2009年11月2日月曜日

フルハーネス型安全帯の普及

安全帯には大きく分けて胴ベルト型安全帯とハーネス型安全帯があります。

日本では胴ベルト型安全帯が広く普及していますが、欧米ではハーネス型安全帯が主流です。さらに欧米では胴ベルト型を禁止している国もあり、シンガポールでも胴ベルト型安全帯の使用を禁止していて、フルハーネス型でないと使用できません。


胴ベルト型安全帯が禁止されている理由は、落下阻止時にかかる身体にかかる負荷が大きすぎるため、内臓を圧迫し重大な傷害を負うことがあります。実験でも数kNの衝撃荷重がかかるそうです。


自動車のシートベルトも当初は腰ベルト方式(2点式)でしたが内臓を圧迫して傷害を受ける危険性が大きいので、今では3点式シートベルトに変更されています。

最近、各地で体験型安全教育設備ができ、その中で胴ベルト型安全帯を装着してぶら下がってみることができるようになっていますが、実際にぶら下がってみると苦しくて長い間ぶら下がっていることができません。静止状態でぶら下がっても苦しいので、墜落したときなど相当な衝撃だと実感します。

人の命を救うための安全帯であれば、無傷で救ってあげなければなりません。

なぜ、フルハーネス型安全帯が普及しないのか、それは安全帯着用の運用方法にも問題があるかもしれません。建築工事現場の外周足場ではどこもかしこも「ここでは安全帯着用」の表示がありますが、ほとんどが安全帯を腰に着けているだけで使用していません。安全帯は個人用保護具でありリスク低減策としては最後の手段です。それを前面に出すため安易に考えてしまっています。

リスク低減の最終手段として使う場合は、安全な足場が確保できないときであり、フルハーネス型安全帯を着用させて作業をさせるべきです。
現場の中で、何が重要か、メリハリがついていないところからくるのだと思います。

危険性を伴う胴ベルト型安全帯には、たばこや酒と同じように「使用方法によっては、あなたを殺すことがあります」と大きく表示すべきです。ただし、二丁掛けフルボディハーネスは、重量が3kgもあり、慣れないと腰が痛くなります。

安全帯に関しては、シンガポールやインドネシアのほうが日本より先進性があると思います。

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