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2012年3月10日土曜日

なぜ安全管理者に免許資格がないのか

建設業の労働災害は年々減少しつつあるが、最近ではその減少傾向も小さくなり、初歩的な原因の重大災害が多発してくる傾向にある。

原因として、経験ある技術者が退職して技術やノウハウの伝承が出来なくなってきたことや、災害が減少してきたことによるリスクマネジメントの実践経験が乏しくマニュアルに頼った技術者層が増えてきたことなどが考えられる。
また、安全を管理する管理者のスキルも低下しており、法令で定めている安全管理者や元方安全衛生管理者の能力の判定基準も見直す必要がある。

安全管理者は、厚生労働大臣が定める研修を終了した者又は労働安全コンサルタント、構成労働大臣が定める者となっている。この研修は、2日間(9時間)講義を聴いて、最後の簡単な効果確認試験があり、ほとんど参加者全員が講習終了証をもらうことが出来る。

選任要件は、次の業種で常時50人以上の労働者を使用する一定の事業場において選任が義務付けられている。
林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む。)電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備及び機械修理業
なかでも建設業で常時300人以上の労働者を使用する事業場は、専任の安全管理者を選任する必要がある。重層下請けが進んだ現在では該当するような建設現場はほとんどないであろう。

建設業では、元方事業者と協力会社の従業員合わせた数が50人以上の時、元方安全衛生管理者(法15条の2)を選任する義務がある。技術的な安全管理を担い、特定元方事業者が行うべき措置を実施する重要な立場にあるが、資格要件はさらに緩く、経験のみで選任することができる。実質資格要件がないに等しい。
したがって、建設業では、実質経験のない者が安全管理を行うケースも少なくなく、一定規模の建設工事については、安全衛生を管理する者の資格を引き上げる必要がある。
一方、衛生管理者は、免許が必要である。建設業では支店等に配置が必要になってくるケースがある。

今後、ますます安全管理の経験豊かな元方安全衛生管理者が少なくなり、とんでもない重大災害の発生が多くなると予想される。建設業においては、一定規模以上の工事の元方安全衛生管理者には、安全衛生管理能力を備えた新たな免許資格又は労働安全衛生コンサルタント、技術士総合管理部門を、一定規模以上の一般の事業所の安全管理者は、安全衛生管理能力を備えた新たな免許を資格要件とすることが望ましいと考える。

2011年10月26日水曜日

セーフティポリス

店社の安全衛生部長の中には、未だに現場に法令順守を押し付ける人がいる。

労働安全衛生法を遵守することは、重要である。しかし、現場で働く労働者にとって、「労働安全衛生法の第○○条に決められているから守らなければならない」と言われても、法律に詳しい訳でなく、なかなか納得しがたいものである。そのような、労働者の知識レベルや気持ちを考えず、やみくもに法令に定められているから守りなさいと行っても反発されるだけである。

安全衛生部長は、労働安全衛生法を熟知しておく必要があるが、現場で指導するときはそれを前面に出さず、「もし今の状態で作業を行うと○○○の危険があるから、改善しよう」と労働者に分かりやすく説明する必要がある。店社の安全衛生部長は労働者に危険性を判りやすく説明できる能力が必要である。決して、法令を押し付けるセーフティポリスになっては行けない。

新しい時代の、安全衛生担当者は、社内では安全衛生管理の戦略を立てる者であると同時に工事担当者や労働者に対してセフティーコンサルタントであるべきである。

2010年11月17日水曜日

危険工種のPermit制度

PTWは、何の略かと言えば Permit To Work で作業許可制度のことです。

化学工場におけるアーク溶接(hot work)などの火気取り扱い作業の事前許可制度が該当します。海外工事では、その他にも密閉空間での作業(confined space)、潜水作業、深い掘削作業、重量物の吊り上げ作業、停電作業など危険を伴う作業はPTWとすることが一般的です。

PTWの該当作業は、リスクアセスメントによる危険度の高い作業ということができる。
従って、PTWのチェック内容はリスクアセスメントで挙げられている内容であり、連動していなければならない。

このPTWも内容をよく確認せずにチェックしていると、すぐ形骸化してしまう恐れがある。リスクアセスメントの結果をまとめたリスク評価表をよく目を通し、それに基づいてPTWのチェックリストをチェックして作業許可を出す。作業する時もそのチェック項目にに従ってTBMを行わなければ意味がない。PTWは、リスクアセスメントが基本になっている。

欧米の安全管理はすぐシステム化してしまう傾向にあるが、PTWも要領書(procedure)にまとめられ、PTW Coordinatorが管理するようなシステムが作り上げられてしまう。工場などではごく当たり前のことでも、建設業ではなかなかこのような制度を限られた職員でこなすのが大変である。

海外で工事する場合に、このようなシステムにすぐ対応できないのが日本の建設業である。
ごく簡単なことであるが、システム化されたときにまごまごせずに対応したいものである。

2009年8月26日水曜日

安全管理における言語と民族の壁

日本国内と海外の工事との安全管理の違いは原則としてありません。安全確保するために同じことをする必要があります。

ただし、日本の会社が海外で工事を行う場合、どうしても言葉の問題が生じます。通常現場組織は、日本人スタッフのほか現地人スタッフ、第三国人スタッフの混成チームですが共通語は英語です。でも日本人は英語が苦手で上手くコミュニケーションが取れないことが多く、やりたいこと、伝えたいことが相手に理解されないことが多いようです。

民間プラント会社が施主の場合、欧米人のHSEマネージャー(安全衛生・環境担当マネージャー)が常駐して強い権限で厳しい管理が行われます。内容は国内と同じようなごく当たり前のことを英語で指示されるものだから、パニックに陥るようです。

また、実際に働く作業員はほとんど英語をしゃべることが出来ず、指示を出すのに現地語に翻訳して伝える必要があります。日本語→英語→現地語という経路をたどるため、正確に意思が伝わらないのは当然です。その結果、安全管理は、ローカルスタッフのセーフティオフィサー(安全担当者)にまかせっきりになる傾向があります。しかし、ローカルスタッフの知識レベルが豊富な安全管理の知識を有しているとはいえず、現場の危険性を見逃す結果になっています。
言語はコミュニケーションの最低限のツールであり、避けて通れません。

もう一つの障害は、民族問題です。例えばローカルスタッフがフィリピン人やインド人(どちらも英語が堪能)で、作業員がインドネシア人などの場合、民族間の反感があり、指示に対して従おうとしないことがあります。地道に現地人スタッフを教育して英語力や技術力に堪能にする必要がありますが、時間がかかります。

このような状態で、安全管理を行うのは知恵が要ります。これから試行錯誤の状態が続きそうです。

2009年3月10日火曜日

安全管理の基本はライン管理

年度末になり、人事考課を受ける人が多いと思われます。

ところで安全担当者の人事考課はどのように評価されているでしょうか。
災害が発生し、目標度数率を下回ると安全担当者の評価を下げることが多いようです。
しかし、安全管理はライン管理が基本ではなかったでしょうか。

建設業であれば、土木部長や建築部長がラインの長であり、作業所長は人事考課者であり直属上司であるライン長の指示に従います。逆の言い方をすれば、安全衛生管理は工程管理や品質管理、原価管理と一体でラインが推進しなければなりません。
それなのに、安全に関しては安全担当者だけが評価を下げられます。それも原点方式です。

安全文化ということばがよく使われますが、安全文化が醸成されている組織はライン管理がしっかり成されています。安全担当者のみが評価されるあいだは、まだ安全文化が醸成されていないと見るべきでしょう。

2009年3月9日月曜日

一人親方は建設現場の弱者

ある現場で作業員が脚立から転落して怪我をしました。
早速現場へ駆けつけていろいろ話を聞くと、その作業員は一人親方でした。

その作業員は、新規入場のとき〇〇工務店の従業員ですと申告していました。本人は嘘をついているのではないということも後で分かりました。本人は未だに自分は材料持ちで仕事をしているわけでないので一人親方ではないと思っていました。

したがって、一人親方の特別労災に加入していません。建設国保に加入していただけで、労働災害に対して保険が出ません。
しかし、お金の受け取り方は平米当たりいくらでの請負いでした。実態を調べてみると、雇用保険を支払わず、仕事の大小に合わせて都合のいいように給料が支払われているだけで、本人はその会社に完全に従属していて営業活動もせず、指揮命令を受けて仕事をしていました。

最近の建築工事はデベロッパーが強引に工事価格を押し下げ、そのしわ寄せが下請への支払金額に影響しています。下請会社も労働者を抱えきれなくなって拘束している労働者を請負契約で給料を支払い、経費を圧縮しているのが現状です。特に型枠大工、鉄筋工、タイル工など、末端の作業員にしわ寄せが来ています。

請負契約の末端にいる一人親方は、重層下請の弱者であり、安全面においてもフォローしていかなければなりません。