2009年6月29日月曜日

各国の労働災害の特色

各国の全産業において発生した死亡災害を型別で見てみると各国の特色が出ています。

日本の全産業労働災害における死亡災害は
   1.交通災害
  2.墜落・転落
  3.挟まれ・巻き込まれ
  4.激突され
  5.崩壊・倒壊

英国では
  1.墜落・転落
  2.激突され
  3.飛来・落下
  4.崩壊・倒壊

米国では
  1.交通事故
  2.転落
  3.暴力行為
  4.激突され
  5.有害物への暴露

各国の労働災害統計のとり方が必ずしも同じではなく、その違いはある程度頭の中で補正して考える必要があります。

災害統計の対象は、日本では厚生労働省所管の労災保険対象者だけであるのに対し、各国は被雇用者とともに自営業も含みます。従って業種別に見るとリスクレベルが高い建設業と農業が上位になっています。

英国と日本は同じような傾向を示していますが、米国は暴力行為が3位に入っています。統計のとり方の差にもよりますが、銃社会が労働災害にも影響しています。

最近の日本国内の傾向として注意しなければならないのは、精神障害による労災認定と自殺者が増え続けていることです。業種別では建設業は3番目に多いですが、経済情勢の悪化が益々この傾向を強めています。もし労災認定が進めば、精神障害はかなり大きな割合を占めるものと思われます。
いずれにしても建設業の労働死亡災害が高く、各国共通の課題と言えます。

2009年6月25日木曜日

ケータイ依存症に注意

最近携帯電話を手放せない人が多くなりました。

現代社会では、携帯電話は必需品になりました。しかし、常に携帯電話で会話をしメールに熱中するのは問題です。

電車の中で周りの乗客を見ると多くの人が携帯電話でメール交換をするか、ゲームに熱中しています。電話で喋りながら歩く人やメールをしながら道を歩いている人が多く歩くペースが違うので歩きづらくて仕方ありません。ましてや、メールしながら自転車や自動車を運転する人もいるのでコントロールを失った暴走車両と鉢合わせする可能性もあります。

いわゆる「携帯電話依存症、ケータイ依存症」と俗称されているものです。この症状は年齢に関係なく蔓延しているように思えます。 常に携帯電話を持ち歩き、あちこちに電話やメールをしてその返事が常に返ってくることで安心し、少しでも返事が遅かったり来なかったりすると不安感や仲間からの疎外感を抱くようになります。

常にケータイ画面に見入っていて、周りに誰がいおうと気に入らず、携帯電話の世界に没入している状態です。 この状態が次第に仕事中まで広がっていくと非常に危険な状態、不安全行動を起こす不安全な精神状態になります。 以前、携帯電話でしゃべりながら玉掛をしている職長がいました。その職長の行動をずっと観察していると、業務中ずっと携帯電話で誰かとしゃべっていて、その合間に玉掛をしている状態でした。 このような状態では作業員に対する安全配慮まで気が回りません。

建設現場では、喫煙と同様に休憩室以外では携帯電話の使用を禁止すべきです。最近では携帯電話を使えなくする専用電波を局部的に発信することができるそうです。

携帯電話が普及することで便利になりましたが、その反面ヒューマンファクターに起因する危険性もましてきました

2009年6月23日火曜日

山口県の一酸化炭素事件

山口秋芳プラザホテルでの一酸化炭素中毒は、被災した人にとって全く予見できないことでした。

部外者なので、この事件については新聞報道で知りえたことしか分かりません。
なぜ、煙突に蓋をされていたのか。この施設を使わなくなったとき、老朽化が進まないように以前の所有者が蓋をしたものと思われますが、新たな使用者がこの施設を使用するとき、全くなにもチェックを行っていません。

その結果、不完全燃焼を起こしダクトの隙間からCOが漏れ、室内に充満して一酸化炭素中毒に陥ったものでしょう。詳細は警察と労働基準監督署の捜査で明らかになると思われます。

経営者は細かい法令を知らないでしょうが、ボイラーを再使用するに当たり専門業者などに点検させなければならず、それぐらいの管理上の知識は必要です。ボイラー業者も稼動するかどうかだけのチェックしかしていなかったのでしょう。

また再使用してからどれくらい時間が経過していたのか分かりませんが、今まで異常に気付かなかったのかということも疑問点です。

経営者の管理上の責任と、ボイラー業者の技術者としての責任が問われるべきです。

建設工事でも換気設備のない室内で発電機を動かし、一酸化中毒になる災害が発生しています。これなどはほとんど無知からくるものがほとんどです。今回のケースも経営者、ボイラー業者ともに一酸化炭素中毒の知識が全くなかったのでしょう。

2009年6月21日日曜日

ライトダウン・キャンペーン

クールアース・デー

ライトダウン・キャンペーンが夏至の6月21日と七夕の7月7日に行われます。洞爺湖サミットに応えてCO2削減を呼びかけるものです。
環境省は地球温暖化防止のため電気の照明を消すことを呼びかけており、今回は「クールアース・デー2009」と名付けられています。
詳しくは以下のホームページを参照。

各地で照明を消し、キャンドルナイトのキャンペーンが行われています。
これは毎年夏に奈良公園で行われる奈良灯火会の様子です。(昨年)
今年は雨模様でキャンドルナイトをゆっくりと楽しめそうにありません。

2009年6月18日木曜日

夏でも冬用タイヤは大丈夫か

私の車のタイヤを今頃になって、やっと冬用タイヤを履き替えました。

このタイヤは購入してもう10年になりました。 通常、冬用タイヤは経年劣化し数年で硬くなって冬用では使えないといわれています。
夏用タイヤがひび割れてきたので、この冬用タイヤを夏用として履き続けてきたのですが、そろそろヤバイかなということで交換しました。 冬用タイヤは溝が深いので走行音がうるさく燃費も悪くなるようです。

問題の走行安全性はどうかということですが、冬季の走行はゴムが硬くなり雪面のグリップ力が弱くなっているのでかなり危険です。 冬季以外の走行では、乾燥路面では音がうるさいのと燃費が悪くなり制動距離ものびる傾向がありまする。湿潤路面では急ブレーキの際、止まりにくくカーブを無理すると滑りやすくなると言われています。

市街地走行で買い物に行く程度ではゆっくり走っている限り大きな問題にはならないと思われますが潜在的な危険性があることには違いありません。 不況時における私生活の上で安全性と経済性のトレードオフに悩みましたが、神奈川日産に頼み込んで安いタイヤを確保することで何とか解決しました。

2009年6月15日月曜日

建設機械もハイブリッド時代が到来

自動車はハイブリッドの時代が到来したようです。

ホンダのインサイトが軽自動車を除く自動車の販売で1位になり、トヨタの新型プリウスも大量の予約注文が入っているそうです。どちらも自動車の価格を庶民の手が届く200万円前後に下げたこと、税金が安くなること、今後も燃料価格の高騰が予想され燃費の良い車に乗り換える動きにつながったと考えられます。プリウスの燃費1リットル当たり38kmは、スズキのワゴンRの25kmを大きく上回ります。

重機の世界でもコマツがハイブリッド・バックホウPC200-8 Hybridを発売する予定です。プリウスではブレーキを踏んだとき回生電流がバッテリーに供給される仕組みですが、バックホウでは旋回する際、回生電流がバッテリーに蓄積される仕組みらしい。従って、掘削など旋回する動作が多い作業はモータの補助が働き、燃費が30%程度低くなるそうです。

逆にブレーカー作業のように旋回を伴わない作業は燃費低減効果があまりないそうです。 エンジンは一クラス下の機械の物を搭載し、旋回はモーターを使用しているので音が静かになります。一方静かな重機は気が付かない内に近づいてくるので少し怖いような気がします。 まだ、少々価格が高いようですがハイブリッドの時代が着々と近づいているようです。

詳しい情報は、㈱コマツのホームページ

2009年6月12日金曜日

また起こった飛行機事故

エアフランス機が大西洋上で墜落しました。つい先月もインドネシアで空軍機が墜落事故を起こし多くの乗客が犠牲になりました。なぜか飛行機事故は連続するようです。

今回の事故の原因は速度計の異常が憶測されていますがまだ分かっていません。しかし機体の整備不良か設計上の構造的欠陥、製造ミス、操縦ミス、テロなどがない限り、乱気流や落雷にあっても通常は墜落するようなことは起こりません。飛行機事故の場合、根本的原因はヒューマンファクターや組織的欠陥に起因することが多いようです。

以前、千歳空港で発生した日航機の事故は、新人パイロットが操縦し、管制官が喋った英語での指示を聞き落とし、思い込みで行動に移したことが原因です。でも、多くの乗客を乗せている飛行機としては、あまりにもお粗末です。
一人のパイロットの注意力だけに頼るシステムがまだ残っているというのは恐ろしいことです。管制官からの指示に対する復唱が行われず、横に座っている正パイロットの確認もない。当たり前のことがなされていないような航空会社は信用が出来ません。こんな管理体制では今後日本航空には乗りたくありません。

直接原因が何であれ、ヒューマンファクターに起因する原因と組織の管理的な欠陥が浮かんできそうです。

現在、航空機の整備体制がきちっと取れていない航空会社や行政の監督が機能していない国の航空会社はEUに乗り入れることが出来ません。インドネシアの全航空会社や北朝鮮の高麗航空が該当します。

安全管理の第三者による審査は厳しくするべきです。自ら首を絞めるようでもありますが、安全衛生と環境をきっちり確保してこそ、企業として生き残れます。今後、益々安全担当者の存在が重要になります。

2009年6月8日月曜日

OHSMS内部監査

OHSAS18001内部監査員講習を受けました。

基本的にはCOHSMSと何ら変わりませんが、ISOのように四角四面であるような印象を受けますが、やはり運用であまり四角四面にしても良くないらしい。このような講習を受けることによって、今まで真剣に読まなかったOHSAS要求事項やILOガイドライン、厚生労働省の指針、CHOSMSガイドラインに目を通すようになったことです。

どのガイドラインも互いに近づいてきています。したがってCOHSMSで運用していてきっちり運用をやっていればOHSASでも認証を受けれるような気がします。 ただ問題点は労働安全衛生マネジメントシステムを導入して長い期間経過しているのに全く効果が出ないということです。労働災害や重大事故・災害が依然多く発生していることです。

厚生労働省の資料では労働安全衛生マネジメントシステムを導入している会社は災害が減少しているという発表をしていますが、建設業に限っては現実問題そんなことありません。 この点を質問したのですがなかなか明快な回答が得られませんでした。 多分外部監査のためのマネジメントシステムになっていて、運用が形骸化しているのかもしれません。
 
規格やガイドラインの示す通りきっちりやれば良いのでしょうが、会社によって、国によって安全文化も異なり理想と現状に隔たりがあります。

そこをどのように現状にあわせてステップアップさせるのかが我々安全担当者の手腕になるでしょう。

2009年6月6日土曜日

鎌倉の古寺

鎌倉は静かな古寺が多いです。

生憎の雨でしたが、極楽寺〜成就院〜御霊神社〜長谷寺〜光則寺とまわりました。
6月は紫陽花の季節で、通称「紫陽花寺」が多く花を見に来る人も多くいました。

成就院は鎌倉を代表する紫陽花寺ですが、お大師さんと縁が深いお寺です。御本尊は不動明王立像でなんとなく親しみが湧いてきます。同行二人。
どちらかと言えば観光客の方が多かったでしょうか...
長谷寺は最もポピュラーな紫陽花寺です。植物園のようなお寺ですが、しかし写経道場もあり観光客が少ない時期にお参りにくれば自然と一体になれるような良いお寺です。

小石に般若心経の一文字を書いて納経として、このところ続いている大きな災害を繰り返さないように観音様に安全祈願をしました。

2009年6月4日木曜日

技術の空洞化現象が災害として表面化

また都内で大きな災害が発生しました。

4月はマンション現場でアースドリルが転倒し道路を塞ぎ女性一人が亡くなり5人が重傷を負った。今度はタワークレーン解体中に旋回体が落下し1人が死亡1人が重傷を負う災害となった。もし通勤・通学時間帯であれば大惨事になるところでした。

なぜこのような大きな災害が立て続けに発生するのでしょうか。直接原因については関係当局の責任追及のための捜査があるため言及はできません。

元請けの管理が下請け任せになり、職員が技術的に関与しなくなり指導力が落ちていることがあげられます。また、協力会社においても熟練技術者が大量に定年を迎え技術的に経験が不足する作業員が現場をやりくりしている状態で、昔のようにこのオヤジに任しておけば大丈夫という状況からほど遠い状態になっています。

いわゆる「技術の空洞化現象」があらゆる場面に現れてきています。
それでは今後どうしていったらいいのか、多くの意見を求めて揉んでいく問題です。安全担当者としては、重箱をつつくパトロール主体から現場での教育にウェイトを移すべきかと考えます。

公衆の安全・安心を確保するのが技術者の仕事です。もう一度、技術者として安全・安心の確保がいかに大切か考え直す時期です。

2009年6月2日火曜日

厚生労働省の再編

麻生首相がまた振れています。

厚生労働省を再編すると行ったと思えば、そんなつもりで行った覚えはないという。

あまりにも不祥事が多い厚生労働省をなんとかしようということからつい口が滑ってしまったのだと思います。

でも、私は解体再編に大賛成です。 労働安全に限ってみても今の縦割り行政を一つにまとめた方がいいと思います。扱う保険によって災害統計が違うのはおかしい話で、船員であろうと一般労働者であろうと、農家であろうと労働中に災害が起これば労働災害です。

分割するなら「国民生活省」と「社会保険省」だけでなく、各省庁にまたがる労働安全行政も英国のように一本化して「労働安全衛生庁(SHE)」を設立して保険から分離し、すべての働く人のための安全衛生行政を行うべきです。

労働基準監督署の業務の労災保険業務を分離して、安全安心の確保のための中小企業や自営業などへの指導に軸足を移すべきです。 厚生労働省は、保険や薬事を通して大金が動き、既得権益を維持しようとする勢力が解体再編に抵抗するでしょう。

思いつきで発言する首相では真剣な議論は無理でしょう。 しかし、国会で真剣に議論してほしい課題です。