2012年2月18日土曜日
建設現場におけるヒューマンエラー
原因は、副操縦士が、トイレから戻った機長のために操縦室のロックを解除するスイッチを操作しようとして、誤って尾翼の方向舵を調整するスイッチを操作したことによるヒューマンエラーであった。操作ボタンを間違って押したもので、何か考えことをしていたのか、あせっていたのか、確認を怠ったのか、詳しいことは我々には判らない。設備が簡単に間違って操作しないような人間工学的な配慮がなされていなかったことは事実である。
建設現場では、このような種類のヒューマンエラーは比較的少ない。ヒューマンエラーには、「意図しないもの」と「意図するもの」がある。前者には、人間の能力の限界や能力の特性があり、後者には、無関心行為・無視や規則違反などが含まれる。
その中でも建設現場で一番多いのは、規則違反である。「分かっているけどちょっとのことだから」とついやってしまうケースです。中には確信犯も多い。ビティ足場をよじ上ったり、脚立から飛び降りたりするなど、決められたことをしないで災害にあうことが多い。再発防止対策を検討する際に本人の過失を責めるのではなく、なぜ決められたことが守られないのかを考えなければならない。昇降口が少なくて遠回りしなければならない、早く終わって帰る支度をしたいなど作業者を規則違反に駆り立てる原因が潜在しているはずです。特にベテランほど今までの自分の力を過信し、横着をして災害にあうケースが多い。
また、建設業に従事する労働者の高齢化もヒューマンエラーの一つの要因として大きな影響がある。ヒューマンファクターの中の人間の能力の限界に当たる。
建設現場を対象にしたヒューマンエラー対策は、規則違反と高齢化に絞り込むと効果が上がるであろう。その対策は、このようなヒューマンエラーを起こす作業員の目線で解決策を立てる必要がある。ただ規則を守れというのではなく、作業しやすい環境を作って「わざわざ規則違反をしなくてもよい環境」を整備することである。どうしても設備的な対策が取れない場合は、なぜ規則どおりに行なければいけないのかを分かりやすく説明することが必要である。
さらに今後は、経験ある作業員が少なくなることから、知識不足や技量不足といった要素のヒューマンエラーも増えていくことにも注意を払わねばならない。
2011年5月25日水曜日
災害における正常化バイアス
2011年3月23日水曜日
スリーマイル島・原発事故
この事故は、ヒューマンエラーが引き金になっている。
スリーマイル島原子力発電所は2つの原子炉を有し、事故を起こした2号炉は加圧水型原子炉(PWR)で電気出力は96万kWであった。東京電力の原子炉(沸騰水型原子炉 BWR)とは異なり、関西電力と同じ形式の原子炉である。
スリーマイル島原発の2号炉は、事故を起こすちょうど1年前に臨界に達して定格出力の97%で営業運転中であったが、当初から小さな故障が続発していた。
もともと原子炉を運営していた電力会社の経営状態が思わしくなく、いちいち小さな故障に対してその都度原子炉を停止するようなことは行わず、だましだまし運転し安全意識もかなり低下していた。その中で重大なのが、加圧器逃がし弁の不調である。この弁は、1次冷却系の圧力が高まったときに自動的に開いて冷却水を放出するものだが、圧力が低下した後も閉じないで「開固着」しやすい状態にあった。
2次系の復水器の脱塩装置にあるフィルターが目詰まりを起こしため、当直のオペレーターは、圧搾空気を送り込んで解消しようとしたが、その作業の際に、溢れた水が弁を操作する部分に入ってしまい、2次冷却水を循環させる配管の弁が閉じたため、自動的に二次冷却水の主給水ポンプも停止することになった。この時点が、スリーマイル島原発事故の出発点と考えられる。
そのため蒸気発生器への二次冷却水の供給が行われず、除熱が出来ないことになり、一次冷却系を含む炉心の圧力が上昇し加圧器逃し安全弁が開いた。
このとき弁が開いたまま固着し圧力が下がってもなお弁が開いたままとなり、蒸気の形で大量の原子炉冷却材が失われていった。
この結果、冷却水が循環する過程でわずかに行われていた除熱がほとんど不可能になり、開きっぱなしになっていた安全弁から500トンの冷却水が流出し、燃料棒は炉心上部3分の2が蒸気中に露出してしまった。こうなると、熱の逃げ道がなくなって炉心が過熱し、最終的には溶融を始める(炉心溶融)。さらに、被覆材として用いられていたジルコニウムが溶け出し、これが水と化学反応を起こして水素ガスが発生して、水素爆発の危険が高くなる。もし、高熱や水素爆発によって原子炉の格納容器が破壊されると、放射性物質が大量に周辺にまき散らされることになり、もはや状況は大惨事の一歩手前まで差し迫っていた。ただし、1989年の調査では、圧力容器に亀裂が入っていたことが判明している。
このため周辺住民の大規模避難が行われた。その後、運転員による給水回復措置が取られ、事故は終息したが、炉心溶融で、燃料の45%、62トンが原子炉圧力容器の底に溜まった。給水回復の急激な冷却によって、炉心溶融が予想より大きかった。
放出された放射性物質はヨウ素555GBq(15キュリー)など、周辺住民の被曝は0.01 - 1mSv程度であり、住民や環境への影響はほとんど無かった。
スリーマイル島原発事故は、国際原子力事象評価尺度(INES)はレベル5としてIAEAに登録されている。現在の福島第一原子力発電所1〜3号機の事故について、経済産業省原子力安全・保安院は、暫定評価としてレベル5と報告している。ちなみにチェルノブイリ原発事故は最も深刻なレベル7であった。
2010年11月3日水曜日
ヒューマンエラーとエラーチェイン
2010年9月15日水曜日
自らヒューマンエラー
2010年3月24日水曜日
テネリフェの悲劇
「機長の真実 〜墜落の責任はどこにあるのか〜」(著者:デービッド・ビーティ、訳者:小西 進)でヒューマンファクターについて詳しく説明されています。
以下に内容を抜粋します。
1977年3月27日、スペイン領グラン・カナリア島、ラス・パルマス空港乗客ターミナルで爆弾が爆発した。二つ目の爆破予告も受けていた。空港は直ちに閉鎖されたため、このとき、ラス・パルマスに向かっていたる航空機のなかにロサンゼルスからのパンアメリカン航空1736便とアムステルダムからのKLMオランダ航空4805便のボーイング747型機がいた。
KLM4805便は13時38分、テネリフェの滑走路に着陸したが、空港は臨時着陸の飛行機でいっぱいになりはじめていた。天候は良好だった。その37分後にパンナム機が着陸したが、エプロンはすでにふさがっており、何機かは誘導路上に駐機していた。KLM4805便は滑走路の先端付近に駐機しており、その後ろにボーイング737、727、C8がいた。パンナム機はその後ろに駐機した。
すでにフラストレーションと疲労が重なっていた。時間に迫られ、早く出発したいという願いから、KLM機長は最初、乗客を機内にとどめていたが、その後乗客を降ろした。パンナム機長のほうは乗客を機内にとどめたままだった。
ラス・パルマス空港が再開され、管制機関がパンナム機に出発許可を出したとき、クルーは滑走路に向かう通り道が、KLMジャンボ機にふさがれているのに気がついた。それ以上時間を無駄にしたくないので、副操縦士と航空機関士が飛行機を降り、KLMジャンボ機と他の飛行機の間隔距離を測りに行ったが、安全にすり抜けるのは無理だと認めざる得なかった。
KLM機の乗客がターミナルからバスで戻りはじめたが時間がかかり、1時間後、KLM機が管制塔を呼び出し、出発予定時刻の確認と燃料を追加した。ラス・パルマス空港で燃料補給をせず、アムステルダムに折り返す時間を節約しようとした。
KLM機はようやくエンジン始動の許可を取り、そして滑走路へ移動を開始した。やっと動きがとれるようになり、パンナム機もあとにつづいた。天候は悪化し、深い霧に覆われた。KLM機は滑走路を逆走する許可を求め、管制官もそれを認め、三つ目の誘導路で滑走路を開けるように指示した。副操縦士は聞き間違えて「最初の誘導路」と復唱してしまったが、管制官が指示を変更した。KLM機は滑走路を先端まで逆走し、先端で、180度旋回して機種を離陸方向に向けることになった。副操縦士は管制指示を復唱したが、機長は視界が悪く地上移動に集中するあまり、無線のやりとりはほとんど聞いていなかった。
一方、パンナム機も同じ滑走路を逆走し、三つ目の誘導路で滑走路を出るように指示を受けていた。両機とも管制官の強烈なスペイン語なまりの英語の指示に手こずっていた。パンナム機は霧と疲れから3番目の誘導路を行き過ぎてしまった。
KLM機は首席教官である機長と95時間しか飛行経験がない副操縦士の組み合わせであり、副操縦士は機長に対しものを申す環境ではなかった。機長が180度旋回の操作を完了したとき、副操縦士は航空路管制承認を取ろうとしているところであった。それにもかかわらず、機長はスロットルを開きはじめた。副操縦士がちょっと待つように機長に言ったが早く飛び立つことに気持ちが集中していた。依然視界が不良でパンナム機が見えない。副操縦士が管制承認を復唱途中で、機長は離陸を開始した。
管制官が、「オーケー...(1秒間の沈黙)...離陸は待機されたい。後ほど指示する」と指示したが、その沈黙の瞬間、パンナム機が自分の所在を明らかにしようと割って入った。しかし、無線は混信してキーという雑音となってしまった。
管制官がパンナム機に「滑走路を明け渡したとき通報するように」というやり取りをしているのをKLM機の航空機関士が聞いて機長に疑問を投げかけたが、機長の思い込みに打ち消されてしまった。
その後、KLM機は離陸決定速度に達し離陸したが、目の前に現れたパンナム機の後部胴体の上を滑って破壊し、150M先に落ち、爆発炎上した。KLM機は248名全員が死亡し、パンナム機は335名が死亡した。
その後の調査で事故原因はヒューマンファクターに絞り込まれた。そのうち特定されたものは、疲労、重責、強迫観念、フラストレーション、時間の制約、操縦室内での権威、乗客を喜ばせたいという願望などがあげられた。
時間的予測ができないという要因、事態の展開が不確実という要因が加わり、そしてその他複数のヒューマンファクターが複合的に絡み合い、そのエラーチェーンを断ち切ることができなかったことが悲劇につながった。
ヒューマンファクターを本人の問題で片付けては何の解決にもならない。エラーチェーンを断ち切るための設備や業務要領の改善が必要になるでしょう。
2009年12月26日土曜日
物忘れ・失念による事故
しかし、あることに集中していると元のことをすっかり忘れてしまう場合があります。朝雨が打っていて傘をかけて出社したが、昼から晴れて帰るときにはすっかり傘のことを忘れてしまっていることは誰もが経験することです。
先日、インドネシアのある現場で、場外ヤードからクローラクレーンをトレーラーで現場内に回送しているとき、現場に到着してオペレーターが降ろす準備をするためクローラクレーンの旋回ロックを解除した。しかし、現場内が混雑していて降ろすことができず、すぐに元の場所に戻すように指示された。トレーラーはすぐに方向転換してもと来た道を戻ったが、クレーンオペレーターは旋回ロックを忘れたため、途中のカーブでクレーンが旋回しトレーラの荷台からずれ落ちました。自分の考えていることと違うことを他人から急に言われると、最初に考えていたことを記憶の中から完全に外してしまいます。
典型的なヒューマンファクターの失念による事故(インシデント)です。
安全管理をする上で、このようなケースは「本人の不注意」のヒューマンエラーで片づけてしまってはいけません。誰もが陥るヒューマンファクターを想定した対策を取る必要があります。戻るように指示した者も無責任にただ戻れというのではなく、その場で再度クレーンをトレーラーで回送する際の確認を自ら行うか、確認するように担当者に指示すべきです。
対策は、鉄道等で採用されている「指差し確認」やお互いの「声掛け確認」などがありますが、建設工事ではあまり普及していません。出発時に使ったチェックリストを再度確認する習慣をつけ、「指差し確認」で確認を行ってから次の行動に移るのが最も良いと思います。また、指示を出す人も相手の身になって声を掛けることも必要です。思ってもいなかったことを急に指示されると、極度のストレスにもなり脳の反応が途切れてしまいます。
年をとると自然に物忘れが多くなり、さらに瞬間的なストレスが加わると失念によるヒューマンエラーの確率が高くなります。周りの人たちのコミュニケーションとヒューマンファクターを考慮した安全管理の仕組みを作るしかありません。
2009年8月24日月曜日
電車運転中の盗撮行為
2009年6月25日木曜日
ケータイ依存症に注意
2009年3月14日土曜日
疲労とヒューマンエラー
簡単にヒューマンエラーを原因にして、組織の管理は問題なかったとし片付けてしまうものです。
これはとんでもない間違いで、このような対応を取っても災害は無くなりません。
ヒューマンエラーの背後要因を見つけ出し、組織的な欠陥を是正しなければなりません。
また、ヒューマンエラーは、人間が本来持つ特性であるヒューマンファクターに起因しています。
また、疲労が蓄積したとき起こしやすくなります。そこで、一般的に人間はあるリズムで眠気を感じ、疲労を覚えます。一日のうちでは、15時頃が最大のピークになります。その他にも10時、深夜にもピークがあります。年間を通じると、8月が最大のピーク、そして4月のピークです。食後では、3時間経過した時に最大のピークを迎えます。
逆に言えば、このピークに一人作業や車の運転は絶対避けた方がよいでしょう。ここ数年、災害発生が安全週間の7月よりも8月に多く発生しています。このような人間の特性を作業計画に組み込むことにより災害を減らすことができます。
安全担当者は、一人で車を運転してパトロールにいくことが多くなりますが、現場で起きる災害のリスクより、車を運転して交通事故に合うリスクの方が高く感じます。
ひとごとではありません。
2009年3月5日木曜日
ナチュラル・キラー細胞
その理由の一つに、ナチュラル・キラー細胞があります。
ナチュラル・キラー細胞(以下NK細胞という)は、白血球を構成するリンパ球の一つです。若い人でも、健康な人でも身体の中では1日約3000~5000個のがん細胞が発生し、それらのがん細胞を破壊するのがNK細胞です。生まれついての殺し屋で、殺傷力が高く、常に体内をパトロールしてがん細胞やウイルス感染細胞を見つけると単独で直接やっつけてしまいます。
NK細胞の活性を高めるには
1) 喫煙を控える
2) 適度の飲酒を心がける
3) 質の良い睡眠を取る
4) 無理のない適度な運動をする
5) 笑う
6) 充分な休養などでストレスをためない
7) 体温を下げない
8) バランスの良い食事を心がける
ここで最も効果的なのが笑うことです。
職場において大声で笑える環境をつくることが、心身とも健康を保ち作業の能率向上に効果が上がります。そのための方法は、「声掛け運動」の推進が最適です。
明るく、楽しく、おもろい現場を目指しましょう。
2009年2月21日土曜日
エラーチェーンとSHELモデル
確かにこれまでの後追い型安全管理から、先取り型の予防安全に方向転換する効果的な方法です。
しかし、リスクアセスメントではヒューマンエラーに関することをうまくフォローすることができにくいように感じます。これからの安全管理はリスクアセスメントとヒューマンエラー対策及び従来型の法令順守を両立させる方法が必要ではないでしょうか。
今までのヒューマンエラー対策の指導書は、錯覚や近道行為などの事象ばかり説明されていましたが、原因を背後要因まで掘り下げ対策を立てることが少なかったような気がします。
ヒューマンエラー対策で最も進んでいるのが航空業界です。ヒヤリ・ハットや不具合事象、事故などが起こった場合報告をしてそのデータを業界で共有する仕組みができているそうです。また、国際ルールでヒヤリ・ハット報告者に対して人事評価の対象としてはならないと言う決まりも明確になっています。
航空業界で採用しているヒューマンエラーの分析と再発防止対策の手法として、「エラーチェーン」と「SHELモデル」による分析があります。
詳しい内容を知りたい方は、ANAラーニング㈱(全日空の子会社)が主催する「ヒューマンエラー対策セミナー」を受講してください。
ANAラーニングのホームページ
http://www.analearning.com/