2010年5月26日水曜日

全国労働安全週間のマンネリ化を防ごう

全国労働安全週間は、もはやマンネリに陥っていないだろうか。

毎年同じように、今年は第何回目の全国安全週間で「みんなで〜しよう、職場の安全・安心」などのスローガンを掲げ、毎年ほぼ同じような実施要領を作成する。そして、現場はこれrもお決まりの実施計画を立て報告する。実施する前から報告書が作成できるような内容ばかりです。
もはやマンネリとしか言いようがない。

厚生労働省主導でこのような運動を実施するのは間違ってはいないが、実際にこの運動を展開する事業者は、もう少し独自色を出す必要がある。
安全法令や規則を基準にして、そこから逸脱していないかということしか管理することが出来ないいわゆる規則屋さんは、実施要領にあれもこれもとてんこ盛りになりがちで、結局いつもと代わり映えしないものになってしまう。すべて重要なことはわかるが、せっかくのキャンペーンなので、何かに絞り込んだほうが効果が上がります。

今回のスローガンはリスクアセスメントを進めようということなので、リスクアセスメント後のリスク低減対策の考え方である優先度を重視して、実施要領を決めるのが良いです。

海外では、International Worker's Memorial Day
(4/28)が有名です。全世界一斉に、労働災害で亡くなった人を追悼し、安全意識向上のキャンペーンを行っています。日本では労働組合の連合が参加していますが、あまり知られていません。

日本の会社が海外の事業所で日本と同じように全国労働安全週間を展開するには、現地労働者にとって違和感があり少し工夫しないとうまく展開することができません。逆に海外の現地労働者にもわかるような内容で展開するような内容を、日本国内で展開すると今までより効果が上がると思われます。

2010年5月19日水曜日

パロマ工業、企業の社会責任を重視

パロマ工業元社長の有罪判決が東京地方裁判所から下された。

パロマ工業製のガス湯沸かし器を使用した人が一酸化炭素中毒で死亡した事故で、メーカの責任の重大さを問い、業務上過失死傷罪で、5月11日、東京地裁は元社長に禁固1年6ヶ月執行猶予3年、共犯の罪で元品質管理部長を禁固1年執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。

この事件は、同社が1980年から89年に製造した湯沸かし器で1985年〜2005年に事故が28件起き、死者21人、重軽傷者36人を出した。この事故は、表面上パロマ工業とは資本関係のない契約修理業者が不正改造したために引き起こされたものですが、消費者の生命にかかわる重要な機器ということで、メーカの安全配慮義務が問われたものです。

従来の概念では、不正改造した職人だけが責任を問われると思ってしまうが、今回、重視された点は、メーカーの安全配慮義務であり、元社長が死傷事故の発生を事前に予見できたか(危険の予見可能性)、死傷者が出る結果を避ける対策を取ることができたのか(結果回避義務)であった。
「安全配慮義務の実行」とは、「災害を起こす可能性」すなわち「危険」を事前に発見し、その防止対策を講じることであり、それを怠った責任を問われている。

危険の予見の方法の一つとして、リスクアセスメントがあり、「機械の包括的安全基準に関する指針」が関係する。絶対に安全な製品を作ることは不可能であるということが基本的な考えとなっています。したがって、製品の設計をする際に予見される危険性をすべて洗い出して対策を取るリスクアセスメントを行い、かつ残留するリスクを使用者に知らさなければならない。今回、容易に不法改造できることは予見できたはずであり、実際に行われていたことを知りながら対策を怠ったことが危険配慮義務を怠ったことになります。

建設業において、危険の予見可能性についての対応は、リスクアセスメントやKY活動などが、それに当たります。したがって、リスクアセスメントは法律の面からも重要な活動といえる。

2010年5月12日水曜日

クレーンメーカーの各種技術提供サービス

重機メーカーが提供しているサービスに現場で有効に活用できるものがあります。

その一つが、クレーンメーカーが行っている各種情報提供サービスです。移動式クレーンの転倒事故が相次いでいますが、その一つに地耐力不足による転倒があります。
原因としては、もともと地盤の地耐力が不足している、地盤の転圧不足、敷鉄板が過小、敷鉄板への荷重が偏っているなどありますが、事前に「接地圧がどれぐらいかかるからどのような準備をしよう」という計画がなされていないことがあります。

法令では移動式クレーンの作業計画書を事前に作成し関係者に周知することになっていますが、それすらなかったり、あっても移動式クレーンの転倒やワイヤーロープの選定について何も検討されていないことがあります。

移動式クレーン計画書を作成するとき、メーカーの技術情報は参考になります。
以下のサービスには、それぞれ会員登録が必要です。

(株)タダノ
https://www.tadano.co.jp/service/data/register.asp
・アウトリガー反力の計算
・事故事例
・CADデータの提供

コベルコ(株)
https://www.kobelco-kenki.com/cris/top/home2.htm
・各条件におけるクレーン接地圧(LBCC)やアウトリガー反力(RTC)計算のサービス
・RTC走行軌跡図の提供
・CADデータの提供

日立住友重機械建機クレーン
http://www.hsc-crane.com/j/technical/
・各条件に置けるクレーン接地圧の計算のサービス
・CADデータの提供

2010年5月5日水曜日

高知県は資源王国

石油鉱業連盟が5年に1度発表する2007年の資料で、世界の石油は、あと約68年ぐらいで枯渇するとしています。世界の石油埋蔵量は調査の進展と採掘技術の進歩により毎年変化する。その結果予測値は、未発見資源の減少による可採資源量と経済成長の著しい中国などの需要増とのバランスにより想定されている。
一方、天然ガスの枯渇年数は、約98年と予想しています。この結果、石油の不足分は徐々に天然ガスに置き換えられると考えられる。

石油の需要増と供給不足は、更なる石油価格の高騰が予想されます。そして石油価格の高騰は、天然ガスの価格上昇と連動して電気料金や化学肥料や工業製品価格が上昇し、資源の乏しい日本経済を圧迫します。

しかし日本には、海洋に今まで手をつけていない資源が豊富に眠っています。
その一つがメタンハイデレードです。メタンが高圧力下で水の分子の籠に入って圧縮されたメタンで、太平洋の南海トラフ溝沿いに豊富に埋蔵している。日本周辺海域には約6兆m3のとメタンハイドレードがあるとされ、この資源量は、日本の天然ガス年間使用量の約百倍程度に相当するとされているが、まだ採掘技術が確立されていないのとコストがかかりすぎるので、実用化の目処が立っていません。
メタンハイデレードから取り出すメタンから燃料や化学材料の合成が可能になり、石油の代替になることが予想されます。

もう一つは海水に無尽蔵に含まれる酸化マグネシウムです。金属マグネシウムの微粉末を水と反応すると水素が発生する。この水素を燃焼することにより燃料として使えます。酸化マグネシウムを太陽光レーザーを使って金属マグネシウムに精錬する技術が開発され、にわかに期待が集まっています。

高知県は、産業が乏しく県民所得も全国で最も低いグループに属しています。しかし、目の前に豊富な海洋資源が眠っています。特に高知県沖の南海トラフは、メタンハイドレードの埋蔵域の中心に位置し、開発が進めば世界一のエネルギー生産基地になる可能性を持っています。
おまけに、森林資源や太陽光も豊富です。現在の中東のようなエネルギーのイニシアチブをとるのも、やり方によっては夢ではなくなります。

エネルギー確保は国家の生命線であり、バラマキ予算で国民のご機嫌をとるのもいいが、30年〜50年先の将来を見据えた技術開発に、国の予算をつぎ込んでもらいたいものです。