狭い航路を大きな船がゆっくりと進む
芝生に寝転び読書をするのもいいし、メールも良かろう
こんな分教場で勉強できたら いいだろうなあ
鬼も閑そうに座っている
誰もいない海、爽やかな風に吹かれながら
ただ ぼやーっとして 遠くを眺めている
それだけで気持ちが落ちつくのだ
裁決は、海上衝突予防法の「横切り船の航法」を適用し、清徳丸が衝突を避けるための協力動作を行わなかったことを一因としながらも、「(あたごが)動静監視を十分行っていれば、接近する清徳丸に気付くことができた」などとしています。
港湾工事に従事するものにとって海上衝突予防法は熟知しておかなければなりません。しかし、近年の工事量の減少で港湾工事の経験者が減少し、航路の航行規則すら分からない若者が増えてきました。
海上法規の原則は2つです。
「海の上では、右側通行」
「動きやすい船が、動きにくい船を避ける」
海上衝突予防法 第十五条(横切り船)
2隻の動力船が互いに進路を横切る場合において衝突するおそれがあるときは、他の動力船を右げん側に見る動力船は、当該他の動力船の進路を避けなければならない。
この場合において、他の動力船の進路を避けなければならない動力船は、やむを得ない場合を除き、当該他の動力船の船首方向を横切ってはならない。
漁をしないで走っている漁船は動力船、セールをたたんでエンジンで走っているヨットは動力船。誰が見ても安易にわかる必要があり、海上衝突予防法に定めるそれぞれの灯火や形象物を表示しなければなりません。
海上自衛隊でもこのような基礎的なことが守られていなかったのです。
どこの会社でも「安全を全てに優先する」や「安全第一」など会社経営の基本方針として安全を最優先することを掲げています。
しかし、本気で実践する会社は意外と少ないと思われます。
建設工事では、営業が安い金額で無理して受注し、身動きも取れないような狭い現場で工事を進めなくてはならない状況で、現場には管理部門から工期を守り利益を出すことを要求されます。
そうするとどうしても無理をしなければいけない場面が出てきます。そのような場合に非常に不安全な状態にある場合、工程や利益を多少犠牲してでも作業を止めて安全確保を優先することができるかという問題です。
程度の差がありますが、誰が見ても非常に危なく、災害に繋がってもおかしくない場合は作業を一時中断すべきです。建設業も製造業でいうラインストップをできる環境にあるかです。
あるスーパーゼネコンは、会社のトップから末端の職員に至るまで、会社の信用に繋がるような不安全状態は直ぐに作業を止めて是正してから作業を再開するということをはっきりと言えるようになっているそうです。
現実はまだそのレベルに達せず、無理をやらせて災害に至るケースが多いです。
ラインストップという考え方は、トヨタ生産方式のなかで徹底されていることです。異常を発見したら直ぐラインを止めて原因究明し、再発防止対策を行う、品質と安全確保の基本となっています。ちなみに1分間ぐらいの短時間ラインを止めることを「チョコ停」というそうです。
不安全状態で作業を無理してやらせて災害が発生すると、何日も現場が止まり工程が大幅に遅れます。そうなる前に、現場でもラインストップやチョコ停を受入、先取りの改善を行うべきです。
安全管理は今まで空気のような存在であったかもしれませんが、これからは業務改善の最前線として存在感を示すべきです。「安全を全てに優先させる」はラインストップの考え方から実践できると考えます。すなわち安全文化の醸成です。
推薦図書(ブログ右欄) :「トヨタ生産方式と安全管理 −初めて明かされる安全管理活動の真髄」 鈴木 忠男 (労働調査会) を参照してください。