的に戦える状態まで成長した。それには、韓国政府のバックアップもあり、国内の仕組みの国際化を進めた結果である。
現在の日本の建設業は商社化してしまって、技術者の技術力が非常に低下している。効率化ばかり求めるのではなく、もう一度自らが機械や道具を使って技術を磨くべきである。いわゆる直営化の復活である。この技術力が伴わない限り海外へ進出して利益を上げることは無理である。
技術の空洞化を解消する方法は、技術者が身体を汚して働く泥臭いことからしか解決し得ない。
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