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2011年4月27日水曜日

重心とメタセンター

港湾工事では、船舶や作業台船、フローティングドッグ、ケーソン曳航に際し、転覆しないように安定の検討を行うことが重要になる。
特に復元力では、メタセンターというファクターが重要である。
メタセンター(metacenter)とは、浮体を傾けたときの新しい浮力の中心を通る鉛直軸が、傾ける前の浮力の中心軸と交わる点で、傾心ともいう。メタセンターが重心よりも上にあれば、浮体は傾斜したとき、元に戻ろうとするので、浮体は安定する。
作業台船が転覆しない条件
G1:作業台船全体の重心位置(下向きの力)
G2:全体の重量が上に移動した場合の重心位置(下向きの)力
F :浮心・浮力の中心を通る鉛直軸/傾くと移動する(上向きの力)
M :傾ける前の浮力の中心軸と傾けたときの浮力の鉛直軸の交点、メタセンター
G-M: 2点間の距離をメタセンターハイという

Case.1 重心位置GがメタセンターMより下にある場合 →復元する
G1にかかる下向きの力とFにかかる上向きの力のモーメントにより、作業船の傾きを戻す方向に働く。
Case.2 重心位置GがメタセンターMより上にある場合 →転覆する
重心GがG2に移った場合、モーメントはより傾ける方向に働く。
Case.3 重心位置GとメタセンターMが一致する場合 →傾斜したままの状態
特にフローティングドックを選定するときは、フローティングドックの形状によりメタセンターの位置が微妙に影響することに注意が必要になる。

2009年2月26日木曜日

海上工事へのAIS導入

船舶自動識別装置(AIS)の搭載が進んでいるそうです。

2008年8月に500t以上の内航船舶の猶予期限が切れました。
500t以上のガット船も対象ということになります。

AISは、各種情報が自動的に発信され、付近の船舶及び陸上の管制レーダーはそれを受信し、レーダーにその情報が画面に映し出される仕組みになっています。
発信される情報は、
船名の他
・航海情報:喫水/ 積載危険物の種類/目的地/目的地到着時間
・動的情報:緯度・経度/位置精度/時刻/対地針路/対地船速/船首方位/回頭角速度/航海ステータス
・靜的情報:MMSI/呼出符号/船名/IMO番号/船体長さ・幅/船舶の種類/アンテナ位置
などがあります。
VHF(156MHz~174MHz)の電波を使用して船舶相互および船・陸上局間で自動的に通信を行うため、レーダでは島影等で見えない船舶でもAISでは画面に表示できるようになります。

ただし、AISの搭載義務はあるが、電波を発信する義務はないらしい。その理由は、発信情報の中に積荷の内容が含まれているため海賊の標的になることを避けることです。また、巡視船や艦船は電波を発信せず受信のみ。潜水艦が位置情報を発信したり、空母が核兵器搭載を発信したら大きな問題になります。

国内では電波を発信しなかったらすぐさま不審船として停船命令が出るのではないでしょうか。

最近は、港湾工事において大型船航行の把握のため作業所にAIS受信システムを設置して、海上衝突の防止に役立てています。また、警戒船もAIS情報により接近する船舶に対し、VHSで注意を促すようにしています。
地盤改良船や大型ケーソン曳航などの場合、AISの搭載義務はありませんが細かな周辺船舶への注意喚起のためAISを場合によっては搭載することを考慮する必要があるでしょう。

2009年1月23日金曜日

海上の航行ルール

海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故に対し、横浜地方海難審判所は22日、あたごの動静監視不十分が事故の主因だったとして、海上自衛隊(第三護衛隊:京都府舞鶴市)に対し、安全運行を徹底するよう改善措置を求める勧告を言い渡しました。

 裁決は、海上衝突予防法の「横切り船の航法」を適用し、清徳丸が衝突を避けるための協力動作を行わなかったことを一因としながらも、「(あたごが)動静監視を十分行っていれば、接近する清徳丸に気付くことができた」などとしています。

 港湾工事に従事するものにとって海上衝突予防法は熟知しておかなければなりません。しかし、近年の工事量の減少で港湾工事の経験者が減少し、航路の航行規則すら分からない若者が増えてきました。
海上法規の原則は2つです。
 「海の上では、右側通行」
 「動きやすい船が、動きにくい船を避ける」

海上衝突予防法 第十五条(横切り船)
 2隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。
この場合において、他の動力船の進路を避けなければならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切ってはならない。

漁をしないで走っている漁船は動力船、セールをたたんでエンジンで走っているヨットは動力船。誰が見ても安易にわかる必要があり、海上衝突予防法に定めるそれぞれの灯火や形象物を表示しなければなりません。

海上自衛隊でもこのような基礎的なことが守られていなかったのです。