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2013年1月9日水曜日

建設現場の新規入場者教育

新規入場者教育は、建設現場のルールを作業員に直接伝える絶好の機会です。
どこの現場でも新規入場者教育を行い、現場の安全衛生方針や計画、現場規則、作業手順などを元請職員が直接説明していることと思います。
安全教育を30分以内で済ませるところもあれば、半日かけて実施するところもあり、現場の事業規模に応じて様々です。

しかし、どんなに親身になって説明しても、作業手順を守らない作業員、法違反を犯す作業員がいます。また、健康の不具合を偽って重労働についたりするケースもあります。このような申告は本人の良心に任せるしか手はありません。新規入場者教育を実施したからと言って、全員がそれを守ってくれるわけではないということを肝に銘じておく必要があります。

建設現場におけるヒューマンエラーは、危険であることやルール違反であることを知っていながら危険な行為を起こすことが多いです。製造業や交通機関のヒュウーマンエラーとは少し内容が違います。

現場の安全文化が低いと作業員は危険を冒しても得られる価値(効用・リターン)が大きければリスクのある行動を取る傾向にあります。作業員にリスクを過小評価しないような意識を新規入場時に植え付ける必要があります。

新規入場時教育をまだ経験の浅い若手元請職員や協力会社職長に任せ放しにしていたり、ごく短時間で形式的にやっていると、ルール違反の誘惑が芽生えやすくなるでしょう。

そこで元請職員は、新規入場時から作業員とコミュニケーションをとる努力が必要です。近頃の元請職員は、一日中パソコンとにらめっこして現場にも出ないことが多く、これでは災害が減らないでしょう。

コミュニケーションを築くには初めが勧進です。新規入場者教育は教育の中でも重要な役割を担っています。

2011年12月7日水曜日

労働安全コンサルタントの国際的認知レベル

日本の労働安全コンサルタントは、国際的にみて高いレベルなのだろうか?

米国と比べ労働安全コンサルタントの試験内容は、かなり難しく経験と基礎知識を要求することは同じであるが、日本の資格は一度取得すると永久資格であり更新制度が無いことが大きな差である。米国のCertified Safety Professional(CSP)は、5年ごとにCPDのポイントを一定基準以上取得することが条件になっている。労働安全コンサルタントは制度の上では継続研鑽としてCPDを取得することになっているが、更新制ではないためほとんどの資格者がCPDを行なっていないのが実態である。

資格更新ごとの力量の認定制度が無いこと、および大学において安全衛生、環境および技術者倫理についての認定を受けた講義が未だ整備されていないことが、米国がCSPと労働安全コンサルタントの相互認証を行ない理由だと考える。
米国の認定安全専門家委員会(BCSP:The Board of Certified Safety
Professionals)は、一部の米国以外の専門労働安全の対象者に対し、CSPの要求水準と同様の試験に合格している場合、CSP申請のプロセスでいくつかの信用を提供する協定を確立している。カナダのCanadian Registered Safety Professional (CRSP)、英国のChartered Member of the Institution of Occupational Safety and Health (CMIOSH)、シンガポールのSingapore Institute of Safety Officers(SISO)、オーストラリアのChartered Professional Member of the Safety Institute of Australia(CPMSIA)などがあげられる。

労働安全コンサルタント制度もCPDのポイントを250点以上取得すれば、CSP労働安全コンサルタントの称号を名乗ることができるという制度がある。しかし、なぜこの制度を資格者全員に義務づけ、5年ごとの更新制にしないのかが不思議でならない。

まだ労働安全の世界では、厚生労働省を頂点としたもたれ合いの古い体質が残っているのであろう。安全担当者は法の番人ではない。現場から離れた本社や支店にいて、たまに現場をまわって工事の問題点も理解せずに、ただ安衛法ではこうだから、とか社内基準だから守れと一方的に言うような安全屋はもういらない。現場の状況を理解した上でリスクマネジメントを技術者の立場で指導していくことが重要である。それには、安衛法だけでなく広い視野を持つことが重要であり、セーフティーエンジニアとして自立する必要がある。

労働安全コンサルタントはセーフティーエンジニアとして、自己研鑽を行い常に力量を向上させる必要があり、新規に更新制のあるAPECエンジニアの労働安全部門を新設してはどうかと考える。同様に労働衛生コンサルタントもAPECエンジニア(労働衛生)を新設することを提案する。

2011年11月2日水曜日

室内安全教育の改善

災害などが発生した後、かならず安全衛生教育を行って再発防止の徹底を図っている。また、災害が発生した時は、誰もが二度と災害を発生してはならないという意識が高まるが、時間が経つに従って災害の記憶が徐々に薄れ、安全意識も低下してくる。そのために、定期的に安全教育を行って、安全意識の再度引き上げを図っている。安全意識を向上させるためにも安全教育は必要ということが判る。

しかし、効果的に安全意識を引き上げ、それを長い間持続できるようにする教育となると非常に難しい。ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線によれば、通常の人間は講義で学習したことを20分後には42%忘却し、1時間後には52%忘却し、1日後には74%忘却するとしている。

最近は、パワーポイントを使った講義方式の教育が多いが、パワーポイントは講義をする側にとっては、非常に楽に講義が行える反面、受ける側にとっては、画面が次々に変わっていき、全く記憶に残らない。また、教える項目があまりにも広範囲で量的に詰め込み過ぎる場合も、全く記憶に残らない。特に、パワーポイントを使った安全教育は、ヘルマン・エビングの忘却曲線以上に忘却すると思われる。
発言機会が少なく、メモを取らなくて済み、ただ受動的に聞いているためこのようになるのであろう。

また、参加型のグループ討議は、積極的に参加したものにとっては多少内容が記憶に残る。ただし、グループが大人数になると、そのグループの中で受け身になって発言しない者、グループでの発表内容を、結論からつくっていって討議を簡単に済ましてしまおうとするグループ(要領のいい人達)、グループ討議が間違った方向に向いていても講師の技量不足でそのままにしてしまい、目的に会った研修ができない場合等の問題がある。

安全教育は、出来る限り少人数で、受講者が他の受講者と意見をぶつけ合う形をとれば、その内容については強く記憶として残るであろう。講義は、議論を戦わせるための導入としての知識の提供に留める。そして、講師には、議論を旨く導く技量が必要になる。パワーポイントの講義は、資料を用意しておけばそれを説明するだけで終わるが、議論を上手く誘導するにはシナリオがないので、いろんなケースについて予め勉強しておかなければならない。

最近、上手く行ったケースとして、簡単な話題を2人で意見をぶつけ合い、結果の発表は求めない、というやり方で、このケースは絶対に受け身で入られない。結論をまとめる必要がないので遠慮無しに自分の意見を出すことが出来る。問題解決をグループ討議で行い意見をまとめる場合でも、あえて3人のグループにしてみると、全員がよく意見を出すようになった。

室内でも安全教育について、改善をしていきたいが、いい方法があったら教えて頂きたい。

2011年4月20日水曜日

効果的な送り出し教育

大手ゼネコンより、協力会社として一部作業を請け負うとき、従事する従業員に「送り出し教育」を実施するように指導されることが多い。

元請会社から基本的な資料を渡され、それに基づいて協力会社が従業員に教育をすることになっているが、本当にどこまで真剣に教育して従業員を送り出しているのかは、その場にいないので正確なことはわからないがどうも疑わしい。書類だけ作成して元請会社に提出しているのではないだろうか。

送り出し教育は書類を作成するのが目的ではなく、立派な書類を求めるのは間違っている。
建設現場には多くのハザードがあり、労働者が守るべきルールも多くある。それを、事業者の責任だからといって何から何まで教育したように書類で残すのはどうかと思う。労働者は多くのことを書類で指導されてもほとんど頭の中に残らないであろう。ただ最後に受講のサインをするだけである。

効果的な教育をするには危険のポイントを絞り込む必要がある。その一つの方法としてミニマム・スタンダードというのがある。ミニマム・スタンダードとは、大学生に学内の規律として「これだけは最低限守りましょう」ということに使われている。

従業員にあれもこれも守れというのではなく、その現場の作業における特有のハザードに対して、もっとも重点管理対策とすべき項目を3点だけ絞り込んで教育する。この考え方はリスクアセスメントにおける管理策の優先順位と同じである。リスク評価などの形式的なことはせず、過去の経験から3点を絞り込むことで十分である。そして現場からの意見をフィードバックして見直していけばよい。

安全教育も簡略にすることで効果が上がると考える。けっして責任回避を考えてあれもこれもと言わないことだ。

2011年2月16日水曜日

エンジニアのCPD

先週、日本技術士会のCPD認定技術者の更新を済ませたところです。最近の資格は、CPD(継続研鑽)が義務づけられている。

日本の資格は、一度取得すれば永久資格として有効であるが、欧米の資格では更新制度が取り入れられており、技術者及び資格の質の低下を防いでいる。日本の資格を各国と相互認証しようとしたところ、この問題が引っかかり、日本の制度を変える必要からCPDが導入されたが、まだ更新制度を取り入れる資格は少ない。また、CPD制度もペナルティー規定がなく、CPDを行わなくても資格を剥奪されることはない。

政府もやっと、昨年末に監理技術者講習の廃止を決定した。この講習は高い受講費が必要だが、大きな講堂に多人数を詰め込み、ただ座っているだけで修了証がもらえるというものであった。各学協会がCPD教育を開催している中で、国土交通省関連の団体の維持のための行事で、継続研鑽の内容から程遠かった。

技術者制度検討会(座長: 小沢一雅・東京大学大学院教授)が発表した廃止の主な理由は、
・講習会等で一律に質を確保することは困難。
・参加すれば修了証が取得できる現状は見直すべき。
・専門工事の新技術に関する講習は乏しい。
・専門技術は講習で実施する形式にはそぐわない。
・法改正等を的確に業務に反映するには、5年周期ではなく、自ら希望して必要な講習が受講できる仕組みが必要。
・ 自主性に任せつつ、監理技術者として最低限必要な法制度、施工技術等を適時に効率的に学習する機会は必要。
・自主的な取組を支援、後押しするインセンティブが必要。
・CPDと連携したしくみ(ポイント獲得が目的化しない工夫)。 
・技術力の確認のため、技術者の更新プロセスが必要。

労働安全衛生コンサルタントもCPD制度があるが、資格保有者でCPDを行っている人は少ない。米国のCSP制度をモデルにしていて、CPD250時間達成したらCSP( Certified Safety Professional )を名乗るための申請をすることができる。今のところ、CPDを行わなくてもなんら業務に支障はなく、中途半端な制度である。国際的に相互承認しうる資格にするためには、思い切って資格の更新制とCSP制度を導入すべきである。

このままでは、日本の技術士も労働安全コンサルタントもガラパコス化するのではないだろうか。国際経済の自由化の流れで、技術者の国家間移動の障壁がなくなったとき、日本はどうするのだろうか。

2010年9月29日水曜日

現場建設技術者のレベル低下

最近、東京で作業所長クラスに対する集合教育を行ったが、現場技術者のレベル低下が甚だしく嘆かわしい限りであった。
まず、現場における問題意識を常に持っていないことである。会社の経営の最前線にいるはずの当事者が、何も問題を感じていない。講習会の場で新たに考えて発表した問題点も、作業所長として考える内容でなく、一若手担当者と同じレベルである。日本の建設産業は、護送船団方式で国土交通省などの発注官庁の言うとおりにしていれば良かった。また現在は工事成績評価の項目にしたがって、点数が上がるように施工すればよい。いわばレールに乗ったことしか考えず、自分で何か新しい方法で切り開こうという意志がまるでない。
そして、自分の意志を表現するのがきわめて下手で、何を言おうとしているのかまるで分からない。自分の考えがないから自分の意志を表現することができないのかもしれないが、人に説明することが苦手になってきている。日頃はパソコン相手に仕事をしているため、雑談はできるが、物事を筋道立てて説明するという会話力が育たないのであろう。これほどまで自己表現力がなければ、協力会社にも自分の意志が伝わらないであろう。
草食男子が多くなったのと関係あるのだろうか。グループ討議になってもリーダーシップを発揮することができない。最悪なのは要領よく発表レポートをまとめあげてしまおうとすることである。討議するのではなく答えを先に考えてそれに旨く結びつくように発表を簡単に作ってしまおうとしてしまうことである。だから真剣に意見交換するのではなく、お互いにレポートを作ることに専念しているのである。
多分現場でも同じようなことをしているのであろう。現場全体で議論するようなことはせず、ひたすら答えを探し求め、それを部下や協力会社に旨く説明もせずに押し付け、結局内容が伝わらず手戻りが発生し、部下の責任にしたり協力会社の責任にしたりしているのではないだろうか。
大学学部生のレベル低下は以前から指摘されているが、今では大学院生のレベル低下、強いては社会人のレベル低下に波及してきている。このような状態が続く限り、日本の建設業に未来はないであろう。日本の建設会社の技術レベルも韓国に抜かれて久しいが、このままでは完全に国際社会からも取り残されるであろう。EUのように突然国境が無くなったとき、日本の建設技術者はどうするのだろうか......日本の建設産業にも黒船が必要だろう。

2009年12月22日火曜日

安全帯使用の訓練

危険感受性訓練として安全帯の使い方の実地訓練があります。

二丁掛ランヤードは、慣れないとなかなか上手く使えません。慣れるために現場に訓練施設を作り、一人ひとり実際に安全帯を使用するのが効果的です。胸のD環にリクラクティング・ライフライン(セフティブロック)のフックを掛け垂直ラダーを登り、水平ライフラインにランヤードのフックを掛け、リクラクティング・ライフラインのフックを外して、残りのランヤードのフックを水平ライフラインに掛ける。そして水平移動して元に戻る訓練を何回も行います。 我々安全担当者も言うのは簡単ですが、いざ自分が行うとなると、なかなか身体がついてきません。

  今後さらに改造を加え、ロリップを使った昇降や、フルボディ・ハーネスでぶら下がってみる訓練、人形を落としてみるなど行って、危険感受性を高める必要があります。
フルボディ・ハーネスの場合、ランヤードを使わない場合の収納に工夫が要ります。だらんと垂れ下げると足に絡まったり、突起に引っ掛かったりします。実地訓練をすると足に絡みそうになったりする失敗も見受けられます。
広い場所がない場合、入り口に単管パイプを水平に連結して、ランヤードをそこに掛ながら入り口を通過して安全帯に慣れるようにしているところもあります。当たり前のようでも、基礎からもう一度使い方を確認するのは、安全意識を高める上で非常に効果が上がると思います。

2009年12月3日木曜日

危険感受性向上教育に玉掛実技訓練が有効

現場で室内での安全教育のほかに、野外で実機を使った玉掛の実技教育訓練を行いました。
もちろん、訓練する職員は無資格者ですが当該国にしかるべき資格保有者を配置しての訓練です。
実施したのは、シンガポール、ベトナム、インドネシアの現場で、使用した移動式クレーンはトラッククレーン25t吊り〜クローラクレーン150t吊りです。吊り荷は鋼管500kg、L=3.0mなどです。
ここで共通した現象が現れました。それは、
1)職員がその現場またはその国の玉掛け合図を理解していないこと。
2)玉掛け合図がみんなバラバラであること。
3)玉掛合図者が指示をしないのに勝手に吊り荷に手を出してしまうこと。
4)補助者が勝手にオペレーターに合図を出してしまうこと。
5)退避指示および確認を省略してしまうこと
などがあげられ、なかなか吊り荷の重心にフックをあわせることができず苦心している状態でした。
この現象が人間がつい無意識のうちに行ってしまう減少で、実際の作業においても現れています。
職員が実際に自分が行ってみて、何が危険で、何が問題か実感することが目的で、危険感受性向上教育の一環です。
玉掛でのもう一つの課題は、ワイヤロープの良否を職員が目で見て判断できないことが多いことです。玉掛と台付けの違い、ワーヤロープの廃棄基準、ワイヤロープの選定方法など目で見て教育することが効果的です。
リスクアセスメントを推進しているが、どこも形骸化していて有効に活用されていません。監査のために用意する書類になってしまっていて、せっかく労力が無駄です。原因は作業標準などから抽出して内容も分からないまま書類を作ったり、協力会社が作成した作業手順書をそのままファイルするだけで、何が危険か分かっていないことです。
危険感受性が備わっていないと、本来のリスクアセスメントができるはずがありません。これからは、リスクアセスメントと危険感受性向上の教育を同時に進めていく必要があるでしょう。

2009年4月15日水曜日

職長・安全衛生責任者教育を元請職員に

職長・安全衛生責任者教育について

1回2日間14時間の教育は一人で受け持つにはさすがにしんどいです。
受講者が眠らないようにテキストの棒読みは避け、興味を持つような話題を探してくるのに事前準備に相当時間を割きます。
毎回2人で実施していますが3人ぐらいが適当です。

以前の職長教育はヒューマンエラー対策に時間が多く割かれていましたが、最近はリスクアセスメントに比重が置かれています。内容としては元請社員の教育にも最適です。しかし社内教育ではやたらと多くの内容を詰め込もうとする傾向がありゼネコン元請け職員が職長教育を受ける例が少ないようです。
何回か元請社員を受講者に加えてみましたが、安全の知識水準はさほど変わらないような気がしました。むしろ元請け職員はプライドが邪魔して素直に受け入れるところに欠けるようです。

今後の元請社員の教育のあり方を考えてみたい。

2009年3月6日金曜日

職長教育の重要性

以前は、協力会社から安全衛生責任者が選任の報告を受け、選任された者は当然のように職長教育を受けている人達であり、それが当たり前でした。

しかし、最近は当たり前と思っていたことがそうでもないらしい。
建築工事では、重層下請が数次にも及ぶようになり、安全衛生責任者として選任された者でも職長教育を受けたことがない人が多くなっています。最後次に及んでは、一人親方になるケースがあり、名前だけの安全衛生責任者で、職長教育は受けておらず、安全の知識は相当低いケースがあります。
景気後退と競争激化でこの傾向が、益々強くなるのではないでしょうか。

労働安全衛生法の中では、労働者を直接指揮監督する者として、職長、安全衛生責任者、作業主任者がいますが、この区別を理解していない元請職員もいます。

それぞれの役割は、
1.職長
1)役割 :労働者を直接指揮監督する者であり、労働災害防止活動を推進する最も重要な位置づけです。
2)選任基準 :規定なし
3)資格 :なし
4)事業者の責務 :事業者責任において所定の安全衛生教育を行わなければならない(法60条、罰則はなし)

2.安全衛生責任者
1)役割 :統括安全衛生責任者及び後次請負人との連絡調整、混在作業による危険の有無の確認等
2)選任基準 :統括安全衛生責任者が選任される事業場の下請事業場(法16条・則19条、罰則は有り)
3)資格 :なし
4)事業者の責務 :建設現場では、職長が安全衛生責任者を兼務することが多く見られ、「職長・安全衛生責任者教育」の実施について行政通達が出されています。

3.作業主任者
1)役割 :当該作業に係る労働者の指揮、その他必要な業務
2)選任基準 :法令で定められている業務(法14条・令6条、罰則は有り)
3)資格 :法令で定める免許又は技能講習
4)事業者の責務 :職長教育は不要

これらの中でよく理解されていないこととして以下のことがあげられます。
まず第一に、職長とは、同じ事業主から雇用されている労働者を直接指揮監督する者であるということです。二次の安全衛生責任者が三次の労働者に細部に至るまで直接指揮監督を行う場合、三次の安全衛生責任者は、職長ではありません。そして場合によっては偽装請負とされるかもしれません。

第二に、職長教育は事業者の責任であり、元請は教育の指導・援助をするということです。事業者責任があるのに法令では罰則規定がないから行わないでは困ったことです。事業者に責任を自覚してもらわないと、いつまでたっても職長の安全水準が上がりません。強いては現場の安全水準もあがりません。

こういうことを分かっていない元請職員が増えてきました。建設現場では、職長教育を疎かにしてはいけません。
まず、元請職員に職長教育の内容を理解させることがまず先決でしょうか

2009年2月16日月曜日

送り出し教育の必要性

「送り出し教育」の必要性についてなかなか理解が得られないようです。

東京や大阪など仕事が多い場所で、大きなゼネコンに鍛えられている協力業者ならいいけど、地方では自社で教育をできるような建設業者はきわめて少ない。資料を渡して安全教育を行ってから職人を出してくれと言っても、教育をやりましたという書類を元請会社に渡すだけで実際は教育を行っていないことが多いです。形だけで、こんなことをしても意味がないという意見が聞こえてきます。

実態としては、そうかもしれません。しかし、その力量を上げるように指導するのが、我々元請会社の役目であることを忘れてはなりません。
まず、労働安全衛生法に示されている事業者の責任をちゃんと理解してもらうことが必要でしょう。
「送り出し教育」は、新しく乗り込む現場の状況を送り出す前に把握し、「新規入場者教育」の前に労働者に教育を実施する事業者の重要な責務であることを認識してもらうことが重要です。

法的な解釈は、はっきりと書かれているわけではありません。
労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)に、事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し安全衛生のための教育を行わなければならないとされています。いわゆる「雇い入れ時の教育」です。
そして、第2項に労働者の作業内容を変更したときについて準用するというのがありますが、就労場所が変わる際、事業者により教育を行うこということの一つの方法と考えます。
今まで、元請が新規入場時に行っていた教育の一部を、本来やるべき事業者が行うということです。

労働安全衛生法30条(特定元方事業者の講ずべき措置)の四に、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこととなっており、協力会社に対して安全管理方針、環境管理方針などを文書で伝える機会になります。「送り出し教育」の資料を協力会社に渡すことがこれに当ります。

「送り出し教育」は、元請の方針を協力会社にキッチリ伝え、事業者としての責任を理解してもらう重要な機会だと考えています。現実とのギャップをどう埋めるかが今後の課題でしょう。

まずは実行に移すことしかありません。

2009年1月26日月曜日

職長教育は工夫が必要

建設業では職長に対し、職長・安全衛生責任者教育を2日間14時間、実施する必要があり、講師としてもかなりの労力が必要で、手を抜くことができない重要な教育です。
そして受講者が感心を示し、教育効果が上がる講習にするには熱意と経験を積むしかない。受講者が眠らないようにテキストの棒読みは避け、興味を持つような話題を探してくるのに事前準備に相当時間を割きます。

職長教育は工夫することが必要なのです。複数の講師で行うことでそれぞれの講師のノウハウが発揮されるでしょう。

★教育手法
このような教育では普通、災害の現状や職長の責務など堅苦しい話しから入ることが多いが、まず受講者を惹きつけるような話題から入るのが良いと思います。
最近は、ショッキングな災害の写真をいきなり見せることをやってみた。JR西日本の脱線事故やベトナム・カントー橋の事故の様子などを、全員が食い入るように見ていた。
教育手法はパワーポイントを使用するケースが多いが、講師としては時間管理が容易で教え易いが、受講する側は理解し易い反面、情報が頭の中を軽やかに通過していくだけでなぜか記憶に残りません。記憶に残るようにするには受講者に考え発言してもらうのが一番良い。
グループ討議のほかに、個人のヒヤリハット体験を発表するとか、ヒヤリハット教育シートを使ってみんなで「どんな危険があるか、どんな問題があるか」を徹底的に議論などの方法が効果的です。
これらの身近な情報からリスクアセスメントの説明や職長・安全衛生責任者の責務を説明していくと理解し易いでしょう。

★職長教育の重要性
職長教育の重要性を理解させるのも重要です。
これまで現場では協力会社から安全衛生責任者選任の報告を受けたが、選任された者は当然のように職長教育を受けている人達であり、それが当たり前でした。
しかし、最近は当たり前と思っていたことがそうでもないらしい。
建築工事では、重層下請が数次にも及ぶようになり、安全衛生責任者として選任された者で職長教育を受けたことがない人が多くなっています。最後次 に及んでは、一人親方になるケースがあり、名前だけの安全衛生責任者で、職長教育は受けておらず、安全の知識は相当低い状態です。
この傾向が、今後益々強くなるのではないでしょうか。
作業方法を決定し労働者を指揮監督するのは職長であるため、職長が安全衛生管理の要です。したがって職長・安全衛生責任者の安全意識を上げれば災害はぐっと減るでしょう。

★職長とは
労働安全衛生法の中では、労働者を直接指揮監督する者として、職長、安全衛生責任者、作業主任者がいますが、この区別を理解していない元請職員もいます。
職長とは、同じ事業主から雇用されている労働者を直接指揮監督する者です。したがって2次の安全衛生責任者が3次の労働者に 細部に至るまで直接指揮監督を行う場合、2次の安全衛生責任者は、職長ではありません。そして場合によっては偽装請負とされるかもしれません。
それぞれの役割は

ア.職長
1)役割 :労働者を直接指揮監督する者であり、労働災害防止活動を推進する最も重要な位置づけです。
2)選任基準 :規定なし
3)資格 :なし
4)事業者の責務 :事業者責任において所定の安全衛生教育を行わなければならない(法60条、罰則はなし)

イ.安全衛生責任者
1)役割 :統括安全衛生責任者及び後次請負人との連絡調整、混在作業による危険の有無の確認等
2)選任基準 :統括安全衛生責任者が選任される事業場の下請事業場(法16条・則19条、罰則は有り)
3)資格 :なし
4)事業者の責務 :建設現場では、職長が安全衛生責任者を兼務することが多く見られ、「職長・安全衛生責任者教育」の実施について行政通達が出されています。

ウ.作業主任者
1)役割 :当該作業に係る労働者の指揮、その他必要な業務
2)選任基準 :法令で定められている業務(法14条・令6条、罰則は有り)
3)資格 :法令で定める免許又は技能講習
4)事業者の責務 :職長教育は不要

★誰が教育するのか
職長教育は事業者の責任であり、元請けは教育の援助をするということです。事業者責任があるのに法令では罰則規定がないから行わないでは困ったことです。 事業者に責任を自覚してもらわないと、いつまでたっても職長の安全水準が上がりません。強いては現場の安全水準もあがりません。
こういうことを分かっていない元請け職員も増えてきました。建設現場では、職長教育を疎かにしてはいけません。
まず、元請職員が職長・安全衛生責任者教育の内容を理解することが先決でしょう。
そうです。元請職員が理解していないと効果のある指導はできません。
そこで、協力会社と元請職員が同席して一緒に教育を受けるのも一つの方法です。
今後は元請職員の社内教育も職長・安全衛生責任者教育の内容に統括責任者の責務を加えれば十分と考えます。