2012年4月18日水曜日

監督職員の災害

安全管理の指導的立場である監督職員がヒューマンファクターにより被災した場合の対応が一番苦慮する。

いつも朝礼で作業員に安全のコメントを喋っている監督職員が、こともあろうにクレーン台船から平台船に渡ろうとして転落し台船の間に挟まれた。当時やや波があり、渡ろうとした箇所には梯子もなかった。また、行く必要のないところに一人で行って、目撃者は誰もいない。

監督職員がルール違反を犯すと、協力会社や作業員に対し何も言えない状態になってしまう。それだけ監督職員の行動は慎重であるべきで、高い安全意識が求められる。

指導的立場の技術者には作業員の安全を確保するという安全に対する使命感と自ら安全のお手本を示すという指導者意識が必要である。これら意識を持たない者は技術者(エンジニア)とは言えず、指導的立場の職責を全うすることができない。

しかし、最近このような自称「技術者」が増えている。発電所工事やプラント工事等、大規模の建設現場には、専任の安全担当者が配置されていることがある。このような場合、監督職員が安全管理を自分の職務とは思わず、安全担当者に任しとけばよいという傾向に陥る。ライン管理とスタッフ管理の職責の違いを理解していないのである。

若い担当者には、技術者の基本職務は何なのか、もう一度考え直すことも必要である。

2012年4月1日日曜日

想定震度・津波高さの見直し

3月30日と31日、相次いで政府の関連部署から地震に関する情報が発表された。



30日、文部科学省プロジェクトチームより発表された東京湾北部地震(M7.3)の震度分布図です。東京23区及び横浜市の一部が震度6〜7の予想とになっている。この地震は、関東大震災級(M8級)が200〜300年周期で発生する期間の間に発生するM7級の直下型地震を想定している。関東平野に潜り込んでいるフィリピン海プレートがこれまでの想定より浅いことが分かり、今までの中央防災会議の予測を見直したものである。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/03/__icsFiles/afieldfile/2012/03/30/1319353_01.pdf
www.mext.go.jp

31日、内閣府の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」は、東海・東南海・南海地震が連動した場合(M9級)の最大の震度及び津波高さを発表した。今回は連動範囲を見直した結果、マグネチュードが東日本大震災やスマトラ地震と同規模となったものです。高知県黒潮町は最大津波高さ34.4mと予測されている。
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/15/kisya_3.pdf
www.bousai.go.jp


これらの情報から1これら、我々はどうしたらいいのか真摯に考えるいい機会である。もし、この予測通りの地震/津波が発生した場合、完全に防ぐ手当はないのは分かりきっている。しかし、少しでも災害を小さくする必要がある。減災の手を打っておくことである。


特に、産業や市民生活を支えるインフラストラクチャーやユーティリティーの減災対策は、最優先課題である。社会資本整備の投資は、この方面に重点配分すべきである。


東海道新幹線は営業開始してから48年経過し老朽化が進んでいる。一方、JR東海は、東京ー名古屋間のリニア新幹線を計画しようとしている。もし完成する前に東海地震で東海道新幹線が被災したら東京ー関西の交通が寸断され日本経済に大きな影響を及ぼす。利用価値の低い東京ー名古屋間のリニア新幹線は取りやめて東海道新幹線のリニューアルと高速/大容量化を進めた方が国民にとって良策である。


また、この震度予測図で真っ赤に染められているところにある中部電力の浜岡原子力発電所は、いくら中部電力が安全であると言っても市民は安心できない。無理してこのような立地に原子力発電所を維持する必要はなく、現在でも原子力発電所がなくてもやって行けるのであるから、今すぐにでも廃炉とするべきである。


一企業の利益誘導のためにインフラストラクチャーを整備するのではなく、市民の生活の安全・安心のために整備するように方針転換するべきと考える。もう企業経営者や政治家に、いい加減な想定外と言わせてはいけない。