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2011年10月19日水曜日

リスクの再評価

リスクとは、人体に危害や傷害を与えるような危険な事象または暴露の発生の「可能性」と、事象または暴露によって引き起こされる負傷または疾病の「重篤度」の組合せをいう。「可能性」と「重篤度」の掛け算または足し算の数値によって、L(低い)、M(中程度)、H(高い)と評価することが多い。

リスクアセスメントでは、まずハザード(危険性または有害性)を洗い出し、そのハザードによって生じるリスクを評価する。そしてリスク低減策を立て、それによってリスクがどの程度下がるか再評価してALARP(as low as reasonably practicable)領域にあるリスクを合理的、実行可能な範囲で低減できるリスクまで下げることを繰り返して事業場の安全性を高めていくことである。

リスクアセスメントで最も重要なことは、ハザードを漏れなく洗い出すことである。実際、リスクアセスメントの演習を行うと、ハザードの洗い出しが不十分であるにもかかわらず、リスク評価に時間が多くとられることが多い。しかし、演習の結果、各グループが発表すると、いかにリスク評価にばらつきが出るかということも判る。リスク評価は組織の持つ安全文化や個人の経験の差によりばらつきが出るのは当然であり、内部監査等でリスクの評価値がおかしいという指摘もどうかと思う。

ただし、リスクを再評価するときの考え方をしっかり把握しておく必要がある。リスク低減策を実施した結果、予想される災害や疾病の起因物そのものがもつエネルギーや毒性が減少することによって事象又は暴露によって引き起こされる負傷又は疾病の重篤度が低くなる場合は、「リスクの重篤度」は下がる。しかし、エネルギーや毒性が下がらないのに評価値を変えている場合が多い。リスク低減策により災害や暴露の可能性は下がるが、本質的なリスク低減策を行っていないと「重篤度」はあまり変わらない。
例えば、3mの高さの棚の最上段に20kgの機械が置いてあるが、安定が悪く落下して通行人の頭に当たり死亡する危険性があったとしよう。この場合、「落ちないように機械を固定した」では、落下する可能性は減少するが、もし固定が外れた場合、同じような死亡災害が発生する。しかし、この機械を高さ50cmの一番下の段に置いて固定する場合、「可能性」および「重篤度」ともに下がる。

リスク評価がM(中程度)、H(高い)となった場合はリスク低減策を立て、なおかつ再評価してH(高い)からM(中程度)以下にしないと作業を行ってはならないと社内マニュアルに記述している場合がある。これは労働安全衛生マネジメントシステムの内容どおりなので正しいことであるが、再評価がめんどくさいから最初からリスク評価をH(高い)にしないような評価や、先ほどの例のように「重篤度」が変化しないはずなのにM(中程度)にするために「重篤度」を下げているケースをよく見かける。特に建設業ではリスクの評価がリスクアセスメントの普及に害になっているのではないかと考える。

受容できるまで繰り返しリスク低減策を講ずるALARPの考え方は、非常に正しいが、建設業のような不特定の場所でいつも違う作業員が行うような場合は、リスク評価の部分をもう少し簡略化しないと普及しないと考える。リスク評価の辻褄合わせに走るようなリスクアセスメントは改善していかなくてはならない。

2011年4月13日水曜日

地震津波災害の復旧作業のリスク

地震・津波災害の復旧作業は、緊急を要する作業であるが、それでも十分に作業手順を検討し、事前にリスクを把握した上で作業を行う必要がある。

地震・津波災害の特有のハザード(危険性および有害性)は以下のようなものがある。

・不安定な構造物の撤去に伴う構造物の倒壊、挟まれ
・不安定な場所からの墜落転落
・瓦礫に躓き転倒
・ゴム長で出歩き釘を踏み抜く
・釘や金属片による切創
・ガラス片による切創
・粉塵による塵肺
・浮遊する鉄粉が目に入る障害
・浮遊するアスベストを吸入
・電柱のトランスからの漏洩PCBによる汚染
・切断電線に接触による感電
・ソーラーパネルの端子に接触して感電
・流出油による汚染
・浸水した箇所を歩いて深みにはまり溺れる
・大気中に浮遊した放射性物質による被曝
・土中に堆積した放射性物質による被曝
・ダイバーが放射性物質で汚染された海水を飲んで被曝
・工場の化学薬品が漏洩してかぶれる
・発電所タービンのハイドラジンが漏洩してかぶれる
・海上浮遊物と接触し、潜水士のエアーホースが絡まりパニックになる
・廃鉱の残土から重金属が流出し接触する
・ガス管やプロパンガスのガス漏れにより火災が発生し火傷を負う
・ガス管やプロパンガスのガス漏れによる爆発
・重機が錯綜して間に挟まれる
・移動式クレーンの作業半径が届かず無理をして転倒、挟まれ
・法面が緩み土砂崩壊に巻き込まれる
・瓦礫で手を切り破傷風による感染
・衛生状態悪化による感染症に感染する
・災害のトラウマによるパニック
・ストレスによる精神不安定
・仮宿泊設備で疲れが取れず過労
・ストレスが溜まった人同士のけんか
・余震、津波による二次災害

周りに避難者がいる中で一日でも早く復旧しなければならないという気持ちから、少々危険が想定されていても無理な作業をしてしまう。いかなる場合においてもリスクを認識した上で作業を進めてもらいたい。

2010年12月22日水曜日

リスク適正評価のための情報

リスクアセスメントの中でリスク評価をする際、経験によって評価が大きく左右する。
全ての人が豊富な経験を積んでいる訳でないので、外部の情報を参考にすることも大いに役に立つ。

普段そんなに危険性を感じていない作業でも、以外と死亡災害が多かったりする。
その中で、「建設現場のリスク適正評価ガイド 重篤度評価編」(高木元也/編著)には、役に立つ情報がある。平成16年〜18年の死亡災害者数の作業が分類されている。

土木作業では
第1位 重機の移動(トラック等運搬作業を含む) 死亡災害67人
第2位 立木の伐採・伐倒、草刈作業 51
第3位 クレーン・バックホウ等による荷上げ・荷下ろし等作業 48
第4位 掘削作業(土砂運搬除く) 36
第5位 公道・公道近傍での作業 31
第6位 管布設工事関連作業(土工事を除く)26
第6位 舗装作業 26
第8位 聖地・敷き均し・盛り土作業 24
第9位 測量・写真撮影等 23
第10位 法面保護工関連作業 20
第10位 橋梁上部工工事関連作業 20
第12位 コンクリート二次製品設置・撤去作業 19
第13位 土止め支保工組立・解体作業 15
第14位 コンクリート打設作業 12
第15位 現場内・公道での人の移動(作業以外)12
第16位 重機等の点検・整備等作業 11
第16位 基礎工事関連作業 11

建築工事では
第1位 建物解体作業(部分撤去含む) 66
第2位 クレーン・バックホウ等による荷上げ・荷下ろし作業 44
第3位 屋根取付・撤去作業 41
第4位 鉄骨作業(デッキプレート敷込作業含む) 38
第5位 足場組立・解体作業 35
第6位 重機の移動等(トラック等による運搬作業含む) 21
第7位 現場での人の移動(各種作業以外の人の移動) 20
第8位 熱中症 20
第9位 塗装作業 19
第10位 脚立上での作業 14
第10位 台風被害に伴う復旧作業 14
第12位 ローリングタワー上での作業 11
第12位 掘削作業(土砂運搬作業除く) 11
第14位 現場での資材運搬(荷上げ・荷下ろし作業除く) 10
第14位 はしご上での作業 10
第14位 基礎工事関連作業 10
第14位 外壁取付作業 10

これらの情報から、意外な作業でも死亡災害が発生していることが分かる。過去の災害分析は、リスクアセスメントの中で、ハザードを洗い出し、リスクを評価する際に非常に役立つ資料となる。
詳細は、この本を参照して頂きたい。

2010年10月27日水曜日

リスクアセスメントの再評価

労働安全衛生マネジメントシステムでは、最初にハザードを洗い出して評価し、リスク低減対策を立て、それに対する再評価を行い、リスクを受容可能なところまで下げることになっている。言い換えれば、ALARPの考え方に従ってリスクを低減させる手法である。

リスクアセスメントは業種に関係なく、全ての作業に行われなければならないが、業種によって進め方を工夫する必要がある。製造業においては、マネジメントシステムで述べられている通り行えば、かなり効果を上げることができる。なぜならば、労働者は固定していて教育が容易であり、設備の不具合、作業員の不安全行動を、リスクアセスメントを行うことによって随時見直して改善していけば、確実に安全レベルをアップすることができる。

ところが、建設業の場合、製造業のように効果を上げるには相当の労力が必要です。その原因として、個別請負産業であり、プロジェクトごとに場所は変わり、設備は変わり、時間とともに状況は常に変化し、かつ作業員は作業ごとに入れ替わる。作業員への教育も浸透せず、形骸化に陥りやすい。

リスクアセスメントにおいては、リスクを評価して危険度を判定するが、建設業では初期の評価が重要である。現場でリスクアセスメントを使用する場合、使いやすいようにA4用紙に収まる内容にすることが多い。その場合、初期評価欄と再評価欄の両方を表示するスペースがなく、初期評価と再評価を二段書きにしたり、再評価欄を省略したり、再評価欄のみを表示する場合がある。
建設業の場合、再評価したリスクは、状況が変化し時間とともにリスクが大きくなったり、作業員の技能レベルによって受容可能レベルがもとの受容不可能なレベルに戻ることもある。マネジメントシステムでは再評価後、リスクを受容可能なレベルに抑えるようにしないと作業を行ってはならないと決めているところが多く、ほとんどの再評価は、受容可能レベルを表示している。さらに、再評価のようなめんどくさいことをしなくても済むように、最初から恣意的に受容可能レベルと評価しているケースもある。再評価自体がかなり怪しいことが多い。
したがって、建設業ではリスクの初期評価を表示していないと、どんな危険が潜んでいて本来の危険度が何なのか分からなくなるのである。

マネジメントシステムの担当者の中には、建設業の実態を理解せず、ただ単に要求事項と違うと指摘する人がたまにいる。リスクアセスメントは、基本的には同じなのだが、運用面では製造業と建設業は違うことを認識した上で、創意工夫していかなければ効果があがらない。
それにはまずシステムを簡素化する必要がある。英国HSEの中小業者のための5ステップ・リスクアセスメントは建設業には適しているであろう。もう一つは、作業ごとの標準的なリスクの初期値をリスク評価表としてまとめておき、作業員レベルでは米国のJSAのような簡単に作業ステップごとのリスクとリスク低減対策のみを表記方法が良いかもしれない。

現在、建災防で進めているような細かい作業手順書のなかでリスク評価するやり方は、内容が細かくなりすぎて作業員レベルにはなじみにくく、事務所でファイルされるだけになっている。活用されないような手法は、いくら正しくても意味がない。

リスクアセスメントもあまり型にはまらずに柔軟な考え方が必要であろう。


2010年8月18日水曜日

自動車アセスメント

高速道路のサービスエリアに「自動車アセスメント」という耳慣れない言葉のリーフレットがあった。

国土交通省と自動車事故対策機構が、安全な自動車がつくられ、消費者に選ばれることを目的に自動車の安全性能についてさまざまな試験を行い評価している。いわば自動車のリスクアセスメントといえる。

試験の内容は
I 衝突安全性能試験
 ・オフセット全面衝突試験
 ・側面衝突試験
 ・後面衝突頚部保護性能試験
II 歩行者頭部保護性能試験
III ブレーキ性能試験
IV 後席シートベルト使用性能評価試験
V 座席ベルトの非着用時警報装置評価試験

以上の試験の評価結果は公表されているが、自動車を購入する際、ディーラーから説明されたことはない。
衝突安全性総合評価は6段階で表され、事故に遭遇した場合に重症になる確率を表している。例えばBMWのMINI COOPERやホンダ
バモスは総合評価3、脳挫傷や大腿骨骨折などになる確率が60〜70%、ほとんどの自動車は総合評価5〜6で確率が50%以下になる。ただし、試験の条件がフルラップ全面衝突試験の場合、時速55kmであり、安全を確保するのであればもう少し厳しくした方が良いと思われる。

自動車のリスクアセスメントとしてある程度の評価はできるが、残留リスクのリスク低減対策が、まだ運転者の安全運転に委ねられ、メーカーの努力義務が明確でないところが問題である。

評価報告書の最後に、普及が望まれる安全装置の一覧が示されている。
 ・横滑り防止装置(ESC)
 ・衝突被害軽減ブレーキ
 ・車線維持支援装置
 ・全車速ACC(車速及び車間距離を自動制御)

交通事故による死傷者を減少させるには、道路交通法を強化するばかりでなく、自動車そのものをさらに安全なものにする法制化も必要であろう。

2010年6月23日水曜日

ヒヤリハット報告の普及しない訳

製造業では活発に行われているヒヤリハット報告活動が建設業では、ほとんど板についていない。
その理由はなぜなのか?

建設業の特殊性が考えられる。事業場がプロジェクトごとの特定期間に、下請け業者の寄せ集め組織で、場所もその都度変わる。労働者が自分の大事な職場だという意識が希薄であり、わざわだしんどい目をして職場の労働環境を改善しようとする意欲が湧かないからである。
COHSMS(建設業の労働安全衛生マネジメントシステム)もそのことを踏まえてシステムがされているが、どうしても形式的な書類のみに終わっている。

ヒヤリハットは、リスクアセスメントを行ううえで、労働者の危険感受性を高める方法として非常に有効であり、安全に限らず職場に潜む問題を早期に解決する方法として有効な手段である。
ヒヤリハット報告活動を阻害する要因は以下のことが考えられる。

1.ヒヤリハット報告した者をマイナス評価してしまうこと。
2.ヒヤリハット報告の結果をうまく活用していないこと。
3.労働者にわずらわしい手間が増えること。

その対策として
1.ヒヤリハット報告をしたものをプラス評価し、表彰制度に組み入れること。そして、なぜ表彰に値するかの理由を説明すること。すなわち、問題が小さいうちに発見し、職場全体にその問題が再発しないように水平展開することができ、職場の改善に大いなる貢献をしたことを説明するのです。
2.ヒヤリハット報告をすぐその場で改善するような小集団活動を展開する。元請工事担当者を長とした担当部署の改善をしていく。
3.それぞれの部署で行ったヒヤリハット報告活動を作業所または支店全体でまとめ特定の固有名詞は省き、分析・分類して各現場にフィードバックし、リスクアセスメントやツールボックスミーティング、危険予知活動に活用する。
4.報告する書式はなるだけ簡略なものとする。報告されたヒヤリハットのうち、特に水平展開すべきと思われるものについてのみ、再度ヒヤリングを行い、詳しく原因分析と再発防止対策を立てる。
5.データベースは畑村洋太郎氏の失敗学データベースのような形でまとめ、水平展開の資料とする。
また、せっかく行うのであれば安全の問題だけでなく、環境、品質、工程上の問題など、現場に潜むあらゆる問題をすべて取り上げるのが良い。意外と根本問題は同じであることが多いからです。

形式的な労働安全衛生マネジメントシステムに陥らないようにするためには、かつてのTQCのような小集団活動をより簡略にして導入するのが良いかもしれない。

2010年3月3日水曜日

リスクアセスメントとKYの違い

建災防はKY(危険予知)活動にリスクアセスメントの手法を取り入れています。

では、KYはリスクアセスメントの一種などでしょうか。
どちらも事前に危険を洗い出して対策をとろうとする安全活動です。そのなかで、リスクアセスメントは労働安全衛生法で事業者が実施することと定められていますが、KYは労働安全衛生法に定められてなく、あくまで自主的な活動です。

リスクアセスメントの目的は、工事着手前にある程度時間をかけて危険性及び有害性を徹底的に洗い出してリスク低減対策を作業手順に反映させることです。それに対してKYは今からすぐ始まる作業や行動途中にその作業の中でどんな危険があるか特に重要なものを取り上げ直ぐに対策を立て実行することにあります。したがって、リスクアセスメントのように徹底的に危険性及び有害性を洗い出して対策を立てる時間的余裕はありません。どちらも重要な活動ですがリスクアセスメントとは手法が別物と考えるべきです。

KYはJAFの雑誌に毎回取り上げられています。たとえば自動車を運転している途中で信号にさしかかり歩行者がヨロヨロと歩いている。それに対して車道に飛び出すかもしれないから徐行しよう、今日は長距離を走るので眠くなるかもしれないので、早めに休憩を取るようにしよう、差し迫った危険性を考えるもので、リスクアセスメントのようにあれやこれや洗い出してリスクの見積もりをしている時間はありません。経験的にこの作業ではこういう危険があるということが判らなければなりません。その手助けとなるものがリスク評価表です。KYで危険性を発表するときに、前もってこの作業のために行ったリスクアセスメントを利用すべきです。せっかくリスクアセスメントを行っていてもKYや作業打ち合わせに利用されていないのが現状です。

KYにリスクアセスメントの見積もり手法を導入するのは良いと思いますが、逆にリスクアセスメントをKYのように簡単に終わらせては行けません。いろんな人の経験より危険性と有害性を徹底的に洗い出すことが最も重要です。リスクの見積もりは最も重要な要素ではありません。メンバー全体の経験レベルの違いにより見積もりも大きく変わります。ただし、見積もりは時間が解決することですが、洗い出しを十分行っていないと見積もりの意味がなくなってしまいます。

リスクアセスメントの普及はまだこれからです。

2010年1月12日火曜日

駅プラットホームのリスク

駅のプラットホームには転落防止策がなく転落の危険性が非常に高いですが、現実には転落防止策の設置している駅はごく僅かです。
その結果、酔っぱらって線路に転落したり、突き飛ばされて転落したり、プラットホームを歩行していて電車に接触するなどの災害が絶えません。リスクアセスメントを実施すれば、これほど災害の可能性と危険の重篤度の高いものはありません。しかし、転落防止策はなく、「白線まで下がってください」と構内放送流されるだけです。
なぜ、転落防止策が設置されないのか。
一つには、駅のプラットホームは明らかに危険であることをほとんどの人が理解しているとされているからです。道路の交差点は目の前を車が高速で通過しますが柵はありません。危険性が明確なことと、柵を設けることが費用がかかり過ぎて運用上も現実的でないことです。いわゆる受容可能な危険です。
受容可能な危険は社会の環境や時代によって変化します。以前は受容可能であったものが、人々の価値観の変化により受容可能な範囲も変化します。
現在は、列車本数が増え、ワンマン運転により監視の目が低くなることや、身体障害者にも配慮する必要があります。目の不自由な人にとって点字タイルだけでは十分でありません。また、プラットホームに傾斜があると車椅子の人が転がり落ちて電車にひかれる危険性があります。都会の列車本数の多い駅のプラットホームは受容できない危険になりつつあります。やはり鉄道会社には安全配慮義務が生じると考えるべきです。
プラットホームからの転落に対するリスク低減策としては
(1)プラットホームの転落防止柵の設置
(2)プラットホーム下の待避スペースの確保
(3)非常停止押しボタン又は転落検知マットの整備
(4)旅客に対する注意喚起の徹底等
(5)警備員の増員
などがあります。

東急池上線旗の台駅の転落防止策

東急目黒線元住吉駅の転落防止策
やればできるんですね。


対策をしていないところでは、このような人身事故が後を絶たない。

2009年11月10日火曜日

リスクアセスメントの実効性

リスクアセスメントは大手企業では取り入れられてきているが、まだ普及しているとはいえない。

そして、導入している大手企業でさえ、リスクアセスメントが有効に機能しているか、かなり疑問です。経営の要として品質、環境の次に労働安全衛生マネジメントシステムを導入していますが、マニュアルに記載されているので、外部監査のために体裁を整えて作成しているというケースがほとんどです。
要するに、リスクアセスメントが現場の安全衛生活動に有効に活用されていません。

マネジメントシステムの外部監査員が、現場に監査に来て、ただリスクアセスメントが揃っているかとか、リスク低減措置を策定した後の再リスクアセスメントはあるか、などだけをチェックして、実際にどのように活用され、どのような効果があったのかなど確認しないこと、さらにリスクアセスメントの書式がマニュアルと違うなど、現実的でない指摘をすることにも起因していると思われます。

また、一般的に経営者幹部も品質、環境、労働安全衛生マネジメントシステムに更なる資源を注ぎ込もうとはしません。なぜなら品質マネジメントシステムを導入したとき社員が疲弊したけれど、未だに生産の品質や環境、労働安全衛生が改善されたとはいいがたい。ISOは経営改善のためにあるといわれますが、相変わらずの不良品、環境汚染、災害の多発と改善されず、契約のための最低限必要な項目と考え、外部監査をクリアする以上のことにあまり力を注ぎたがらない。

ISOの失敗が労働安全衛生マネジメントシステムにも影響し、ISOとの違いを説明してもなかなか理解されません。早くもリスクアセスメントの形骸化が始まっています。労働安全衛生はマニュアルやいくら安全書類がしっかり整っていても、最終目的の災害発生が減少しないと意味がありません。形よりも実効性のあるリスクアセスメントが必要です。

建設業では、リスクアセスメントの必要性を理解させ、簡易な方法で効果を上げる方法を模索しなければなりません。

2009年7月17日金曜日

ナイトクラブのリスクアセスメント

HSE(英国労働安全衛生庁)では、中小企業向けの簡易なリスクアセスメントである5ステップリスクアセスメントで、多くの業種のアセスメント事例を公表しています。

そのなかで、ナイトクラブのリスクアセスメントというのがあります。
"Example risk assessment for a nightclub"

このような例も危険源(hazard)の特定の参考になります。

危険源としては(What are the hazards?)
・火災 :従業員及び客が煙、燃焼、建物の崩壊による重大な災害
・高所からの墜落 :出演者が高いステージから墜落する、掃除、メインテナンス、照明係がはしごなどから転落し怪我をする
・転倒および転落 :従業員及び客が床で滑って転倒する、躓いて転倒する
・感電 :従業員及び客が電気器具の絶縁不良により感電する
・騒音 :従業員が長期間大音響にさらされることにより難聴になる
・暴力 :従業員及び客が喧嘩に巻き込まれ怪我をする
・ガラス片による切創 :従業員及び客は窓ガラスや鏡とぶつかることにより切創する
・ガス :従業員及び関係者はボイラーの爆発などにより中毒する
・高温 :従業員及び客は高温により熱中症になる
・注射針 :従業員は捨てられた注射針に刺さる
・重い物の持ち運び :従業員は重い物を持ち運ぶ際、腰痛になる
・運搬 :従業員は運搬車両に轢かれる
・CO2 :従業員はビール用のボンベよりCO2が漏れることにより酸欠になる
・アスベスト :従業員、特にメンテナンス者は建材に含まれているアスベストに被ばくする
・花火 :花火を使用することによりパニックになる
・レーザー :従業員及び客はレーザーの不適切な使用により目を傷める
・煙幕 :従業員はドライアイスを使用することにより皮膚を傷める。発煙及びミストは目、鼻、気管の病気を起こす
・飛来落下 :ぶら下げている飾りや額などが落下して怪我をする

たかだか、ナイトクラブでも多くの危険源があり、それに対するリスク低減対策を誰が、いつ、どのように行うのかを詳しく述べられています。

資料参照先
http://www.hse.gov.uk/risk/casestudies/pdf/nightclub.pdf

2009年7月10日金曜日

5ステップ・リスクアセスメント

リスクアセスメントの普及が相変わらず低調ですが、諸外国でも似たような状況です。

その中でも英国は早くからリスクアセスメントを取り入れ、成果を挙げています。英国でも中小企業や個人企業におけるリスクアセスメントの普及が課題になっていて、そのためHSE(英国労働安全衛生庁)は簡易なリスクアセスメントを導入しています。

「5ステップリスクアセスメント」といわれるもので、HSEがインターネットに掲載しています。
中災防ホームページに和訳リーフレットを掲載

HSEホームページ
http://www.hse.gov.uk/pubns/indg163.pdf

主な特徴は、リスク評価の方法が簡便であることです。
ほとんど同じですが手順は以下の通りです。

ステップ1:どんなハザードがあるか?

ステップ2:誰がどのような危害を受ける可能性があるか?/国内のリスクアセスメントの違いとして、全ての関係者が対象であり、通行人などの一般公衆も明確に対象としていることです。

ステップ3:現在すでに行っていることは何か?、
さらに必要な措置は何か?/「合理的に実施可能な」あらゆる対策を行うときの判断材料として、今まで公表されている優良事例と比較することを提案している。

ステップ4:リスクアセスメントをどう実行に移すか?/実施担当、実施期限、実施完了日

ステップ5:リスクアセスメントの見直し

実施例を見ると、質問形式になっていて可能性や重篤度の数値評価を簡便にして誰でも使いやすくしています。
そして、業種別にリスク低減一覧表を公表していて参考にすることが出来ます。

国内のリスクアセスメントもあまり四角四面に考えず、このような簡便な方法を取り入れることも普及の一つの手段でしょう。

2009年5月23日土曜日

通勤時のリスクアセスメント

通勤途中は危険がいっぱいあります。

駅に着いたら階段の上り下りがあります。ここで足を踏み外し転げ落ちる危険性がある。

次にホーム上です。ここは最高レベルの危険性があります。なぜならばほとんどのホームの乗車側が開口部になっています。労働安全衛生法が適用できないのか、誰が見ても危険です。東海道新幹線や大阪地下鉄鶴見緑地線や京都地下鉄東西線、神戸地下鉄海岸線、地下鉄南北線・目黒線などではホームに柵があり公衆が線路上に転落しないようにしています。

電車に乗り込むと、乗客同士の喧嘩に巻き込まれる危険性や女子高校生から痴漢呼ばわりする危険性があります。これは死亡につぐ大きなリスクかもしれません。

最近では新型インフルエンザA(H1N1)に感染するリスクがあります。これだけ騒がれているのにほとんどの人がマスクを着用していません。

また、電車の運行もJR宝塚線脱線事故から大幅に改善されたとは言えない状況で、過密ダイヤの運行が続く限りいつ脱線転覆事故があるとも限りません。JR西日本が事故の反省からリスクアセスメントを導入すると発表していますが、まだ効果が現れているとは言えないようです。

我々乗客も電車にためのリスクアセスメントを一度やってみてはどうでしょうか。

2009年4月21日火曜日

リスクアセスメントの必要性を教える

リスクアセスメントを教育する機会が増えましたが、自分もまだ完全に理解していないものを人に教えるのはなかなか難しい。
おかげで最近は図書館に通い、安全管理の本を読み漁っています。

なぜリスクアセスメントが必要なのか?
これをうまく説明できないといやいや行うだけです。
それと、リスクアセスメントの基本的な考え方は国際的にも共通ですが、製造業と建設業の導入部分において少し違ってきます。早い話、建設業は混在作業なので実施体制が複雑になります。

実際に行わなければならないのは職長などの作業員であり、彼等に分かり易く説明できるようになるには更なる勉強の必要性を痛感しています。

物事を初心者にも分かり易く説明するのは、技術者の努めです。

2009年3月26日木曜日

リスクアセスメント規定の罰則

平成18年の労働安全衛生法正で第28条の二において、リスクアセスメントが努力義務化されました。

ただし、この条文には罰則規定がありません。
では、リスクアセスメントを実施しなければ、法的に何のお咎めも無いのでしょうか。

よく法令を読んでみると
 安衛法第10条(総括安全衛生管理者の職務)の五 労働災害を防止するための必要な業務で、厚生労働省令で定めるものとして、安衛則3条の2の二
危険性又は有害性の調査及びその結果に基づき講ずべき措置が規定されている。<50万円以下の罰金>

 安衛法第11条(安全管理者の業務)法10条各号の業務を行うこと。 <50万円以下の罰金>

 安衛法第17条(安全委員会)1項 調査審議事項として 三、労働者の危険の防止に関する重要事項として 安衛則第21条
二、危険性又は有害性の調査及びその結果に基づき項ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。 <50万円以下の罰金>

 これらを遵守しないと明らかに罰則が科せられるのは明白です。
しかし、法的にどのような場合に違反となるのか明白に規定できないので罰則を外していると思われます。
 しかし、民法上の企業の安全配慮義務が、労働契約法のなかで条文に盛り込まれました。

 労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。これまで裁判の判例により判断していたのもが成文化されたものです。

その内容は
1)危険予知の義務 :職場における危険、特に働いている人の周りにある危険を予知して発見する。いわゆる「予見可能性」といわれるものです。
2)結果回避の義務 :リスクを除去したり、低減させる。残留したリスクに対して作業者にその存在などを示し、日々の活動で危険が顕在化しないように対策を取ること。
これらの具体的な対策は、危険予知活動とリスクアセスメントです。

 リスクアセスメントは、予防安全の考え方と企業の安全配慮義務を安衛法に取り込んだものであり、これを実施していないと何らかの法的処分があるのは間違いありません。また、民法の企業の安全配慮義務にも抵触し、訴訟上不利になるのは間違いありません。
 労働契約法の解説では、企業の労働者に対するリスクアセスメントの説明責任を述べています。

リスクアセスメントを努力義務ではなく、絶対に履行しなければならない義務という認識を持つべきです。

2009年3月15日日曜日

安全文化とリスクアセスメント

安全文化が育っていないと、リスクアセスメントは形だけのものになるのではないか。

鉄道事業者は、リスクアセスメントをまだ導入を表明したばかりです。
2005年4月、死者107人を出したJR宝塚線脱線事故に対する新安全計画についての提言では「リスクアセスメント」の導入などが柱になっています。
なんと、鉄道事業の安全管理へのリスクアセスメントの導入は日本初らしい。
この例でも分かるように、リスクアセスメントはまだ普及しているとはいえません。

導入の理由は、建設業でもあげられている「過去の事故への対応を主体とする安全対策からの脱却が必要」とし、後追いの安全管理から先取りの安全管理の必要性を説いています。
形だけのリスクアセスメントでは意味がなく、真の安全衛生管理の意味を理解して普及させるにはかなりの努力が必要と思われます。また、施設の改修や速度基準の変更
の際、過去の事故などを参考に危険を事前に数値化し、点数の高い順に対処する方法をとるといっていますが、経済性と安全性のトレードオフをどのように調整するか、安全文化が育っていないとどうしても経済性を優先するように流れてしまいます。

リスクアセスメントを推進するには、組織の安全文化が育っていないと形だけのものになってしまいます。「安全をすべてに優先させる」という基本方針を掲げていても、本音では利益を優先するような場合、リスクアセスメントはなかなか効果を上げられないでしょう。

2009年3月4日水曜日

リスクアセスメントの課題

 リスクアセスメントは労働安全衛生マネジメントシステムの中核をなすものですが、先取り型の安全というものの、建設業においては形だけが先行してまだ効果が上がっている段階とはいえないようです。

何が問題なのでしょうか。
1.リスクアセスメントを実施する上での課題
1)店社で実施するリスクアセスメントが、過去の災害事例等をデータベース化しリスクを点数化されたものが多く、作業目前の具体的な危険性・有害性で表現できず抽象的な表現になっていることが多いようです。
2)工事量の減少に伴い現場担当者の経験が乏しくなり、安全知識の低い職員や職長では、的確な危険性・有害性の洗い出しができなくなっています。いわゆる技術の空洞化現象の影響が現れています。
3)リスクアセスメントの主旨が理解されておらず、また手順を理解していない場合、リスクアセスメントが表面的、一過性の実施に陥りやすい。したがって刻々変化する現場のリスクの変化に対応できません。また、現場担当者の負担と疲労感だけが残ることになります。
4)建設現場は有期事業であり、重層下請構造の混在作業であるため、リスクアセスメントに参加する労働者はその都度場所と参加者が変わり、ある特定の者だけで実施するリスクアセスメントになりがちです。

2.リスクアセスメントの理解不足
 職長教育におけるリスクアセスメントの教育内容を知らない元請職員は、協力会社をうまく指導することができません。

 法令でいう職長教育におけるリスクアセスメントの内容は以下の通りです。
 1)リスクアセスメントの実施手順
 2)作業手順書の作成とリスクアセスメント
 3)作業員の適正配置(職長・安全衛生責任者の役割とリスクアセスメント
 4)危険予知活動とリスクアセスメントの方法
 5)機械・設備の具体的改善方法(機械設備の本質安全化とリスクアセスメント
 そんなに難しい内容ではないのですが、ISOの二の舞を恐れて深く係わろうとしないのではないでしょうか。

3.リスクアセスメントの最も重要な実施時期が不明瞭
 リスクアセスメントの手順には、5つのステップがあります。
・ステップ1 :危険性又は有害性の洗い出し
・ステップ2 :危険性又は有害性の見積もり
・ステップ3 :危険性又は有害性の評価
・ステップ4 :危険性又は有害性の除去・低減対策の検討と実施
・ステップ5 :実施内容の記録

 製造業では、工場の各ラインについて関係者を集めてこの5ステップで行えばいいことがすんなり分かります。しかし、建設業の場合は店社があり、現場は有期事業であり、重層下請構造の混在作業であるため、全体を取りまとめる人が必要です。統括安全衛生責任者がリーダーシップを発揮しないとできないのです。

 そして、リスクアセスメントがどの時点で重点的に行わなければならないか、意外に理解されていません。当然、当該作業が行われる直前が最も重要です。しかし、現実には工事安全衛生管理計画書を作成する時に行って、そのままということはないでしょうか。工事計画時に、危険性・有害性の危険性が完璧に洗い出しできるわけありません。作業手順書を作成するときに危険性・有害性の危険性を漏れなく洗い出すことが最も重要です。

 建設業で行われているリスクアセスメントの方法は
①店社で主要工種の危険性・有害性の特定表を作成する
       ↓  ↓  ↓
②店社版特定表をもとに、工事安全衛生管理計画書で現場独自の危険性・有害性の特定表を作成し、重点管理項目を決定する。
          ↓
③工事安全衛生管理計画書で現場独自の危険性・有害性の特定表を協力会社安全衛生責任者に提供し、それを参考に作業単位ごとの危険性・有害性を特定し、見積もり、評価及びリスク低減対策を立て、当該作業の作業手順書を作成する。
          ↓
④当該作業を実施する前に作業手順の周知会を開く。
          ↓
⑤当日の朝、作業手順書のリスク評価を参考に危険予知活動を実施する。
          ↓(作業の実施)
⑥工事終了時、工事反省会を実施し新たな危険性・有害性及びリスク低減対策を店社のデータベースへ反映させる。

 実際に作業する労働者が危険性とリスク低減対策を理解していないと、いくら立派な工事安全衛生管理計画書を作っても意味がありません。

 また、作業手順書がただ形式的になって、どこに重点をおいてやれば最大の効果が上げることができるか明確になっていないことが多いようです。

 リスクアセスメントを普及させるにはISOのときのような関係者の疲弊を招いてはいけません。

2009年2月17日火曜日

SDSはリスクアセスメントの資料

SDSについて、まだ建設現場ではよく知られていません。

SDSとは、(Material) Safety Data Sheets(化学物質等安全データシート)のことで、労働者に危険もしくは健康障害を発生させる恐れのある化学物質等を譲渡するとき、提供者は譲渡・提供先に対してSDSの交付が義務付けられ、現場でも取り扱う作業場の見易い場所への常時掲示、備え置きなどにより労働者に周知しなければならないとされています。(安衛法101条、則98条の2、PRTR法14条)

建設現場でも、SDS対象物が以外と多いです。
塗料、剥離剤、ウレタンフォーム中の有機溶剤、接着剤、クリーニング工事の酸洗い材料など
建築現場には、MSDS対象物があちらこちらにゴロゴロしています。缶にもSDSの表示と、危険性について説明書きがあります。知らぬは元請職員だけというお寒い状態です。
とにかく缶のそばに「SDS」の表示が必要でしょう。

これまでは熟練した職長がいて、細かい指導を作業員にしていたが、熟練者がだんだんいなくなり、今までは常識と考えられていたことがそうではなくなるような事態が発生しています。
塗料が目に入って労災なんてことも、おかしくない状態です。

SDSは、リスクアセスメントの重要な資料にもなります。一度MSDSに書かれている有害性(毒性)について再度確認してリスク評価してみる必要があるでしょう。

2009年1月15日木曜日

リスクアセスメント診断

コンサルタント会支部研修会で厚生労働省委託事業であるリスクアセスメント診断の発表を行いました。

 対象事業場は製造業でした。この事業場ではまだリスクアセスメントを導入しておらず、一からの教育指導となりました。しかし、独自の安全活動を行っていて受け入れる下地は十分できていると判断しました。
 
その独自の安全活動ですが、
一つは、300×運動 :ハインリッヒの法則の300の部分をヒヤリハット報告で一つひとつつぶしていこうとする運動で、毎月かなりの量の報告が出ていました。
 
次に、ベルパトロール :トップ自らがベルを鳴らしながら安全パトロールをするもので、東レの元岐阜工場長である丹羽氏が始められたものを実践していました。

したがって、リスクアセスメントをするための資料が豊富にありました。
また、リスクアセスメントの演習では危険性または有害性を表現する方法がうまくできず、「〜とき、〜して、〜になる」という表現方法を指導し、原因と結果が明確になるようにすることによって、対策を立て易くするようにしました。
リスク評価はグループによって大きくばらつき、少し混乱が見られました。ここで指導したことは、リスクアセスメントで重要なことは危険性または有害性をとことん洗い出すことで、リスク評価は経験者を交えることと時間をおいて見直しをかけ現時点でのばらつきはあまり気にしないようにすることを強調しました。

製造業に対するリスクアセスメントは、固定場所で同じ人が行うので、時間をかければだんだんと精度がよくなっていきます。しかし、建設業の場合はそうはいかず、協力会社の教育が主体になり教育効果も限定的にならざる得ません。 

建設業におけるリスクアセスメントの重要ポイントは作業手順書の作成にあると思います。施工計画書段階では作業の細かい所まで危険性または有害性を洗い出すことはできず、工事全体の重点安全対策を策定することがメインとなります。また危険予知活動では細かいことをやる時間はありません。

最近感じることは、建設業でのリスクアセスメントが形骸化しないよいうにするためには、元請け職員にも職長・安全衛生教育を受けさせ、リスクアセスメントを職長と同じレベルで理解させる必要があることです。