2011年12月21日水曜日

原子力発電所の存廃

2011年3月11日の大津波に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、世の中全体が原発廃止に傾きだした。東京電力や政府による当初の発表が混迷を極め、国民に正しいことが伝えられなかったことによる不安感が余計に原発不信感を増長させたのであろう。原子力安全保安院や原子力安全委員会の当事者意識にの無さには皆があきれかえった。政府の御用学者の解説も、情報管理されているようで説得力を欠いていた。その後の発表から、産官学の原子力村の人たちが利権確保のために原子力の安全神話を形成し、維持してきたのではないかと勘ぐることばかりであった。そのために原子力の安全対策の更なる改善が長年に渡りなおざりにされてきた。そして、現在の原子力発電所は、危険性のリスクが依然潜在している状態といえる。

原子力発電所の存続については、立地市町村の利益を享受している一部の人を除いて、国民の抵抗意識が強い。しかし、このまま、原子力発電所を廃止していっていいのだろうか。石油および天然ガスの可採年数には限り有り、毎年新たな油田やガス田が開発されていくものの、22世紀初頭には確保が極めて困難な状況に陥る。また、石油や天然ガスの価格が暴騰していくことが予想される。このまま、原子力発電を止めてLNG発電に切り替えればいいというわけにはいかない。もちろん水力や風力、太陽光などの自然エネルギの利用は、可能な限り推進すべきである。

どんな技術でも、過去にはいろんな失敗を繰り返し多大な犠牲を伴いながら改良しながら安全に使えるようにしてきた。そこに技術者のたゆまない努力が注がれてきた。蒸気機関のボイラーにしろ、爆発事故を繰り返し安全対策を確立してきた。原子力発電所の場合、リスク分析をもう少し掘り下げて検討し、更に改良していくことを怠っていたのではないか。電力会社の利益優先策と原子力保安院の安全意識の低さがこのような結果を生んだものと思われる。

22世紀のエネルギー確保の観点から、原子力発電所を今廃止すべきではないと考える。ただし、安全確保は最優先である。FMEAなどのリスク分析を行ない、国民が安心できるような安全技術を開発していくべきである。大幅なコストアップになるであろうが、さらに安全な新世代原子力発電所の開発を推進すべきである。

ただし、浜岡原子力発電所のような東海地震震源域のど真ん中に立地するような発電所は、即時廃炉にすべきことは、全ての人が同じ意見であろう。いくら電力会社の説明を受けても、東海地震が襲って想定外と言われてはどうしようもない。浜岡原発の東側の関東地方にとって、つねに脅威になることは避けたい。

2011年12月7日水曜日

労働安全コンサルタントの国際的認知レベル

日本の労働安全コンサルタントは、国際的にみて高いレベルなのだろうか?

米国と比べ労働安全コンサルタントの試験内容は、かなり難しく経験と基礎知識を要求することは同じであるが、日本の資格は一度取得すると永久資格であり更新制度が無いことが大きな差である。米国のCertified Safety Professional(CSP)は、5年ごとにCPDのポイントを一定基準以上取得することが条件になっている。労働安全コンサルタントは制度の上では継続研鑽としてCPDを取得することになっているが、更新制ではないためほとんどの資格者がCPDを行なっていないのが実態である。

資格更新ごとの力量の認定制度が無いこと、および大学において安全衛生、環境および技術者倫理についての認定を受けた講義が未だ整備されていないことが、米国がCSPと労働安全コンサルタントの相互認証を行ない理由だと考える。
米国の認定安全専門家委員会(BCSP:The Board of Certified Safety
Professionals)は、一部の米国以外の専門労働安全の対象者に対し、CSPの要求水準と同様の試験に合格している場合、CSP申請のプロセスでいくつかの信用を提供する協定を確立している。カナダのCanadian Registered Safety Professional (CRSP)、英国のChartered Member of the Institution of Occupational Safety and Health (CMIOSH)、シンガポールのSingapore Institute of Safety Officers(SISO)、オーストラリアのChartered Professional Member of the Safety Institute of Australia(CPMSIA)などがあげられる。

労働安全コンサルタント制度もCPDのポイントを250点以上取得すれば、CSP労働安全コンサルタントの称号を名乗ることができるという制度がある。しかし、なぜこの制度を資格者全員に義務づけ、5年ごとの更新制にしないのかが不思議でならない。

まだ労働安全の世界では、厚生労働省を頂点としたもたれ合いの古い体質が残っているのであろう。安全担当者は法の番人ではない。現場から離れた本社や支店にいて、たまに現場をまわって工事の問題点も理解せずに、ただ安衛法ではこうだから、とか社内基準だから守れと一方的に言うような安全屋はもういらない。現場の状況を理解した上でリスクマネジメントを技術者の立場で指導していくことが重要である。それには、安衛法だけでなく広い視野を持つことが重要であり、セーフティーエンジニアとして自立する必要がある。

労働安全コンサルタントはセーフティーエンジニアとして、自己研鑽を行い常に力量を向上させる必要があり、新規に更新制のあるAPECエンジニアの労働安全部門を新設してはどうかと考える。同様に労働衛生コンサルタントもAPECエンジニア(労働衛生)を新設することを提案する。

2011年11月16日水曜日

食料安全保障

2011年10月31日に世界人口が70億人に達したこと発表された。人口は産業革命以降急激に増え始め2050年には、93億人に達する見込みである。これほどの急激な速度で人口が増え続けるといろんな問題が予想される。まずは富が平等に分配されることはまず考えられず、貧富の格差が拡大して社会が不安定なる。次に食料問題である。現在でも米国では子供から大人に至るまで飽食で肥満が蔓延している一方、アフリカを中心に飢餓で苦しむ人々が多い。



国連人口基金東京事務所のウェブサイトより転載


現在、食料は先進国に十分行き渡っているが、地球温暖化が進み異常気象が発生する中で増加する人口をまかなうだけ穀物を増産することは難しいであろう。記録的なエルニーニュにより世界各地で大干ばつが発生したに1972年は、各国の穀物の生産が大幅に落ち込んだ。米国は1973年大豆禁輸措置をとった。飢餓で苦しむ人が多くいる中で米国の高官は「アメリカの消費者の夕食をまずは用意した」と語った。日本は、戦後の米国の政策により小麦、大豆、トウモロコシのほとんどを米国に頼らざる得ない状況に陥っており、少しでも米国人の満腹感を満たされないような状況に陥った場合、穀物が手に入らない事態に陥ることが予想される。


中国四国農政局ウェブサイトより転載

一方、日本の食料自給率は先進国の中で飛び抜けて低い。カロリーベースでみた食料自給率は、1972年において英国で50%、ドイツで72%、スイスで48%であったのに対し、2007年時点をみると、英国で65%、ドイツで80%、スイスで52%と向上している。一方、日本においては、カロリーベースでみて1972年に57%であったものが2010年は39%へと減少している。食料はエネルギーにつぐ国家の生命線であるため、現状の脆弱な状態は何とか改善の方向に向かわせなければならない。

TPPは、日本食料安全保障のうえで逆行し、米国が利するだけで日本の穀物確保は米国の言いなりになってしまう恐れがある。まずは、ASEAN+3に参加し、アジアでの立場を確立することが重要ではないだろうか。米国に対して何もかもオープンにしてしまうのはまだ時期尚早と考える。深刻なデフレ経済から脱却できず、世界経済が益々混迷を深めていく今こそ、食料問題について真剣に考える必要がある。

2011年11月9日水曜日

玉掛用具のSWL

SWLは、Safe Working Laodの略で、使用安全荷重のことである。

玉掛けに使用するワイヤーロープの種別・公称径の選定の選定方法には、⑴安全荷(SWL)表による方法、⑵吊り角度と張力係数による方法、⑶モード係数による方法がある。SWL表による選定は、条件を設定して表から選択するだけで非常に簡単である。しかし、あまり活用されているとは思えない。

シャックルやリング等の玉掛用具にもSWLがあり、JIS製品にはSWLが刻印されている。1996年にJISが改訂され、表示がSWLからWLL(Working Load Limit)に変更されているが、数値は同じである。

SWLはあまり理解されておらず、現場でメーカーからSWL表を取り寄せていないところが多い(インターネットでも簡単に入手できる)。
SWLが0.5tonのシャックルと、破断荷重が40kNのリングを連結して両端から引っ張った場合、どちらが先に破断するかという問題は、SWLを理解していないと解けない。

ワイヤーロープの基本安全荷重(SWL)は、1本のワイヤーロープで垂直に吊ることができる最大の荷の質量を表し、切断荷重(破断荷重;kN)を安全係数で割って求める。
SWL表には、2本吊りと吊り角度別の使用安全荷重も表示されている。難しい計算をする必要はなく、この表さえあれば容易にワイヤーロープの選択が出来るようになっている。

                                              荷重(破断荷重;kN)
基本安全荷重(質量;ton)=---------------------------------
                                                 9.8×安全係数

                                      ≒ 0.008×ワイヤーロープ径2(mm) : 簡易式

玉掛に使用するワイヤーロープの安全係数は、日本では6以上あるが、欧米では5以上を使用する。玉掛用吊りチェーン、シャックルは5以上を使用する。また、人に係わるワイヤーロープ、例えばエレベーターのワイヤーロープの安全係数は、10以上を使用する。

SWL0.5tonのシャックルの破断荷重は、0.5×9.8×5=24.5kNリングの破断荷重は40kNであるので、シャックルが先に破断する。

玉掛け用ワイヤーロープには、SWLの刻印または、タグを付けておけば、現場でもワイヤーロープの適否がすぐに確認することが出来る。日本国内では、このSWLによる管理が理解されていないのが現状のようだ。

2011年11月2日水曜日

室内安全教育の改善

災害などが発生した後、かならず安全衛生教育を行って再発防止の徹底を図っている。また、災害が発生した時は、誰もが二度と災害を発生してはならないという意識が高まるが、時間が経つに従って災害の記憶が徐々に薄れ、安全意識も低下してくる。そのために、定期的に安全教育を行って、安全意識の再度引き上げを図っている。安全意識を向上させるためにも安全教育は必要ということが判る。

しかし、効果的に安全意識を引き上げ、それを長い間持続できるようにする教育となると非常に難しい。ヘルマン・エビングハウスの忘却曲線によれば、通常の人間は講義で学習したことを20分後には42%忘却し、1時間後には52%忘却し、1日後には74%忘却するとしている。

最近は、パワーポイントを使った講義方式の教育が多いが、パワーポイントは講義をする側にとっては、非常に楽に講義が行える反面、受ける側にとっては、画面が次々に変わっていき、全く記憶に残らない。また、教える項目があまりにも広範囲で量的に詰め込み過ぎる場合も、全く記憶に残らない。特に、パワーポイントを使った安全教育は、ヘルマン・エビングの忘却曲線以上に忘却すると思われる。
発言機会が少なく、メモを取らなくて済み、ただ受動的に聞いているためこのようになるのであろう。

また、参加型のグループ討議は、積極的に参加したものにとっては多少内容が記憶に残る。ただし、グループが大人数になると、そのグループの中で受け身になって発言しない者、グループでの発表内容を、結論からつくっていって討議を簡単に済ましてしまおうとするグループ(要領のいい人達)、グループ討議が間違った方向に向いていても講師の技量不足でそのままにしてしまい、目的に会った研修ができない場合等の問題がある。

安全教育は、出来る限り少人数で、受講者が他の受講者と意見をぶつけ合う形をとれば、その内容については強く記憶として残るであろう。講義は、議論を戦わせるための導入としての知識の提供に留める。そして、講師には、議論を旨く導く技量が必要になる。パワーポイントの講義は、資料を用意しておけばそれを説明するだけで終わるが、議論を上手く誘導するにはシナリオがないので、いろんなケースについて予め勉強しておかなければならない。

最近、上手く行ったケースとして、簡単な話題を2人で意見をぶつけ合い、結果の発表は求めない、というやり方で、このケースは絶対に受け身で入られない。結論をまとめる必要がないので遠慮無しに自分の意見を出すことが出来る。問題解決をグループ討議で行い意見をまとめる場合でも、あえて3人のグループにしてみると、全員がよく意見を出すようになった。

室内でも安全教育について、改善をしていきたいが、いい方法があったら教えて頂きたい。

2011年10月26日水曜日

セーフティポリス

店社の安全衛生部長の中には、未だに現場に法令順守を押し付ける人がいる。

労働安全衛生法を遵守することは、重要である。しかし、現場で働く労働者にとって、「労働安全衛生法の第○○条に決められているから守らなければならない」と言われても、法律に詳しい訳でなく、なかなか納得しがたいものである。そのような、労働者の知識レベルや気持ちを考えず、やみくもに法令に定められているから守りなさいと行っても反発されるだけである。

安全衛生部長は、労働安全衛生法を熟知しておく必要があるが、現場で指導するときはそれを前面に出さず、「もし今の状態で作業を行うと○○○の危険があるから、改善しよう」と労働者に分かりやすく説明する必要がある。店社の安全衛生部長は労働者に危険性を判りやすく説明できる能力が必要である。決して、法令を押し付けるセーフティポリスになっては行けない。

新しい時代の、安全衛生担当者は、社内では安全衛生管理の戦略を立てる者であると同時に工事担当者や労働者に対してセフティーコンサルタントであるべきである。

2011年10月19日水曜日

リスクの再評価

リスクとは、人体に危害や傷害を与えるような危険な事象または暴露の発生の「可能性」と、事象または暴露によって引き起こされる負傷または疾病の「重篤度」の組合せをいう。「可能性」と「重篤度」の掛け算または足し算の数値によって、L(低い)、M(中程度)、H(高い)と評価することが多い。

リスクアセスメントでは、まずハザード(危険性または有害性)を洗い出し、そのハザードによって生じるリスクを評価する。そしてリスク低減策を立て、それによってリスクがどの程度下がるか再評価してALARP(as low as reasonably practicable)領域にあるリスクを合理的、実行可能な範囲で低減できるリスクまで下げることを繰り返して事業場の安全性を高めていくことである。

リスクアセスメントで最も重要なことは、ハザードを漏れなく洗い出すことである。実際、リスクアセスメントの演習を行うと、ハザードの洗い出しが不十分であるにもかかわらず、リスク評価に時間が多くとられることが多い。しかし、演習の結果、各グループが発表すると、いかにリスク評価にばらつきが出るかということも判る。リスク評価は組織の持つ安全文化や個人の経験の差によりばらつきが出るのは当然であり、内部監査等でリスクの評価値がおかしいという指摘もどうかと思う。

ただし、リスクを再評価するときの考え方をしっかり把握しておく必要がある。リスク低減策を実施した結果、予想される災害や疾病の起因物そのものがもつエネルギーや毒性が減少することによって事象又は暴露によって引き起こされる負傷又は疾病の重篤度が低くなる場合は、「リスクの重篤度」は下がる。しかし、エネルギーや毒性が下がらないのに評価値を変えている場合が多い。リスク低減策により災害や暴露の可能性は下がるが、本質的なリスク低減策を行っていないと「重篤度」はあまり変わらない。
例えば、3mの高さの棚の最上段に20kgの機械が置いてあるが、安定が悪く落下して通行人の頭に当たり死亡する危険性があったとしよう。この場合、「落ちないように機械を固定した」では、落下する可能性は減少するが、もし固定が外れた場合、同じような死亡災害が発生する。しかし、この機械を高さ50cmの一番下の段に置いて固定する場合、「可能性」および「重篤度」ともに下がる。

リスク評価がM(中程度)、H(高い)となった場合はリスク低減策を立て、なおかつ再評価してH(高い)からM(中程度)以下にしないと作業を行ってはならないと社内マニュアルに記述している場合がある。これは労働安全衛生マネジメントシステムの内容どおりなので正しいことであるが、再評価がめんどくさいから最初からリスク評価をH(高い)にしないような評価や、先ほどの例のように「重篤度」が変化しないはずなのにM(中程度)にするために「重篤度」を下げているケースをよく見かける。特に建設業ではリスクの評価がリスクアセスメントの普及に害になっているのではないかと考える。

受容できるまで繰り返しリスク低減策を講ずるALARPの考え方は、非常に正しいが、建設業のような不特定の場所でいつも違う作業員が行うような場合は、リスク評価の部分をもう少し簡略化しないと普及しないと考える。リスク評価の辻褄合わせに走るようなリスクアセスメントは改善していかなくてはならない。

2011年10月12日水曜日

溶接ホルダーを握ったまま海に落ちると....

陸上で溶接作業をしていて、あやまって溶接ホルダーを握ったまま海に落ちると間違いなく死亡災害になる。

あり得ないようだが、いつ落ちてもおかしくないような足場や筏で鋼管杭の継ぎ手箇所の溶接や地盤改良船のケーシングパイプなどの修理をしているケースをよく見かける。

水中溶接ができるのだから、海に落ちても問題ないだろうと考えるのは大間違いである。水中溶接は、通常、直流電源を使用し電撃の危険性は交流電源の六分の一程度であり、溶接ホルダーも陸上用とは全く異なり絶縁性能もかなり高くなっている。しかし、陸上用溶接ホルダーは握り部分の直近が充電しており、ホルダーを握ったまま落水したとたんに感電死します。

そしたらどうしたらいいか、当然落ちないような足場や手すり、波を被らないような高さの足場にすること、絶縁手袋を着用して作業することなどです。

それでも溶接作業者が海に落ちてしまったら....そのときは運を天に任して溶接ホルダーを思い切り遠くへ放り投げるしかないであろう。人間は危険な状態に陥ると思いっきり何かを握ってしまう習性がある。それを離せというのは相当落ち着いてなければならない。水中部では充電部から同心円状に電圧が急激に降下し、50cmも離れると電圧はほとんどゼロに近くなる。そして接地の位置との関係により回路の中に入っていようと十分離れていれば問題がなくなる。

しかし、海に落ちたときのためにホルダーを遠くに投げる訓練をするのは愚の骨頂である。まずは、本質安全を図ること。すなわち溶接しなくてもよい工法を考えること、次に海中転落しないような安全な設備を設けることである。最悪のことを考える必要はあるが、まずは本質安全である。

2011年10月5日水曜日

労働安全コンサルタント試験の直前対策

10月19日(水)の労働安全衛生コンサルタント試験まであと2週間あまり、毎日過去問題に取り組んでいる人が多いと思われる。

試験の直前は、あまり多くの問題集本に手を付けず、基本に戻って「新しい時代の安全管理のすべて」を心を落ち着けて読み返すことをお勧めする。最初から最後まで読むだけで2週間経ってしまうかもしれないが、今まで気がつかなことに気がつき、問題集を解くよりも効果があると思われる。

今まで一度も読んでいない人は、自分の自信のある分野だけでも目を通しておくでしょう。また、Webサイトには、いろんな情報が飛び交っているので、余り気にとらわれない方がよい。土木技術者に苦手な化学物質名は、得意でなかったら無理に覚えなくてもよい。当日、このような問題は日本語として文章がまともかどうか、そのような観点から攻めてはどうか。

法令集を読み返すことも重要です。クレーン則やボイラー則、構造規格などは土木技術者の弱い所なので、よく理解しておく必要がある。

あと2週間しかないので、体調を整えることが最も大事です。そして、仕事が忙しい人は、時間がないとぼやかずに、少ない時間でも逆に集中力が増すので、ここが踏んばり時です。

さあ、がんばりましょう。

2011年9月28日水曜日

自転車運転者の法令無視

 自転車を運転する人に法令順守しない人が多すぎる。いや、それどころか法令等、ルールを全く知らないのだ。自転車はあくまでも車両であり、道路交通法の縛りを受ける。英国では、自転車は歩道を絶対に走ってはならないし、走った場合の罰則は非常に重い。歩行者優先は徹底されている。

日本では、のんびりと歩道を歩いていると、後ろからベルをけたたましく鳴らして追い立てられる。オバさん等止まり方も分からず、そのままぶつかってくる始末である。警察が取り締まりをしようとしないことも、法令がなしくずし的に無視される原因であろう。しかし、一度事故を起こすと莫大な賠償金を負わされることになる。

かつての事例では、
1. 女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、前方を歩行中の看護師(57歳)の女性と衝突。看護師には重大な障害が残り、賠償金5,000万円を支払った。
(平成17年横浜)

2. 男子高校生が朝、赤信号で交差点の横断歩道を走行中、旋盤工(62歳)の男性が運転するオートバイと衝突。旋盤工は頭蓋内損傷で13日後に死亡し、賠償金4,043万円を支払った。
このような大きな代償を払うまで理解できないのである。

主な自転車に関する規制には以下のものがある。
 − 酔っ払いながら運転した(5年以下の懲役か100万円以下の罰金)
 − 一時停止の標識を無視し、安全確認をしなかった(3ヶ月以下の懲役か5万円以下の罰金)
 − 信号を無視して事故の遭った場合、無視をした自転車も罰則の対象になる(3ヶ月以下の懲役か5万円以下の罰金)
 − 車道の左側を通行して事故を起こした(3ヶ月以下の懲役か5万円以下の罰金)
 − イヤホンやヘッドホンをしながら運転をする(5万円以下の罰金)
 − 携帯電話を使いながら運転した(5万円以下の罰金)
 − 夜間やトンネルで無灯で走った(5万円以下の罰金)
 − ブレーキが利かないなどの整備不良の自転車で走行した 5万円以下の罰金
 − 傘を差しながら運転した(5万円以下の罰金−二人以上並んで走行した(2万円以下の罰金か科料)
 − 二人乗りで自転車に乗った(幼児用座席の幼児を除く(2万円以下の罰金か科料)
 − 歩道で徐行や一時停止せずにむやみにベルを鳴らして走行した(2万円以下の罰金か科料)

自分でも身に覚えのあることばかりだ。これぐらいのことを守れないと、安全教育の場で偉そうに「コンプライアンス」や「法令順守」などと言えないのである。

2011年9月21日水曜日

野外作業は落雷のリスク

かつて土佐高校のサッカー部員が落雷事故で障害を負ったことは、まだ記憶に新しい。

経過は以下の通りである。1996年8月、土佐高校サッカー部が大阪府高槻市体育協会主催のサッカー大会に出場した。午後から、上空には暗雲が立ち込めて暗くなり、時々雷が聞こえていたが3時過ぎには豪雨になった。試合が始まる直前に雨がやみ、上空は明るくなったが、依然雷鳴が聞こえ、稲光も確認できた。第二試合は午後4時30分に開始されたが、その直後に土佐高校のサッカー部員が頭部に落雷を受け、意識不明となり、その後重度の障害が残った。

2006年3月、最高裁は、事故当時、落雷事故を予防するための注意に関する文献上の記載が多く存在していたなどとして、指導教諭は落雷事故発生の危険が迫っていることを具体的に予見することが可能であり、また、予見すべき注意義務を怠ったと判断し、高松高裁に差し戻した。
2008年9月、高松高裁は、指導教諭は試合中止や延期を申し入れたり、避難させたりして事故を回避できたのに、漠然と試合に出場させた過失があったとして、安全配慮義務の過失を認め、被告に賠償金の支払いを命じた。

このように悪天候での野外行事には落雷のリスクが伴い、管理監督者には危険を予見して事故を回避する義務がある。建設現場は野外作業が多く、同じように落雷のリスクがあることを忘れてはならない。発破作業では落雷のリスクを重要視するが、通常の土木工事では余りリスクと感じていないことが多い。

落雷は雷鳴が聞こえる距離(約10km)より離れた所でも生じることがある。 
対策は、雷鳴が聞こえたら、すぐに作業を中止して安全な場所に避難することである。そして、造成現場などで、高い木の下に逃げるのは危険である。落雷は高い木に生じることが多く、樹木よりも電気伝導率の高い人間の身体を通って電気が流れ感電死する可能性が高くなる。逃げる場合は、木の枝葉を含めて高い木から4m以上離れ、木の先端から45度の範囲外、かつ木が倒れても十分な距離に逃げなければならない。現実には、高い木は非常に危険で、早めに建物内や車の中に逃げることである。

海上では、起重機船のブームの先端や杭打船の櫓の先端に落雷し、船体表面(鋼板表面)を通って海中に電気が流れて行く。従って台船上に立っているのは危険で、船内に逃げるのが安全である。

建設工事に従事する職長や監理技術者は、落雷に対する予知と危険回避義務の責任を負い、稲光をただぼんやりと眺めていてはいけない。一刻も早く作業員を安全な場所に退避させる責任がある。

気候温暖かが進むと、今まで以上に落雷のリスクが高くなることを注意した方が良い。

2011年9月14日水曜日

登山携行品のチェックリスト

山に登る前日、ザックに荷物を何回も出し入れしてパッキングをするのは楽しいものだ。
何か忘れ物はないかといつも心配になるが、チェックリストがあると安心だ。チェックリストは、登山のリスクアセスメントの一部でもある。二泊三日の小屋泊まり山行だと、35〜40リットルのザックを担いで行くことになる。

まず、必要なのが二万五千分の一の地図とコンパスだが、最近は持って行く人が少ない。また、地図を読むことさえもできない。昭文社の山と高原地図だと等高線が薄くて、細かな地形を読むことができない。地図がないと道に迷い遭難するリスクがある。着替えの下着を詰め込むとき、ポリプロピレン製のTシャツかどうか確認する。もし雨に濡れた場合低体温症になるリスクがある。あれやこれやとリスクを想定しながら詰め込んでいく。

チェックリストは長年の失敗等から自分で作成した。最近なくてはならないものになってきたのが、ステンレスのワイヤーである。これは、最近の登山靴のソールがあまりにも早く劣化して剥がれてしまうので、いざという時のためにワイヤーでぐるぐる巻きにするために持っている。また、環境保全のため携帯トイレを持って行くことも常識になる日が近いであろう。今のところキジ撃ちで済ましているが、せめてトイレットペーパーを持って帰ることぐらいは守りたい。
チェックリストにはないが、山での軽い宴会のための酒とつまみのリストを作るのも、山へ行くまでの楽しみの一つである。山では、大酒は厳禁であるが、日が暮れるまで外のベンチで酒をちびりちびりやるのも楽しい一時である。山で事故を起こさずに楽しく酒を酌み交わせるのは天上の楽園に来た気分になる。チェックリストに従って準備し、心の準備をしっかりして安全な登山ができることを望む。

2011年9月7日水曜日

技術の空洞化

日本経済は、デフレ経済から脱却できないでいたところに、東日本大震災、福島第一原子力発電所による放射能汚染と電力不足、ドル安に絡む超円高の三重苦に直面する事態に陥った。輸出関連企業を中心に危機感が一段と強まっており、超円高がこのまま続けば、生産拠点の海外移転と国内産業の「空洞化」が加速すると予想される。9月以降の内閣改造後、増税も予想され企業や国民の負担がさらに重くのしかかる。

世界は、経済自由化の流れに乗って、韓国やASEAN諸国は自由化促進し経済を活発化させているが、日本は農業団体や建設団体が外資の国内乱入をかたくなに拒んできた経緯があり、いまのところ自由化には二歩も三歩も遅れを取っている。このままでは日本経済は孤立し、生産拠点の海外移転と国内産業の「空洞化」の加速度がさらに増すであろう。
国内産業の「空洞化」は、「技術の空洞化」にもつながる。ベテラン技術者の大量退職の時代を迎え、すでに技術の伝承が大問題となっている現状が更に悪化することが予想される。理科系離れが進み、国内のモノづくりが軽視されている。このままでは日本でモノをつくらなくなり、今ある先進技術は海外に流出していくであろう。

これは国の将来に危機的なことであるのに政府は無策である。いくら中国やASEAN諸国が世界の工場になったといえ、アメリカやEU諸国では今もモノづくりをやめていない。発展途上国ではできないモノづくりを行ない新しい産業を育てて技術者を育成することがこれからの日本にとって重要なことである。

そして国内の需要が急激に縮小するような産業、特に建設業は海外に出るしかない。韓国が通貨危機により国内経済が壊滅状態になったとき、建設業者は海外に出ざる得なかった。しかし、今では世界のトップ企業と肩を並べるまでになり、技術者も国際的に戦える状態まで成長した。それには、韓国政府のバックアップもあり、国内の仕組みの国際化を進めた結果である。

現在の日本の建設業は商社化してしまって、技術者の技術力が非常に低下している。効率化ばかり求めるのではなく、もう一度自らが機械や道具を使って技術を磨くべきである。いわゆる直営化の復活である。この技術力が伴わない限り海外へ進出して利益を上げることは無理である。

技術の空洞化を解消する方法は、技術者が身体を汚して働く泥臭いことからしか解決し得ない。

2011年8月31日水曜日

「防災の日」を迎えて

9月1日は、「防災の日」。

近頃、横浜の大手自動車メーカー系のショッピングモールに行くと、あるスーパーマーケットでは商魂逞しく防災用品がレジ付近に山積みされている。おなじみの手動発電式のラジオ・懐中電灯、乾パン、缶詰、カロリーメイト、水など。しかし、せっかくの「防災の日」を迎えるにあたって、買物中に火事や地震、大雨になったときにどのように対処すればよいか、ということぐらいスーパーマーケットが買い物客に分かりやすく資料を掲示してはどうかと思うが、このスーパーマーケットは物を売ることしか考えていない。

関東大震災の9月1日、阪神大震災の1月17日、東日本大震災の3月11日と大震災が続き、「防災の日」もインパクトが分散してきたように感じる。

我家の防災対策は、防災用品を2つのザック(20リットル)に入れ玄関に置いている。中身はレインウエア(山用)、皮手袋、マスク(N95)、単三電池、懐中電灯、ミニクッカー、マグカップ、SOYJOY、缶入りソフトパン、リッツ、水(1500ミリリットル)、胃腸薬、バンドエイド、筆記用具、下着上下など。また、すぐ横にはヘルメットと保護メガネも置いている。
一方、電気やガスが止まった場合に備えて、LED懐中電灯や登山用ストーブおよび単三・単二充電式電池(SANYO ENELOOP)を確保している。飲料水は別途1リットルのペットボトル(サントリーの南アルプスの天然水)を6本、米はご飯パック(サトウ)、レトルトカレー(ハウス)の保管している。したがって材料さえあれば料理は何でも作れる状態である。
トイレの水は鶴見川に汲みに行くしかないだろう。またベッドの周りには落ちてくるものは何もないようにしている。

我が家で防災用品が必要になる災害の想定として、マンションの火災、地震によるマンションの倒壊、大雨で鶴見川が氾濫によるかまたは内水氾濫、近くの送電線の倒壊、航空機がマンションに墜落する、テロによる横浜市内の放射能汚染または最近汚染などが考えられる。しかし、火災以外はどれも可能性が非常に低い。通常の地震や台風の場合、近くの学校等の避難所に行くよりマンションにいるのが一番安全である。ただ、避難所に行かないと救援物資を受け取れないことが予想される。

今回の大震災では帰宅困難の問題が発生した。会社にいる場合はそのまま朝まで待機していれば問題ないが、外出先にいる場合身動きできず、帰宅困難者を保護する場所が少ないことが明らかになった。最悪の場合、歩いて帰ることも視野に要れ、帰宅ルートをよく覚えておく必要がある。家庭や会社ではいろいろと備えをできるが、外出先での対応をもう少し真剣に勉強しておく必要がある。

普段は鞄の中には電池式携帯電話充電器、LEDライト(自転車用)、ウェトティッシュ、スーパー袋、傘等を入れている。地震のとき街中ではガラス片や看板が落ちてくる可能性があるので、ビルからすぐに離れる必要がある。一番怖いのは超高層ビルの火災と地下鉄や地下街の浸水であろう。常に何処に逃げればいいか考えながら歩かなければならない。

常にリスクマネジメントである。

2011年8月24日水曜日

登山中の熱中症対策

今年の夏はとにかく暑かった。登山中も汗が止まらず、タオルがびっしょり濡れる状態であった。
7月末に高尾山から景信山まで歩こうとしたが、余りの暑さに城山で断念。かつての六甲山縦走の訓練として夏に須磨から縦走して摩耶山を登る予定であったが、余りの暑さに途中で断念したことを思い出した。

我が大学のワンダーフォゲル部でも熱中症で倒れる部員が出た。もう38年も前になる話だが、6月に新人錬成合宿を恵那山で行なった。その当時は、登山中は水を飲んでは行けないということで、自分の担いでいる水を勝手に飲むことが許されない。今では考えられないことであるが、水を飲むとばてるか羅飲んでは行けない、究極の状態を経験しておかないとアルプスを縦走できない、アルプスでは水が手に入らないので水は貴重品であるなど、いろんな理由を先輩から教え込まれ、そのことが正しいことのように思っていた。しかし、とうとう犠牲者が出た。まだ恵那山の中腹であったので、山の木を切って自分たちの上着を木に通して即席担架を作り、4人で担いで林道まで降ろした。すぐに病院に搬送し点滴を行なったが、後遺症として肝機能障害が残った。
私が卒業した年の新人錬成合宿は、伊吹北尾根で行なわれたが、とうとう死者を出してしまった。またも熱中症であった。

登山は、非常にハードなスポーツであり、熱中症は夏ばかりでなく春や秋にも発生する。今では、登山中はこま目に水分補給をとるようにしている。一番気をつけていることは、登山のペース配分である。メンバーやパーティーによって違うが、50分歩いて10分休憩、また急な上り坂が続き水平な道になると超ゆっくりのペースに落として歩きながら休憩をとるようにしている。

水分補給は、最近いろんなスポーツドリンクが発売されているが、大塚製薬のエネルゲンを愛飲している。厚生労働省の基準では、100ml中ナトリウムが40mg以上含まれることとなっていて、エネルゲンは52mg含まれている。しかし、いつも薄めに溶いていたので、今度からメーカーの指示通りの濃さに戻そうと考えている。

基本は体調が良くないときは決して無理をしない、前の日は深酒をせず睡眠を十分取るということでしょうか。
熱中症の医学的なことは、ホームページやブログに多く紹介されているので、そちらを参考にされたい。

日本山岳協会山岳共済会 「登山における熱中症」
http://www.gunma-sports.or.jp/contents/topics/1465/topics2.pdf

広島勤労者山の会
http://hwac.jp/safety/index.html

中日新聞 「恐るべし、夏の登山と熱中症」
http://hwac.jp/safety/index.html

日経トレンディネット 「熱中症予防の新基準、スポーツドリンクの正しい選び方とは?」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090709/1027661/?ST=life&P=1

大塚製薬 「暑いとき、無理な運動は事故のもと」
http://www.otsuka.co.jp/health/heatdisorder/care_03/index.html

2011年8月17日水曜日

リーダーシップ

東日本大震災で内外から盛んに指摘されているのが、日本のあらゆる組織におけるリーダシップの欠如である。

代表的なのが、日本の首相のリーダーシップのなさである。リーダーの条件には、問題解決能力やコミュニケーション能力の他、組織をまとめる統率力や目標達成への執着力、そして人望が備わっていないと行けない。今の日本の首相には、どれも備わっていない。ほんとうに恥ずかしい限りである。

しかし、日本のあらゆる組織でリーダーが育っていないのが現実である。原因は、戦後の教育にあるのかもしれない。平和と平等、どちらも正しい。しかし、平等教育は、学生の実力格差を解消することをもくろんだが、個性を無視して平均学力が下がり、リーダーが育たない環境になってしまった。

欧米は、個性を尊重し、優秀な生徒には特別教育を施して、組織のリーダーを育てる下地がある。日本も、教育から変えていかないと、まともな首相が出現してこないかもしれない。
会社でもなかなかリーダーが育っていない。ある程度責任を委譲してその人の力量に任せる風土がどこにもない。得意先で担当者がその場で決められず、会社に持ち帰って後で連絡しますというケースが多い。

この問題を日本人気質で片付けてしまってはいけない。現在社会においては、あまりにも深刻な問題であることを認識すべきである。

安全管理もトップのリーダーシップが無い限り、組織に浸透しないのは明らかである。

2011年8月10日水曜日

相変わらず多い脚立の不正使用


墜落・転落災害の原因で脚立に起因する災害が実に多い。

脚立は、ホームセンターで簡単に購入することができ、建設業やプラント業以外の家庭でも使われている。その反面、基本的な使い方をしないで事故になるケースが多い。

脚立は堅い地盤に水平に設置し、脚を開いてグラグラしないようにしなければならない。さらに、最上段及び最上段から1段目には立ってはいけないことになっている。

写真のように、脚立を斜めに設置して、さらに最上段に立って作業して、事故にならない方がおかしい。おまけに、ヘルメットも被っていない。

多分、この作業員はこのような作業はやってはならないと教えられていて、分かっていながらめんどくさいから、きちっと直さずに行なっているのだと思われる。ヒューマンエラーの最も多い、規則無視である。

大手通信建設会社も山奥では誰も見ていないということでこのような作業をするのだろうか。この会社の安全文化はかなり低いのであろう。

2011年8月3日水曜日

ISO9001:2008の改訂

ISO9001:2008年度版の大改訂作業が始まったと発表された。ISO9001は、品質マネジメントシステムであるが、製品の品質管理に留まらず、品質管理を組織的に行って業務改善を行う経営の基本に位置づけられている。

改訂の詳細はまだ発表されていないが、聞くところによると、ISO14001と同様に、リスクマネジメントの考え方が大幅に取り入れられるらしい。OHSAS18001では、リスクアセスメントがマネジメントの核になっていて、是正処置・予防処置を行うようになっている。リスクマネジメントにはISO31000というガイドラインがあり、この考え方を各マネジメントシステム共通の考え方にしていくのが、今後の世界的な流れと思われる。ISO31000は、規格ではなく認証を要求しないが、それぞれのマネジメントシステムに取り込んで、そこで認証する。

そこで考えられるのが、ISO9001にも品質リスクの洗い出し・評価・リスク低減策・見直しの考え方が取り入れられる。しかし、この考え方は別に新しい手法でもなんでもない。いままでごく自然のうちに行っていたものであり、リスクアセスメントや環境影響評価に慣れていれば、特に慌てることはないであろう。

リスクマネジメントに注目するようになったのは、東日本大震災における福島第一原子力発電所の大惨事が全世界にショックを与え、品質管理が高いと思われていた日本のマネジメントの信頼性が揺らいだことが影響していると考える。リスク管理を怠ったために、工業製品の世界的なサプライチェーンがマヒしてしまった。

ISO9001にリスクマネジメントを取り入れることにより、ISO14001およびOHSAS18001との整合性がより深まり、マネジメントシステムの統合も進むであろう。
なお、次期ISO9001の登場は、早くても2015年と言われているが、リスクマネジメントの手法は先取りして企業経営に取り入れていくべきであろう。

2011年7月27日水曜日

防衛運転と危険予知運転

建設現場で、災害リスクの最も高いのは何か?

もちろん墜落転落災害が多い。しかし、目を離してはならないのが交通災害である。なぜならば、交通災害は工事現場の外の一般道路で発生し、補償も労災保険より自動車損害賠償責任保険が優先されるため、工事とは関係ないと思われがちである。

厚生労働省の災害統計は労災保険を使った場合の統計資料であり、全ての災害の統計をあらわしているとは言えない。よく社内の災害統計に交通災害を入れずその他災害としている場合があるが、業務中の災害であることはあきらかである。

海外工事においては、交通災害のリスクはさらに高くなる。交通災害にあう可能性は、現場内の災害よりも高いのではないだろうか。

特に発展途上国においては、道路が十分整備されておらず、運転者の交通マナーも悪い。一方で、経済発展の影響で交通量が大幅に伸び交通事故が多発している。建設工事のダンプトラックがバイクと衝突したり、バイクと人の接触事故などが後を絶たない。法令にしたがって正しい運転をしていても、相手の無謀な運転のために事故に巻き込まれてしまうこともある。
交通事故を減らすためには、その国の国民全員に安全交通教育をしなければならず、そんなことは不可能である。道路交通では常に高いリスクが存在しているという前提で、建設工事に従事する運転者に「Defensive Driving」 (防衛運転又は危険予知運転)の安全教育を繰り返し行うしかない。

「危険予知運転」とは、車を運転する上で起こりうる事故を予知して運転することです。
自分が正しい運転をしていても、他の運転者や歩行者の過失や故意によって事故に巻き込まれてしまう。危険予知の例として、
・前を走る自動車が急ブレーキをかけるかもしれない。
・道路わきから子供が飛び出してくるかもしれない。
・交差点で一時停止不停車の自動車が飛び出してくるかもしれない。
・右折車のかげからバイクが飛び出してくるかもしれない。
・路上駐車中のドアが突然開くかもしれない。
・隣の車線を走る自動車が突然目の前に車線変更してくるかもしれない。
などがある。

一方、「防衛運転」とは、事故に遭遇する確率を減らすような走り方をいう。
防衛運転は、自動車を運転するにあたり、安全な行動パターンを習慣にすることで交通事故にあう確率を低くしていくことである。
防衛運転の方法には、以下のものがある。
・安全な車間距離を維持する。(大原則)
・ミラーや目視のまめな確認による自車の周囲を把握する。
・交差点は交通事故が多いところです。左折時の巻き込み確認を毎回忘れずにする。
・右折中、対向車線のバイクの速度は遅く感じてしまうので通り過ぎるまで待つ
・自分の意志を明確に、あいまいな合図や動作は避ける。
・右左折、横断歩道を走ってくる歩行者に注意する。
・一時停止の標識があるところでは、必ず一時停止をする。
・側方を走る自動車、バイク、歩行者などとの距離を取る。
・後続車が続く場合、ブレーキを早めに緩やかにかける。
・夕暮れ時、雨天時はライトをつける。
・夜間走行中、見通しの悪い交差点の手前でヘッドライトの上下を何度か切り替える。
・対向車がはみ出してきたときは、速度を落として路側へ避ける。(特に海外)

これらの運転を運転者に習慣付けるためには、長い時間がかかることも考慮し、繰り返し新しい刺激を与えながら教育していくしかない。一般道路における交通事故の低減に勤めることは、企業の社会的責任(CSR)でもある。

2011年7月20日水曜日

春日大社


春日大社は、個人的にずっとお参りしている神社である。今回、現場で交通事故が多く発生しているため、春日大明神にお願いして交通事故撲滅を祈願した。

春日大社の御由緒は、今からおよそ1300年前、奈良に都ができた頃、日本の国の繁栄と国民の幸せを願って、遠く鹿島神宮から武甕槌命(たけみかづちのみこと)を、御蓋山にお迎えしたのが始まりで、768年に今の地に社殿を造営して香取神宮から経津主命(ふつぬしのみこと)、枚岡神社から天児屋根命(あめのこやねのみこと)、比売神(ひめがみ)をお招きして祀ったのが始まりである。
出雲系や伊勢系と違い、何となく、大和朝廷の成立に東方勢力が強く関わったことが想像できる。

今回は、社殿の周りでは親子写生大会が開かれていて、多くの子供達が絵を描いていた。


神殿の中にはイブキの大木があり、樹齢は1000年以上といわれている。


毎年、中元万灯籠に寄進をしている。8月の奈良燈花会には奈良公園を中心にロウソクの火がともされる。最後の8月14日・15日(中元)は、春日大社の全ての燈籠に浄火を献じ、諸願成就を始め、祖先の冥福向上が祈願される。


海外にも、交通安全の安全祈願が届いてもらいたいものだ。

2011年7月13日水曜日

登山の保険

リスクマネジメントにおいて、リスクの対策には、回避、転嫁、 軽減、受容の4つの手段がある。

基本の第一は、リスクを回避することであるが、建設工事ではなかなか回避することが難しく、リスクの軽減、受容の対策をとっている。一方で、工事保険などによるリスク転嫁も平行しておこなっている。

登山においても、リスク回避することが基本である。危険な場所には近づかない、悪天候では無理をしないというのがリスク回避である。登山でリスクの軽減は、個人の学習と経験に頼るしかなく、リスク転嫁が手っ取り早い。

登山におけるリスク転嫁は、登山保険であるが、登山保険に入っている人は極めて少ない。一方、高齢登山者の増加とともに、山での災害が増えている。マスコミに煽動された深田百山登山者の多くは、基礎訓練もできておらず、添乗員に連れられて山に押しかけるが、不測事態になると大量遭難を発生してしまう。山には、安全通路や手すり等なく、自分の身体は自分で守るしかない。

そして、社会に迷惑をかけないためにも登山保険には加入するべきである。
私も、登山保険には加入している。
モンベル山岳保険(運動危険割増付傷害総合保険)のスタンダードプラン E023 就業中対象外コースである。補償金額は、死亡・後遺障害100万円、個人賠償責任1億円のほか、救援者費用等補償500万円、遭難捜索費用100万円、遭難追加費用30万円であり、掛け金12,440円、アイゼンやピッケルなどを使う本格的な山岳登はんにも適用される。

救難用のヘリコプターは、警察の場合は無料であるが、一般ヘリコプターの場合は高額の費用を請求される。この保険ではヘリコプターによる捜索も補償される。ただし、スタンダードプランでは、地震・噴火・津波による事故に遭ったときは、対象外となる。

山では無理をしないことが原則であるが、保険に加入することは、登山者としての社会的責任であろう。

2011年7月6日水曜日

海外派遣者帰国時検診

最近、海外派遣者帰国時健診で、病原性寄生虫を指摘されるケースが増えてきた。

具体的には、東南アジアからの帰国者の中で検便の結果、アメーバ赤痢とジアルジア症の原因となる原虫のシストが検出されている。アメーバ赤痢およびジアルジア症は、感染症新法において第四類に分類され、全数把握することになっている。世界的には感染者数が多く、日本でも戦後の一時期まで広く蔓延していたものである。

アメーバ赤痢の原因となる赤痢アメーバは原虫であり、卵に相当するシスト(嚢子)を介して人間に感染する。この原虫の生活史は、栄養型とシストからなり、シストは、直径10-16ミクロンで、卵の殻に相当する外壁に守られて水や食物の中でも数日から数週間は生き延びることができ、水や食物などと一緒に赤痢アメーバのシストが摂取される。症状は赤痢または下痢症状を呈し、イチゴゼリー状の粘血便を排泄することがある。

一方の、ジアルジア症は、ランブル鞭毛虫という原虫の感染が原因で、赤痢アメーバと同様にシストを介して感染する。この栄養型虫体は、長径10〜15μm、短径6〜10 μmの大きさである。シストは外界の環境に強く、水中で3カ月以上生存といわれている。主な症状は、非血性で水様の下痢、衰弱感、体重減少、腹痛、悪心や脂肪便などが挙げられる。

どちらも、経口感染で、水、食品およびシストが付着した手から感染する。東南アジアでは、まだ水道の水が安全とはいえず、水の中に含まれている可能性もある。熱帯地方では生ものを食べないのが普通であるが、ベトナムのフォーなど生野菜(パクチーなど)を麺のなかに入れて食べるので、生野菜に付着しているケースもある。

対策は、生ものを食べない、水道の水を直接飲まない、手を良く洗うことに尽きる。経済がグローバル化してくると、今まで日本であまり見かけなかった病気が簡単に入ってくるようになる。業務に伴って発症する感染症なので、衛生管理者は、つねに海外の感染症について勉強する必要がある。

2011年6月29日水曜日

回復不可能な目の負傷


災害で負傷し、足を切断することになっても義足をつければ歩行が可能になる。歯が欠ければ入れ歯や差し歯などで機能を回復することができる。

しかし、目を負傷して失明した場合、今の医学では視力を回復することができない。
欧米の安全管理では、個人用保護具(PPE)のなかで保護めがねはヘルメットと同様に基本中の基本と指導される。

日本でも、建設現場でヘルメットを着用するのは常識となっている。しかし、保護めがねについては化学プラントや発電所、製鉄所などをを除き、あまり普及していない。

建設現場でも目を負傷するリスクが多く潜在している。
  −コンクリートの手はつり作業でノミが跳ね返り目を負傷する
  −グラインダーなどで切削加工中、切粉が目に入り負傷する
  −切断作業中の鋼材の鉄粉が目に入り失明する
  −地盤改良プラントで使用する希硫酸が目に入り負傷する
  −プラント配管の残留薬液が目に入り負傷する
  −溶融アスファルトが跳ね返り目に入り火傷する
  −釘打ち機の釘が目に刺さる
  −アーク溶接の紫外線により網膜を損傷する
  −レーザー光線が目に入り内部がやけどする

作業と危険源によっては、保護めがね、防塵ゴーグル、ファイスシェード、アーク溶接用遮光面を使い分ける必要がある。保護めがねは、ヘルメットともに重要なPPEである。

2011年6月22日水曜日

「想定外」は技術者の禁句

東日本大震災で東京電力は当社「想定外」の地震や津波による災害ということを連発していた。

なにか言い訳のように聞こえてならない。自分たちには責任がなく不可抗力と主張しているのであろうか。

政治家や大会社の経営者には往々にしてこのような言葉が発せられるが、技術者は決して「想定外」と言って自分の業績に対して言い訳をしてはならない。もし、他人から間違いを指摘されれば謙虚に見直しを行うことが重要である。

しかし、なぜ安易に「想定外」などと言うのだろうか。
通常、技術検討段階では必ずあらゆることを想定している。設定発生確率の範囲で設計を進めるが、設定発生確率を越えた超過確率の事象は、全く無視するということはない。超過確率の場合においても、何らかの事象を想定している。

検討段階ではリスクが設定確率範囲に入っていたものが、費用が大幅に膨らむために事象発生の可能性が低いものや不確実なものは除外され、超過確率の事象は無視するようになってしまったのであろう。また、企業はどうしても悪い事象発生の可能性を低く見積もりがちである。今回はそれをチェックする機能が上手くは働かなかった。経済産業省の天下り官僚を大量に抱える東京電力と、政府からの研究費を獲得するためにどうしても政府よりにならざる得ない御用学者による原子力安全委員会では、技術の監視機構も働かないのではないだろうか。

また、無責任な「想定外」発言とともに、「ただちに人体に影響を及ぼす数値ではない」という言葉も正確なようで実はそうではない。放射線被曝は積算量により晩発性障害の可能性があり、そのことにわざと触れなかったので余計に人々に不安が広がった。

リスクを説明するときは、最悪のリスクも含め説明し、「想定外」等と言い訳は慎まなければならない。

2011年6月15日水曜日

東日本大震災から3ヶ月

東日本大震災から3ヶ月が経ち、各地でいろんな行事が行われている。そのなかでも新宿東口で脱原発の大集会が開かれていることからも、今までの災害とは全く違う放射線被害が人々に大きな影響を与えている。

3ヶ月を振り返ってまず感じるのは、政府の復興の方針がなかなか決まらず被災者が希望を見いだせないでいること、生活自立の目処が立たないこと、放射線汚染の脅威が経済復興や生活再建の障害になっていることなどが挙げられ、阪神大震災のときのように限られた範囲に集中的に復興するというロードマップが描けないことが大きく異なっている。

東北は産業基盤が集積されていなかったところに、沿岸部の産業基盤が破壊されたために失業した被災者が多く出ている。復興を考える上で、社会基盤をどう整備するかということも重要なことであるが、まず最初に雇用を確保する政策をとることが重要ではないかと思う。いくら防波堤ができても、橋が架かっても収入源がなければ生活はできない。民間努力だけでは新規雇用は到底難しく、政府主導による新規雇用を創造する必要がある。厚生労働省も災害復旧工事の安全確保を指導するのは必要であるが、それ以上に雇用確保に本腰を入れるべきである。政府役人には全く当事者意識がなく危機感もない。

そこで、国の資金で復興を行う公社や特殊会社を設立し、どんどん被災者を雇用していくのも一つの方策と思われる。社会資本整備、エネルギー供給、漁業加工、物流、情報発信、教育、老人介護など東京の大手資本に任せるのではなく、時間をかけてでも地元の組織で、地元の人たちで復興していくというのがよいと考える。復興に絡んだ利権獲得競争が政治家や省庁間、大手民間業者間で繰り広げられているが、利益はあくまでも地元に還元され、それが雇用につながって生活自立に繋がっていくべきである。

このような考え方は、官僚の猛反発に遭うことは間違いない。でもそれを変えない限り日本の未来はないであろう。

2011年6月8日水曜日

台船に搭載する移動式クレーンの安定

海上で使用するクレーンには、数々の種類があり、移動式クレーンを乗せ変えたりする場合は、製造許可や変更検査が必要になる。

まず海上で使用するクレーンには、(1)浮きクレーン(起重機船)、(2)「浮きクレーンのように使う」ケース、(3)通常の陸上クレーンと同じケースおよび(4)船舶に装備されてクレーンがある。

よく平台船にクローラクレーンを搭載して作業を行っている場合があるが、それぞれ法的手続きを取る必要がある。(1)〜(3)は労働安全衛生法ならびクレーン則に規定されており、移動式クレーンに該当する。

(1) 浮きクレーンはクレーン部分が台船(台車部分)と一体として製造されており、浮きクレーン製造許可、設置届の手続きが必要になる。また、浮きクレーンの安定度は、移動式クレーン構造規格第15条に規定されており、後方安定、前方安定によらず、静穏な水面で定格荷重を吊った状態において、転倒端における乾舷が0.3m以上となることが要求されている。
また、日本海上起重機船協会ではさらに細かく台船の傾斜角の制限値を作業船設計基準「第4編港湾工事用起重機船」の項目で規定している。
非自航起重機船作業時の船体傾斜角の許容範囲は次のとおりとすることが望ましいとされています。
  1) 縦傾斜角(トリム角)
   ・荷重吊り上げ直前(船尾に)  3°
   ・荷重吊り上げ時(船首に)  3°
  2) 横傾斜角(ヒール角)
  ・荷重吊り上げ直前(反対側に)  3°
  ・荷重吊り上げ時(荷重側に)  3°

(2) 現に検査証の交付を受けて使用中のクローラクレーンを台船に搭載し、アンカーを使ってこれを固定し、機能的には浮きクレーンと等しく使用する場合は、昭54.1.26基収894号の例が示されている。台船に搭載したクローラクレーンを再び陸上に戻して使用するものについては、クレーン等安全規則第85条第1項による「台車の変更届(変更検査)」を要する。移動式クレーンの搭載に際し、移動式クレーンの滑り止めを施すことおよび浮きクレーンの規定である転倒端における乾舷が0.3m以上となることが必要である。
また、クローラクレーンを半永久的に台船に固定した状態で使用する場合は、クレーン等安全規則による浮きクレーンとして使用検査が必要になる。(昭54.1.26基発894号)
なお、変更検査には(1)の場合と同様に台船の安定計算書が必要である。

(3)のケースはSEPに搭載したクローラクレーンや巨大な4000t吊り起重機船などに搭載されているラフタレーンクレーンのケースです。台船部分が搭載した移動式クレーンの作業により傾斜することがないようなケースで、陸上の移動式クレーンと変わらない。

(4) 揚錨船本体は船舶法の対象であるが、揚錨船に設置されているクレーンはジブを有し、本来の使用目的以外の用途(荷を吊り上げ運搬する)に供されることが多く、浮きクレーンとしての製造許可、設置届等の手続きが必要である。

海外で移動式クレーンを台船に搭載して使用する場合は、日本と同じような許認可が必要でないケースがあるが、それぞれの場合の設計基準の趣旨を理解しないで使用すると危険である。
移動式クレーンを台船に固定して使用すると、台船の復元力が大きいので転倒しにくくなる。しかし、無理して荷重をかけると逆にクレーン本体の強度が耐えられなくなり、ブームが折れ曲がる危険性があります。常に浮きクレーンとしての作業限界を理解しておく必要があります。

2011年6月1日水曜日

生肉のリスク管理

富山を中心とした焼肉レストランチェーンで生肉であるユッケを食べて、病原性大腸菌であるO111により4名の方が亡くなった。

大腸菌は、人間をはじめとする動物の腸内にいる常在菌で、約180種類いる。人の腸内に常在する大腸菌は、植物繊維の消化を助け、ビタミンKを作り出すなど、人と共生してきた善玉菌である。ところが、牛とって共生関係にある大腸菌が、人とも共生できるとは限らない。特に腸管出血性大腸菌O111やO157は、牛には問題がなくても、人間には食中毒を起こし病原性を生じる。これらの大腸菌は、腸内で赤痢菌と同様のシガ毒素を出し、下痢や脳症など重い中毒症状を起こす。また、EUでは、生野菜に付着したO104による多数の死者が発生している。

日本では、以前から何度も中毒事件が起きていたにもかかわらず、行政も卸売業者、レストラン双方がなんら改善してこなかったことに問題がある。
「生食用食肉の衛生基準」(1998年9月11日生活衛生局長通達)により生食用食肉の規格や衛生管理について定め、これに沿った食肉に限り「生食用」と表示することとしている。しかし、この基準はほとんど遵守されず、行政も放置していた。なぜ、行政は国民の健康を第一に考えないのだろうか。生肉を食べることによる危険性があるのなら、確実に安全性を確保しなければならないはずなのに、業者の営業の負担を避けることに重点が置かれ、何かことが起こっても人ごとのような対応である。まるで、当事者意識が欠如しているとしか言いようがない。

韓国でも日本と同じようにユッケを食べているが、行政機関による抜き打ち検査や違反業者名のインターネット公開が行われており、行政の責任意識は日本の厚生労働省よりしっかりしているように思われる。餃子事件で中国に対する批判が集まったが、日本の食の安全もそんなに信頼できるとは言いがたい。厚生労働省の職務範囲が大きすぎるのも当事者意識の欠如の原因になっていると思われる。

「食の安全」は消費者庁に統合し、「労働安全衛生」は分離して、米国や英国のような労働安全衛生庁に改編して専任職として独立するのも一案である。利権を持つ巨大な組織では、現場から遠くなり、現場と密接したリスク管理は無理である。今回の、食中毒事件も現場の動きを的確に掴めなかった組織の問題ではないであろうか。

2011年5月25日水曜日

災害における正常化バイアス

東日本大震災では、テレビなどで盛んに大津波の警報を発していたが、地震の後、家の様子を見に戻って津波に巻き込まれて亡くなった人が多かった。予測を過小評価したか情報が伝わっていなかったと考えられる。

今まで何回か地震速報と津波警報が出されたが、結果が予想された値よりも低かったことが多く、今回も同じように大丈夫だろうと勝手に思い込む人が多かったのだろうと思われる。特に現代人は、情報が溢れているために、実際に危険に直面してもそれを認めようとせず、また危険に対する感受性も劣ってきている。例えば、台風が接近して大きなうねりが押し寄せていて波浪警報が出されていても、警報に従わずサーフィンをする人が多い。

これは、ヒューマンファクターの一つでもある。人間の心は、予期できない異常や危険に対して、ある程度鈍感にできている。人間は、常に入ってくる情報に対して過度の緊張とエネルギーを使うことによる心身の疲労を回避しようとする。ある範囲までの異常は、異常だと感じずに、正常の範囲のものとして処理するようになっている。これは正常化バイアスといわれるもので、本当に身に迫る危険を危険ととらえずに、危険回避行動をとらないようになってしまう。

最近は、携帯電話で緊急地震速報が流されるが、予測よりも小さいときや地震がこなかったりする。しかし、このような情報が連発されることによって、その後の地震災害のリスクを過小に評価してしまう傾向に陥っている。人々は、警報を受け取っても、自分たちに危険が迫っていることをなかなか信じようとしなくなる。正常化バイアスが情報の信頼性に対してマイナスに働き、リスクに対して鈍くさせてしまう。

建設現場においても、死亡災害が起きたときは反省して二度とこのような災害を起こさないと心の中に深く刻み込むが、その後、小さな災害が発生しているうちに、だんだんその気持ちも薄れて行く。人間は、緊張が長続きせず、自然に心の緊張を回避しようとする。いかにタイムリーに緊張を与え、それをリスクと認識させるかが重要になるであろう。
情報に質とタイミングは非常に重要になってくる。

2011年5月18日水曜日

LOTO

LOTOは、宝くじのことではない。

Lock-out, Tag-out (LOTO)は、電気や化学産業においては、日本でもルールとして取り入れられている。しかし、建設部門では知らない人が多いと思われる。

停電作業を行う場合、通常、分電盤の電源スイッチを落として電源を切断し作業をする手順であるが、分電盤を開けたままにしておくと、停電作業を行っていることを知らない人が間違ってスイッチを入れ、作業員が感電する恐れがある。そのために分電盤は必ず鍵をかけ(Lock-out)、なおかつ作業中であることを表示する(Tag-out)。

バルブの開閉など、間違ってスイッチを入れることによって作業員が災害に巻き込まれる恐れがあるときに適応する。電気作業は、特に状態がわからないのでLOTOの管理が重要である。

欧米では、LOTO用のタグが販売されている。


国内の建設現場でも、このような簡単なカードと鍵で管理することを推奨します。
参考資料は、以下のとおりです。
http://www.geneseo.edu/~ehs/Lockout%20Tagout/Lockout%20Tagout%20Program.htm

2011年5月11日水曜日

快適職場形成促進事業の廃止

快適職場促進事業が平成22年度の事業仕分けの結果、22年度末をもって廃止される。

いったいなんだったのだろうか。
事業仕分けの評価はC、快適職場推進計画の認定件数を年間3,210件以上とする目標が達成できなかったことが挙げられていた。
この事業の主旨は、職場の心理的・制度的側面の改善方法、 及び職場における受動喫煙防止対策に関する調査研究を行う。また、事業場から申請される快適職場推進計画の技術的審査を行い、審査結果を都道府県労働局に報告する。さらに、快適な職場環境の形成に係る技術的事項等についての事業場からの相談に対応するとともに、快適職場フォーラム、職場のソフト面の快適 化のための講習会、都道府県快適職場推進大会の開催等を通じて、事業場における快適職場形成促進について普及啓発を行う、となっている。

うたい文句は良いが、政府が大金の予算を確保してどうしても行う必要がある事業であったのかと疑問を感じる。
快適職場形成促進事業を廃止することにより1.7億円を削減することができる。単に厚生労働省の業務を拡大させるために行っていた事業だったのか。

労働安全衛生に関する事業は、厚生労働省の焼け太りから分離し、米国のOHSHAや英国のHSEのように独立した行政機関として、労働安全衛生行政に専念すべきと考える。また、中央労働災害防止協会など各種災防団体への委託事業は全面的に廃止し、それぞれの災防団体も米国のASSEのように独立して事業を行うのが望ましい。そうすることによって、それぞれの組織が自らが創造する安全文化が生まれると考える。

2011年5月5日木曜日

不東、三蔵法師の決意

五月のゴールデンウィークに奈良薬師寺にお参りするのが恒例になった。
玄奘三蔵の御遺徳の顕彰と仏法興隆を願い、毎年5月5日に大祭があり、結縁者には招待状が送られてくる。
まず、金堂でお薬師さまに身体健康をお願いする。


薬師如来の両袖にいらっしゃる日光菩薩と月光菩薩は、それぞれ「智慧」と「慈悲」を表し、智慧と慈悲という働きが、必ず両輪相まって仏道に修業となっていくといわれている。
観自在、私たちは、物事をしっかり観ていけるように願いを持って発心します。よって慈悲の願いを悲願という、と薬師寺では解説してくれます。


これは大講堂です。天平時代の姿を再現したようです。


東塔(国宝)は、6月末から全面解体修理に入り、2018年まで見ることができなくなる。6月25〜26日に東塔大修理着工法要が行われます。明治の大修理がかなり杜撰で、このままだと地震の際に倒壊するといわれています。


玄奘三蔵院伽藍にある玄奘塔の正面には「不東」という額がかけてある。玄奘三蔵が唐を出発するとき、もう東には行かない(挫折して戻ってくることはしない)という決意です。プートン、すごい信念である。工事を着手するときもプートンの決意で安全管理を進めてもらいたいものだ。


今日は、ここで玄奘三蔵がインドへ教典を学びにいく伎楽が行われた。この写真は、それ以前に撮影したのものです。

2011年4月27日水曜日

重心とメタセンター

港湾工事では、船舶や作業台船、フローティングドッグ、ケーソン曳航に際し、転覆しないように安定の検討を行うことが重要になる。
特に復元力では、メタセンターというファクターが重要である。
メタセンター(metacenter)とは、浮体を傾けたときの新しい浮力の中心を通る鉛直軸が、傾ける前の浮力の中心軸と交わる点で、傾心ともいう。メタセンターが重心よりも上にあれば、浮体は傾斜したとき、元に戻ろうとするので、浮体は安定する。
作業台船が転覆しない条件
G1:作業台船全体の重心位置(下向きの力)
G2:全体の重量が上に移動した場合の重心位置(下向きの)力
F :浮心・浮力の中心を通る鉛直軸/傾くと移動する(上向きの力)
M :傾ける前の浮力の中心軸と傾けたときの浮力の鉛直軸の交点、メタセンター
G-M: 2点間の距離をメタセンターハイという

Case.1 重心位置GがメタセンターMより下にある場合 →復元する
G1にかかる下向きの力とFにかかる上向きの力のモーメントにより、作業船の傾きを戻す方向に働く。
Case.2 重心位置GがメタセンターMより上にある場合 →転覆する
重心GがG2に移った場合、モーメントはより傾ける方向に働く。
Case.3 重心位置GとメタセンターMが一致する場合 →傾斜したままの状態
特にフローティングドックを選定するときは、フローティングドックの形状によりメタセンターの位置が微妙に影響することに注意が必要になる。

2011年4月20日水曜日

効果的な送り出し教育

大手ゼネコンより、協力会社として一部作業を請け負うとき、従事する従業員に「送り出し教育」を実施するように指導されることが多い。

元請会社から基本的な資料を渡され、それに基づいて協力会社が従業員に教育をすることになっているが、本当にどこまで真剣に教育して従業員を送り出しているのかは、その場にいないので正確なことはわからないがどうも疑わしい。書類だけ作成して元請会社に提出しているのではないだろうか。

送り出し教育は書類を作成するのが目的ではなく、立派な書類を求めるのは間違っている。
建設現場には多くのハザードがあり、労働者が守るべきルールも多くある。それを、事業者の責任だからといって何から何まで教育したように書類で残すのはどうかと思う。労働者は多くのことを書類で指導されてもほとんど頭の中に残らないであろう。ただ最後に受講のサインをするだけである。

効果的な教育をするには危険のポイントを絞り込む必要がある。その一つの方法としてミニマム・スタンダードというのがある。ミニマム・スタンダードとは、大学生に学内の規律として「これだけは最低限守りましょう」ということに使われている。

従業員にあれもこれも守れというのではなく、その現場の作業における特有のハザードに対して、もっとも重点管理対策とすべき項目を3点だけ絞り込んで教育する。この考え方はリスクアセスメントにおける管理策の優先順位と同じである。リスク評価などの形式的なことはせず、過去の経験から3点を絞り込むことで十分である。そして現場からの意見をフィードバックして見直していけばよい。

安全教育も簡略にすることで効果が上がると考える。けっして責任回避を考えてあれもこれもと言わないことだ。

2011年4月13日水曜日

地震津波災害の復旧作業のリスク

地震・津波災害の復旧作業は、緊急を要する作業であるが、それでも十分に作業手順を検討し、事前にリスクを把握した上で作業を行う必要がある。

地震・津波災害の特有のハザード(危険性および有害性)は以下のようなものがある。

・不安定な構造物の撤去に伴う構造物の倒壊、挟まれ
・不安定な場所からの墜落転落
・瓦礫に躓き転倒
・ゴム長で出歩き釘を踏み抜く
・釘や金属片による切創
・ガラス片による切創
・粉塵による塵肺
・浮遊する鉄粉が目に入る障害
・浮遊するアスベストを吸入
・電柱のトランスからの漏洩PCBによる汚染
・切断電線に接触による感電
・ソーラーパネルの端子に接触して感電
・流出油による汚染
・浸水した箇所を歩いて深みにはまり溺れる
・大気中に浮遊した放射性物質による被曝
・土中に堆積した放射性物質による被曝
・ダイバーが放射性物質で汚染された海水を飲んで被曝
・工場の化学薬品が漏洩してかぶれる
・発電所タービンのハイドラジンが漏洩してかぶれる
・海上浮遊物と接触し、潜水士のエアーホースが絡まりパニックになる
・廃鉱の残土から重金属が流出し接触する
・ガス管やプロパンガスのガス漏れにより火災が発生し火傷を負う
・ガス管やプロパンガスのガス漏れによる爆発
・重機が錯綜して間に挟まれる
・移動式クレーンの作業半径が届かず無理をして転倒、挟まれ
・法面が緩み土砂崩壊に巻き込まれる
・瓦礫で手を切り破傷風による感染
・衛生状態悪化による感染症に感染する
・災害のトラウマによるパニック
・ストレスによる精神不安定
・仮宿泊設備で疲れが取れず過労
・ストレスが溜まった人同士のけんか
・余震、津波による二次災害

周りに避難者がいる中で一日でも早く復旧しなければならないという気持ちから、少々危険が想定されていても無理な作業をしてしまう。いかなる場合においてもリスクを認識した上で作業を進めてもらいたい。

2011年4月6日水曜日

電離放射線障害防止規則の特例

国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に従って、厚生労働省は電離放射線障害防止規則の特例についての省令を設けました。

ICRPが日本に緊急時の被曝線量の引き上げを勧告したのは異例のことです。

本来、作業員の安全を第一に考えるのに、通常こんな勧告をすることはありません。それだけに、今回の福島原発の深刻さを国際機関が憂慮しているものと考えます。一日でも早く原子炉を安定状態にして、チェルノブイリのように放射性物質を世界中に拡散させることを避けたいということです。

ICRPの基本的な考え方は、一般人の積算被曝線量を1年間あたり1mSvとしています。今回の勧告では暫定措置として100〜20mSv/年としています。政府は20mSv/年を避難指示の根拠にしている。

被曝線量と人体への影響は、以下の通り
        50,000mSv:  全身障害、48時間以内に死亡
         10,000mSv: 意識障害
           5,000mSv: 下痢や出血、一時的な脱毛
           1,000mSv: リンパ球の減少
              250mSv: 白血球減少(一時にまとめて受けた場合)
              250mSv: 放射線従事者が緊急時にさらされる場合の限度値/1回(特例措置)
              100mSv: 放射線従事者が緊急時にさらされる場合の限度値/1回
                50mSv: 業務に従事する人の年間被曝量の限界(かつ100mSv/5年)
                 20mSv:   政府が決定した一般市民の避難基準 年間積算被曝線量
               6.9mSv: 胸部X線CT/1回
            2.4mSv: 1人当たり自然放射線/年
            1.0mSv: 一般市民の被曝限度/年(医療と自然由来は除く)
            0.6mSv: 胃のX線検診/1回
             0.05mSv: 胸のX線検診/1回

原子炉の緊急事態のための作業に従事するの場合、厚生労働省は労働安全衛生法で100mSv/回としています。しかし、100mSvでは作業時間が十分に取れないためICRPは500mSvを勧告し、厚生労働省は電離放射線障害防止規則のなかで福島第一発電所に限り特例措置として250mSvを採用しました。

現地の大気放射線量が1000mSv/hの場合(原子炉建屋内外)

   被曝限度時間: 60min × 250 / 1000 = 15min となり実際の作業時間はほんの少ししかない。 
放射線被曝は、多量に被曝しない限りすぐに症状は出ないが、長時間を経て現れる晩発影響によるガン、白血病、放射線白内障がある。

きわめて低い放射線量についても線量と確率的影響は比例するという「直線しきい値なし(LNT)モデル」にしたがって、集団が被曝する場合に、その作業員達が生涯のうちで致死的な癌になる確立は以下のようになる。

ICRP勧告60では、1Svの放射線を生涯にかけて被爆したときに、生涯のあいだに生じる致死的なガンの発生確率を5%としています。

もし原子炉の状態が悪化し、高濃度の放射線物質が漏洩して周囲に拡散され、近隣の人口10万人の住民が大気放射線量200μSv/hで1日あたり8時間を3ヶ月に渡って被曝した場合

   生涯ガン発生人数: 100,000 × 200/1000 × 8 × 90 × 0.05/1000 = 720人

 一方、最悪事態を防止するために、原子炉内で延べ1,000人の作業員が積算放射線被曝限度250mSv/回で作業した場合

   生涯ガン発生人数: 1,000 × 250 × 0.05/1000 = 12.5人

 250mSvに引き上げて12人のガン患者が生じるという予測値になるが、この行為によって720人以上の住民を救うことができる。よって、政府としては、この特例措置によって基準値を引き上げたことは、危機的な原子力発電所の事故という状況下では社会が受容可能なリスクであると認めることを期待しているのであろう。しかしながら、作業している方たちは命がけで取り組んでいることが良くわかる。本当にご苦労様です。

 政府の発表は、時間当たりの放射線量は、X線と同様に問題にならないと説明しているが、積算放射線量で管理していくと多少なりとも危険性が見えてきます。この「直線しきい値なし(LNT)モデル」が、かならずしも当てはまるとは言い切れないが、このような考えもあるということは考慮する必要がある。なお、放射線従事者が緊急作業において250mSvの放射線に曝露すると、以後、実質的には放射線作業に従事できなくなる。

 今回厚生労働省が出した「電離放射線障害防止規則の特例に関する省令」は、極めて特例であり、原子力発電所の安全管理者は厳しく作業員一人ひとりの積算放射線被曝量を管理する必要がある。また、放射線従事者の特別教育(放射線障害防止法)を受けた者意外は、簡単に作業に加わることは避けたほうがよい。

2011年3月30日水曜日

安全安心・環境、雇用、新産業の育成を確保する復興計画を

東日本大震災で今でも20万人以上の人が避難生活を強いられている。
一日も早く、安心して住める本格的な住環境が求められている。

復興事業を行う際、まず基本方針を策定すべきです。安全安心の確保および環境の保全、雇用の確保、新産業の育成がキーワードとなる。
(1)永遠に安心して住むことができること: 当たりまえのようで一番困難を伴うことである。三陸海岸は過去から何回も大津波の被害にあってきた。869年の貞観大地震は、大陸プレートが連続的に破壊し大津波が襲い日本史上最大の地震と言われている。その後何度も大地震と津波が発生していて1896年の明治大津波は高さ38.2mで大被害を出した。人々は震災にあった時は海岸付近には住んではいけないことを知るが、時間を経るにつれて震災の意識が薄れ便利な海岸付近に住みだす。
しかし、今度こそは都市計画をする上で、公共建物や復興住宅などの市街区域を高台に配置する必要がある。高台を造成するためには、土地を国家が買い上げて地権者の財産を保護するとともに地権者も供出に協力しなければならない。高台は、付近の丘陵地を造成するか、海岸部を浚渫してその土砂で高さ40〜50mの土地を造成する。山を削る場合は、土砂崩壊を起こすようであってはならない。

(2)環境に配慮した実験都市をつくり、将来の日本経済を牽引するような産業を育成する。それには、以下のような技術を導入する。
自立的な電力供給: すべての復興アパートには太陽光発電(ソーラーパネル/蓄電池型)と太陽熱利用温水器(集熱板/貯湯槽分離型)および外部電力(東北電力)のハイブリッドシステムを装備する。海岸部分及び造成地法面にはソーラーパネルを設置し、メガソーラー発電所を設置する。また、沿岸の山間部に風力発電を配置する。

先端配電網の整備: スマートグリッドシステムの導入し電気を効率的に配電する。また、送配電線網を利用した通信システムを各戸に導入するとともに、スカイプシステムを各戸に導入し、画像によるコミュニケーションを通して、民生委員が画像を見ながら高齢者の健康状態を把握し生活指導を行う。

亜臨界水による木材分解プラントとバイオ醗酵によるエタノール製造プラントの設置: 現在、小規模の亜臨界水による有機物分解プラントはある。震災で発生した木材殻を分解して、それをさらにバクテリアで分解してエタノールに変える大規模なプラントを海岸低部区域に建設する。全ての木材が片付いた後は、間伐材や籾殻、生ゴミなどを分解してエタノールにする。エタノールは自動車の燃料や小型発電機の燃料として利用する。海岸底部区域には等間隔に津波スクリーンを設置する。

低炭素社会を構築: 公用車や公共交通に使用する車は電気自動車とする。復興住宅をはじめ公共建物には急速充電装置を設置して、町中何処でも充電できるようにする。また、電気自動車を緊急時の予備電源として利用する。

ヒートポンプによる熱交換: 公共建物や道路の融雪装置においては、ヒートポンプによる冷暖房設備を導入する。投入した電気エネルギーの数倍のエネルギーとして取り出すことができ、CO2の排出を抑えることができる。さらに、冷媒としてCO2を利用する。

これらのシステムはすべて既存の技術であるが、まだコストがかかるという理由で普及していない。これらの技術を全面的に採用することにより、コストを下げ日本経済を牽引する産業に育てることに、この復興事業を活用してもらいたい。

(3)原子力発電所の安全性能の見直し: 全国の原子力発電所は安全性能を見直し、定期点検時に改修工事を実施する。また、40年を経過する原子力発電所は廃炉とする。当然、福島第一原子力発電所は、廃炉にしなければならないが、東海・東南海・南海地震の震源域に極めて近い中部電力の浜岡原子力発電所は速やかに廃炉とすべきである。
安全性を見直す際、技術者は「想定外」という言葉を安易に使ってはならない。それは政治家のみが言い訳のために使う言葉だ。 
復興地域に新設したLNGまたは石炭火力発電所にはCCS(二酸化炭素回収・貯蔵システム)を装備し、二酸化炭素を排出しない発電所にする。

(4)雇用の確保: 東北各県土木部と国土交通省東北地方整備局を統合した東北復興庁を設け、資金は国から拠出するが運営は地元を主導で行う。そして、復興に動員する技術者や作業員は、積極的に被災者を雇用する。また、復興後の地方分権の先導役となるように、各県の連携を強めた広域連合会議を設ける。

(5)海外への情報発信基地: 復興都市は海外からお手本となるような、環境を考慮した安全な都市とする。神戸のようにただ単に以前にあった施設を復元するというものであってはならない。復興都市を魅力あるものにして他の地域からも住んでみたいというものになればもっとよい。

現在の財政状態では被災したすべての街を以上のような復興都市にすることはできない。拠点都市を決めて、地域ごとに都市を集約する必要がある。それには政治的な軋轢が予想されるが、将来の日本が引き続き世界経済の中で戦って行くことができるには、大きな決断をしなければならない。

日本の未来は、安全安心・雇用の確保、新産業の育成にある。

2011年3月27日日曜日

鎌倉で復興祈願

東日本大震災から2週間が経ち、東北や北関東ではまだ多くの方が厳しい避難生活を送られているが、東京や横浜では東京電力による計画停電があるものの生活が以前の状態に戻ってきた。今日は天気が良く穏やかなので鎌倉のお寺に復興祈願をかねてお参りをした。

妙本寺では、東日本大震災の犠牲者諸霊追悼も行われていた。妙本寺は日蓮宗の本山格で十界曼荼羅を御本尊としている。山門には、「他人には親切に、自分には辛切に いつも心がけてください」と書いてあった。震災直後、近くのスーパーマーケットでは買い占めをする主婦であふれるなど非常に見苦しいものを見てしまった。日本全国で被災地を支援しようとしている一方で自分さえ良ければ好いというような主婦もいるようです。その人たちにこの言葉を読んでもらいたいものです。




妙法寺も日蓮宗のお寺で、苔むした石段があるところから苔寺とも呼ばれている。
長谷寺のように多くの観光客はいなく、静かな佇まいです。
今年は寒さが続いているせいか、染井吉野はまだ咲いていない。ところどこと寒緋桜が咲いていた。



日蓮が布教活動をしていた頃も、国土が荒廃した上に元が攻めてくるという日本の終末を心配して人々は不安になっていた。今回は東北と北関東が世界最大級の地震と津波に襲われ、それに追い打ちをかけるように東京電力の福島第一原子力発電所による放射線物質の汚染で復旧のめども立たない状態である。
国家財政の疲弊も甚だしく、日本経済をいかに立ち直らせるか、政府のスピーディな判断とリーダーシップが必要であろう。

2011年3月23日水曜日

スリーマイル島・原発事故

スリーマイル島原子力発電所の炉心溶融事故についてもう一度整理してみる。
この事故は、ヒューマンエラーが引き金になっている。

スリーマイル島原子力発電所は2つの原子炉を有し、事故を起こした2号炉は加圧水型原子炉(PWR)で電気出力は96万kWであった。東京電力の原子炉(沸騰水型原子炉 BWR)とは異なり、関西電力と同じ形式の原子炉である。

スリーマイル島原発の2号炉は、事故を起こすちょうど1年前に臨界に達して定格出力の97%で営業運転中であったが、当初から小さな故障が続発していた。
もともと原子炉を運営していた電力会社の経営状態が思わしくなく、いちいち小さな故障に対してその都度原子炉を停止するようなことは行わず、だましだまし運転し安全意識もかなり低下していた。その中で重大なのが、加圧器逃がし弁の不調である。この弁は、1次冷却系の圧力が高まったときに自動的に開いて冷却水を放出するものだが、圧力が低下した後も閉じないで「開固着」しやすい状態にあった。

さらに2次冷却系には万一に備えて冷却水を補給する装置が設置されているが、補助給水装置は非常時に直ぐに起動しなければならないものなので、そのバルブは常に開いていなければならない。ところが、数日前にこれを点検した際に、整備員が給水用のバルブを誤って閉じたままにしてしまったのである。

2次系の復水器の脱塩装置にあるフィルターが目詰まりを起こしため、当直のオペレーターは、圧搾空気を送り込んで解消しようとしたが、その作業の際に、溢れた水が弁を操作する部分に入ってしまい、2次冷却水を循環させる配管の弁が閉じたため、自動的に二次冷却水の主給水ポンプも停止することになった。この時点が、スリーマイル島原発事故の出発点と考えられる。

そのため蒸気発生器への二次冷却水の供給が行われず、除熱が出来ないことになり、一次冷却系を含む炉心の圧力が上昇し加圧器逃し安全弁が開いた。
このとき弁が開いたまま固着し圧力が下がってもなお弁が開いたままとなり、蒸気の形で大量の原子炉冷却材が失われていった。

このとき事態を決定的なものとする第一失策を行われる。オペレーターは、1次系が満水に近い状態にあると誤解してしまった。その原因として第一に加圧器に取り付けられていた水位計が誤って満水状態を指示していたこと、第二に、操作ボード上で加圧器逃がし弁に関する表示が、実際の状態を表すものではなく、開/閉の指令を指示するだけであった点が挙げられている。このため運転員が冷却水過剰と勘違いし、自動的に作動していたECCS(緊急炉心冷却装置)を手動で停止されてしまう。
その後も最も重大な加圧器逃がし弁の開固着には誰も気がつかず、オペレーターの意識は、最初にトラブルを起こした復水器や補助給水バルブのある2次系に集中してしまい、1次系の危機が認識されにくい状況になった。また、オペレーターには目の前のボードの操作に忙殺されて心理的余裕がなくなっていた。

次に事態を決定的なものとする第二の失策が行われる。2次系の主給水ポンプが停止してからほぼ1時間を経過した頃から、1次冷却水を循環させるポンプが音をたてて振動を始めた。これは、圧力低下と温度上昇の結果として水中に気泡が生じ、この泡がポンプ内部で破裂するために引き起こされた。オペレーターは、4基ある冷却水ポンプを手動で全部停止した。

この結果、冷却水が循環する過程でわずかに行われていた除熱がほとんど不可能になり、開きっぱなしになっていた安全弁から500トンの冷却水が流出し、燃料棒は炉心上部3分の2が蒸気中に露出してしまった。こうなると、熱の逃げ道がなくなって炉心が過熱し、最終的には溶融を始める(炉心溶融)。さらに、被覆材として用いられていたジルコニウムが溶け出し、これが水と化学反応を起こして水素ガスが発生して、水素爆発の危険が高くなる。もし、高熱や水素爆発によって原子炉の格納容器が破壊されると、放射性物質が大量に周辺にまき散らされることになり、もはや状況は大惨事の一歩手前まで差し迫っていた。ただし、1989年の調査では、圧力容器に亀裂が入っていたことが判明している。

このため周辺住民の大規模避難が行われた。その後、運転員による給水回復措置が取られ、事故は終息したが、炉心溶融で、燃料の45%、62トンが原子炉圧力容器の底に溜まった。給水回復の急激な冷却によって、炉心溶融が予想より大きかった。
放出された放射性物質はヨウ素555GBq(15キュリー)など、周辺住民の被曝は0.01 - 1mSv程度であり、住民や環境への影響はほとんど無かった。

スリーマイル島原発事故は、国際原子力事象評価尺度(INES)はレベル5としてIAEAに登録されている。現在の福島第一原子力発電所1〜3号機の事故について、経済産業省原子力安全・保安院は、暫定評価としてレベル5と報告している。ちなみにチェルノブイリ原発事故は最も深刻なレベル7であった。

2011年3月19日土曜日

原発の安全神話

安全に「絶対安全」という言葉はない。これは技術者の常識である。

原子力発電所は、人々に漠然たる不安がどうしても払拭されないにもかかわらず、発電所を立地する際に電力会社や政府は絶対安全だと住民に説明してきた。技術者が原子力設備は絶対に安全と思っていないにもかかわらず、絶対安全と言わざる得ないことが、これまでの不幸を生んだ。
住民に絶対安全と言ったために、事故が起きた場合はそれを公にせず内部で処理しようとし、不利なデータや情報は隠すようになり、さらには虚偽報告までしたために、社会からの信頼を大きく損ねてしまった。(「事故から学ぶ技術者倫理より」中村昌允著)

これまで発生した高速増殖炉「もんじゅ」の火災事故、動燃アスファルト固化処理施設火災爆発事故、JOC臨界事故、美浜原発3号機二次系冷却配管の破損事故など多くの原発事故は、技術者が本当の事象を説明しなかったことが問題の根底にあり、電力会社の企業倫理も大きく問われた。

今回の原発事故は、原発が未曾有の自然災害の遭遇したということもあるが、事故の対応が後手に回ったことは、やはり電力会社及び監督官庁の情報隠蔽体質が影響したものと思われる。

米紙ニューヨークタイムスは、18日付の社説で、東日本大震災で危機状況にある福島第一原発の事故をめぐり、東京電力と日本政府の対応について「心配になるほど不透明だ」と批判している。官房長官の記者会見は、国民に余計な不安を与えてパニックにならないように配慮する内容に終始し、逆に不信感を深めている。そのことが、米国が原発から半径80km以内の米国人の退去命令になったのであろう。

現時点では済んでしまったことをとやかく言っても仕方がない。現在どうするかが最も重要なことである。もう原発の安全神話は完全にくずれたのであり、危険のリスク情報は可能性の大小が明確でなくても、国民に開示していくべきであろう。

放射性物質が原発から漏洩している中で、東京電力、日立製作所、東芝、自衛隊、東京都消防庁などが、放水作業により決死の覚悟で原発と戦っている。これから大阪市消防局や横浜市消防局が加わる。日本のために命がけで戦っている。これらの人たちに二次災害が及ばないように、情報はすべて開示し国際原子力機関や欧米の原子力機関とともに一体となって解決に導いてもらいたい。

この結果は世界中が見守っており、世界のエネルギー政策を左右するほど重要である。
Never give up. We are one, all for JAPAN.

2011年3月16日水曜日

東北への支援物資の協力

地震・津波で避難されている方に、さらに東京電力(株)福島原発の放射線性物質拡散の影響で、避難されている人が増えて、避難所は大変なことになっています。
朝日新聞の17日発表では、避難されている方は42万人を超えています。被災地ではまだまだ支援物資が行き届いていないようです。

山屋、カヌーイストの皆さん、モンベルで支援物資の協力を呼びかけています。
テント、寝袋、山用ガスストーブ、ガス缶、食品(生ものは除く)、その他を募集しています。協力をお願いします。

私も、寝袋を送る予定です。

詳細は、下記のウェブサイトを参照してください。

mount-bell 震災支援アウトドア義援隊(募集終了)
http://www.montbell.jp/generalpage/index.php?general_id=141

スノーピークでも支援物資の協力依頼をしています。

スノーピーク (募集終了


Hope for TOHOKU. My thoughts and sympathies are with you.

2011年3月14日月曜日

東日本大震災、今後教訓は活かされるのか

今回の東日本大震災の状況をテレビで見ていると無力感を感じる。

三陸沖の地震は以前から指摘され、発生確率も東海・東南海・南海地震の発生確率より高く99%と言われていた。ただし、今回の地震はスマトラ沖地震と同様に広い範囲に渡って海底地盤が連続的に破壊し、巨大な津波を発生させた。東海・東南海・南海地震では、このような連続的な発生と規模を想定してシュミレーションも行われているが、三陸沖ではそこまで想定されていなかったらしい。

地震災害を防ぐことができるか、それは不可能である。今は、減災といって災害にあった場合、少しでも被害を少なくする対策を予めとる政策がとられている。しかし、こんな大津波が押し寄せてきたら、何をやっても不可能ではないかと感じてしまう。津波を防ぐ防潮堤を築くとすれば、日本の海岸を高さ30m以上の万里の長城で囲むしかない。

それでも今回の災害や阪神・淡路大震災を教訓として、少しでも減災が考えられる。
地震が発生してから、津波が来襲するまでほとんど逃げる時間がない。外にいて地震情報を入手できなかったら、津波が来るまで気がつかない。津波の危険性がある所では、鉄筋コンクリートの避難所を一定の範囲毎に配置するしかない。
また空港は、鉄道や道路など交通が寸断された場合、非常に重要な施設となる。立地場所は、外洋に面している地域では海岸から離すべきである。仙台空港や松島基地は津波に教われ使用不能状態である。基幹空港として本格復旧する場合は、内陸部につくった方が良いであろう。

一方の重大な問題は原子力発電所の管理不能状態である。今回は、米国スリーマイル島の事故に近い炉心冷却用の送水ポンプが故障し燃料棒の溶融が一部で起こったようである。この原因はFMEAなどにより原因を突き止め、他の原発での再発防止に役立てなければならない。日本のエネルギー供給の根本を揺るがす大問題である。近い将来発生する可能性が高い東海・東南海・南海地震の対象地域になる浜岡原子力発電所は、即刻廃炉すべきと考える。

原子力発電所の停止は、電力供給に深刻な問題が生じ、日本経済に重大な影響を与える。日本全体で電気消費の節約に協力しなければならない。企業においては就業時間の削減、休憩時間の消灯、野外広告の停止、不要な移動の自粛などの協力を進めなければならない。

今回は、日本にとって戦後最大の危機といっても良いであろう。マスコミは災害に対応している人たちの足を引っ張るような発言や報道を控え、我々国民はできることは何でも協力していきたい。

東京地区の皆さん、トイレットペーパーやカップラーメン、電池などの買占めは控えましょう。本当に必要な人たちに行き当たらなくなります。

東日本大震災に関する総合情報がグーグルより提供されている。
http://www.google.co.jp/crisisresponse/

THE NEW YORK TIMES

2011年3月9日水曜日

炭素利用社会への移行

地球温暖化防止対策として温暖化効果ガスの削減や二酸化炭素排出の削減が叫ばれています。

国連人口基金から2010年版の世界人口白書が発表され、世界の人口は今年中には70億人に達するという。
現在世界でもっとも人口の多い国は、中国の13億5410万人、次いでインドの12億1450万人が続く。さらにインドは、2020年代には中国を追い越して人口世界一になる見込みだといわれている。
一方でこれらの国は、Bricsと呼ばれ経済発展が著しく、それに伴い二酸化炭素の排出も急激に多くなると予想される。

人口増加と経済発展に伴い、地球全体の二酸化炭素排出量の増加は避けられないのが現実である。それでも、地球温暖化のスピードを少しでも緩和するためには、二酸化炭素の排出を押さえた低炭素社会に移行するが叫ばれている。しかし、低炭素社会の実現には大きな経済負担を伴い、国際競争社会の中で政府や企業は、二の足を踏んでいるのが現状である。逆に、この経済負担のハードルを克服すれば、経済的にすごい武器になる。

それにはまず、産業の基本材料を製造段階で炭素を大量に排出する鉄鋼からCFRP(炭素繊維強化プラッチック)に移行することである。
まだ、CFRPは非常に高価でゴルフのシャフトや航空機のボディに使わているのにすぎず、大衆消費材にはまだ大量に採用されていない。これを製鉄所のような大規模な工場で生産し炭素繊維のコストを下げ、自動車などに採用することにより成型コストを下げて鋼板と同程度までコストを下げることです。また、CFRPも超臨界アルコールを利用したリサイクルにより炭素繊維を再度CFRPに利用することができる。このような材料を採用することにより、電気自動の軽量化が可能になり、走行速度も大幅に増加し、二酸化炭素の排出を抑制することができる。

一方、電気自動車は、静電誘導方式により簡単に充電できる装置を各パーキングエリアごとに設置すれば、普及に弾みがつく。太陽光発電を電気自動車の充電に使えば、発電所の負荷も低減する。また、製造段階で排出される二酸化炭素はCCS(二酸化炭素の回収・貯蔵)により、回収することも、現在すでに実用化されている。

これらの技術は、すべて既存の技術であり政府がやる気になり予算を集中的に投下すれば、世界経済をリードすることも可能である。宇宙開発に膨大な予算を注ぎ込むのか、それとも眠っている技術を世界経済の牽引役として予算を注ぎ込むのか、この問題に早く取り組んだ者が勝者になるであろう。いかに二酸化炭素を大気に放出しないで炭素を利用するかがこれからのキーポイントとなると確信する。

資源の乏しい日本にとって、これから生きる道はまだ余力のある資金を環境問題を解決する技術に集中投資し、経済的優位を確保するしかない。
絶えず首相を引きずりおろして交替するようなことばかり繰り返している暇は、これからの日本にはない。

2011年3月2日水曜日

酸素欠乏症と酸素分圧の関係

酸素欠乏症は、一瞬にして多くの人の命をなくす怖い疾病である。

平地の空気の酸素濃度は、通常21%程度であり、人間はこの環境下で普通に生活していける。しかし、工事現場等のConfined space(閉鎖空間)では、酸素濃度が21%より低くなることがある。建設工事の中では、
・船や台船の鋼材の腐食(酸化)により船艙の酸素が消費されえる場合、
・建設中のマンションの部屋に内燃機関を持ち込んで酸素を消費するとともに一酸化炭素を発生する場合、
・井戸を掘削中に土中の鉄分に酸素を消費された低酸素の空気が流入した場合や硫化水素が発生する場合、
・実験室等でヘリウムが充満し、酸素が追い出されてしまう場合
   ・汚水や醗酵するものが入っている場合、
などがある。

通常、人間は酸素濃度が低くなると以下のようになる。
 ・18%: 安全限界
 ・16%: 呼吸、脈拍の増加、頭痛、悪心、はきけ
 ・12%: めまい、はきけ、筋力低下、体重支持不能脱落(死につながる)
 ・10%: 顔面蒼白、意識不明、嘔吐(吐物が気道閉塞し窒息死)

それでは、なぜ酸素濃度が低くなると人間に影響が出るのか、それは酸素分圧を理解しなければならない。
酸素分圧は、流体の体積あたりの酸素量を現す指標で、気体中の酸素分圧は、気圧×酸素濃度(純酸素を1.0として)であらわされる。平地(1気圧)の大気圧は760mmHgで、酸素濃度は、160mmHgである。
気道に入った空気について、大気圧から飽和した水蒸気分圧47mmHgを差し引いて酸素分圧をもとめると150mmHgとなる。肺胞には二酸化炭素が多く(40mmHg)、酸素分圧は100mmHg程度となる。さらに動脈中の酸素分圧は常に若干低いので、酸素は分圧の高い方から低い方に流れ、血液のヘモグロビンと結合して運ばれる。次に、体組織の細胞周囲の酸素分圧は20~30mmHgであり、動脈血と酸素分圧に差があるため、末梢の毛細血管では酸素が血液から組織液に移る。

したがって、大気圧で酸素濃度が16%の場合、肺胞内の酸素分圧は、
(760 - 47) X 0.16 - 40 = 74 mmHg
となり逆に体内の酸素を奪われるようになり息苦しくなる。    


高山病も同じ原理である。
標高3000mでは、気圧が529mmHgになるため、酸素濃度が同じで水蒸気を無視しても酸素分圧は、
529 X 0.21 − 40 = 71 mmHg 
となり息苦しくなる。その対策としては、酸素ボンベなどで酸素濃度を上げればよいことになる。
3000m級の山でも高山病にかかる人がいるのは、同じ酸素濃度でも気圧が下がるために酸素分圧が下がるからである。高度順化は、酸素分圧の低下を、赤血球の増加により、酸素の吸収量を補おうとする自己防衛反応である。しかし、平地に降りることが確実で安全な対策であることがわかる。ちなみに高度8,848mのエベレスト頂上で酸素分圧は、平地(高度0m)の大気の酸素分圧の33%しかない。

人間は、非常に限られた条件でのみ生存できるということがわかる。

2011年2月23日水曜日

飲酒運転の同乗者に対する実刑判決

2008年2月に起きた交通事故により9人を死傷させた事故で、運転者だけでなく同乗者も実刑判決が下された。

2月14日、さいたま地裁で、交通事故の際、泥酔した運転者の車に同乗していた2人に対し、懲役2年の実刑判決が言い渡された。遺族側は、同乗者を危険運転致死傷罪の共犯で告訴し、さいたま地検は危険運転致死傷の幇助罪で起訴していた。
運転者は、すでに危険運転致死傷罪で懲役16年が、酒を提供した飲食店経営者は、道路交通法違反(酒類提供)の罪に問われ、懲役2年執行猶予5年が確定している。

同乗者は、会社では運転者の上司にあたり、同乗者が直接指示しなくても、同乗者が何も言わなかったら黙認して、直接指示したのと同じ状況と考えてもおかしくないであろう。今回のケースは、運転者の上司であるため、同程度に責任が重い思う。運転者の会社の上司であれば、当然飲酒運転を止めなければならない立場にある。社会的影響を考えると、共謀罪で懲役16年でも当然だと考える。今後の控訴審で正しい判決が出ることを期待する。

一方、飲食店はいくらお客様に飲酒した人の車の運転を控えることや、車を運転する人には酒を提供しないと説明しても、お客様がいい加減な返事をして勝手に飲酒運転することも考えられ、飲食店による抑制には限界を感じる。

建設現場でもあってはならないことだが、たまにゴミ箱から空缶ビールが見つかることがある。昼休みに飲んでいるのか、仕事が終わった後に飲んでいるのかはわからない。現場の所長は、毅然とした態度で現場内では絶対に飲酒させないようにしなければならない。また、現場の近くの食堂でも、昼食時にビールを飲んでいる作業員を見かけることがある。近くの飲食店にも昼食時にビールを提供しないように協力を求める必要がある。

以外と飲酒については甘かったのが今までの日本である。
これからは、飲酒に起因する事故に対しては、厳罰に処す必要がある。海外では、ドラッグの問題も深刻で、現場の新規入場者教育でははっきりと飲酒およびドラックの禁止を教育している。
日本でも当たり前である一般常識を、今一度教育する必要がある。

2011年2月16日水曜日

エンジニアのCPD

先週、日本技術士会のCPD認定技術者の更新を済ませたところです。最近の資格は、CPD(継続研鑽)が義務づけられている。

日本の資格は、一度取得すれば永久資格として有効であるが、欧米の資格では更新制度が取り入れられており、技術者及び資格の質の低下を防いでいる。日本の資格を各国と相互認証しようとしたところ、この問題が引っかかり、日本の制度を変える必要からCPDが導入されたが、まだ更新制度を取り入れる資格は少ない。また、CPD制度もペナルティー規定がなく、CPDを行わなくても資格を剥奪されることはない。

政府もやっと、昨年末に監理技術者講習の廃止を決定した。この講習は高い受講費が必要だが、大きな講堂に多人数を詰め込み、ただ座っているだけで修了証がもらえるというものであった。各学協会がCPD教育を開催している中で、国土交通省関連の団体の維持のための行事で、継続研鑽の内容から程遠かった。

技術者制度検討会(座長: 小沢一雅・東京大学大学院教授)が発表した廃止の主な理由は、
・講習会等で一律に質を確保することは困難。
・参加すれば修了証が取得できる現状は見直すべき。
・専門工事の新技術に関する講習は乏しい。
・専門技術は講習で実施する形式にはそぐわない。
・法改正等を的確に業務に反映するには、5年周期ではなく、自ら希望して必要な講習が受講できる仕組みが必要。
・ 自主性に任せつつ、監理技術者として最低限必要な法制度、施工技術等を適時に効率的に学習する機会は必要。
・自主的な取組を支援、後押しするインセンティブが必要。
・CPDと連携したしくみ(ポイント獲得が目的化しない工夫)。 
・技術力の確認のため、技術者の更新プロセスが必要。

労働安全衛生コンサルタントもCPD制度があるが、資格保有者でCPDを行っている人は少ない。米国のCSP制度をモデルにしていて、CPD250時間達成したらCSP( Certified Safety Professional )を名乗るための申請をすることができる。今のところ、CPDを行わなくてもなんら業務に支障はなく、中途半端な制度である。国際的に相互承認しうる資格にするためには、思い切って資格の更新制とCSP制度を導入すべきである。

このままでは、日本の技術士も労働安全コンサルタントもガラパコス化するのではないだろうか。国際経済の自由化の流れで、技術者の国家間移動の障壁がなくなったとき、日本はどうするのだろうか。

2011年2月9日水曜日

山の基礎知識

最近、中高年登山者の基礎知識の無さがよく目につく。
マスコミによる深田久弥百名山に誘発された登山者が急激に増え、基礎知識もないままただピークを征服することだけに明け暮れている。

まず、地図を読めない。登山ツアーのリーダーの後をついて歩くだけで、地図とコンパスを持っていない。従って自分の現在地を確認しながら行動できる人が少ない。おまけにGPSの普及で、機械に頼りきりの人もいる。自分の位置をおおよそ把握できないということは、道に迷う危険性、残工程をたてられず疲労困憊に陥る危険性などがある。ペースは遅くても一定の速度で行動していれば、周りの地形と照合しながらおおよその場所が把握できる。道標があれば、自分の想定がどの程度誤差があるかも修正できる。

つぎに、最近はラジオの気象通報より天気図を作成しなくなった。昔は山に入る前から定時に天気図を作成し、行動中も天気図を作成していた。したがって、事前におおよその気圧配置が頭の中に入っていて、天気の急変をある程度事前に予想することができた。そして、先輩諸氏から観天望気の方法を行動しながら教わった。雲の形、山にかかる雲、風向き、鳥の飛び方、星の瞬きなど、自然を観察して天気の変化を予想するのです。最近は、山小屋で衛星放送を見ることができるようになったので、さすがに天気図を作成することはなくなったが、常に気象の変化に気を配らなければならない。そうでないと、悪天候の中を無理に行動したり、避難小屋に留まったりという判断ができない。

非常食を持たない人が多い。どんな低い山でも非常食は必要である。高カロリーのものを最低1食分は持っていたい。チョコレートやクッキー、カロリーメイト、それに水。したがって、非常食は山を下りるまで手をつけるべきでない。リーダーは、非常用にガスストーブと小さなコッフェルを持参し、低体温症に備えなければならない。

長期縦走登山の場合、万が一のビバークに備えてツエルトは必需品である。最近のツエルトは非常にコンパクトで軽く、持参してもほとんど苦にならないはずだ。緊急時は、ツエルトをすっぽり上から被り、雨と寒さを多少なり緩和することができる。道に迷うばかりでなく、メンバーの一人が足を怪我し、明るいうちに小屋や下界に到達できないケースも考えられる。暗くなってからの行動は危険を伴い、できる限り避けなければならない。

それでも、暗くなって行動しなければならないときに備え、ヘッドランプも必要である。最近のヘッドランプはLEDのため軽く、電池の消耗も少なくて性能が良くなっている。低い山でもこれもぜひ装備しておきたい道具である。

今年も多くの中高年登山者が遭難し、事故を起こした。山の基本に忠実に行動していれば事故にならなかったであろうと思われる。山の楽しみ方は、深田百名山の征服記録を作るのも良いし、のんびり景色を楽しむのも良いし、それに対してとやかく言うことはできない。ただ、山の基本をよく理解して、他人に迷惑をかけないようにしてほしい。

2011年2月2日水曜日

アセチレンボンベの検査

ガス溶接作業に使用する溶解アセチレンボンベは、通常メーカーからガスが充填されたものを調達するためどのような管理になっているのか良く知らないことが多い。

溶解アセチレンボンベは圧力容器であるため、高圧ガス保安法(経済産業省主管)の規制を受ける。また、構造規格はJISの規格(B-8265、8266)にも規定されている。

まず、容器の使用期限は、ガス保安協会で容器製造後38年という自主ガイドラインを設けている。容器には製造年月(型式試験の検査合格)の刻印がされている。しかし、容器保安規則((昭和41年5月25日、通商産業省令第50号)により再検査が義務づけられていて、再検査に合格しない容器や期限を越えた容器はガスの充填をしてはならないことになっている。

1998年の規則改正で、溶接容器500リットル以下(アセチレン・プロパンガスボンベ等)の場合、製造後20年未満の場合は5年ごとに、20年を経過したボンベは、2年ごとに再検査を受けることになっています。

容器のところに刻印が押してあるが、すべて管理されている数値である。
したがって、型式検査の期限切れのものについては使用しないのが法の趣旨である。現場では、なかなかそこまで見て管理できないであろうが、ガスを充填したまま長期間保管することはまれであるので、倉庫に残っていた古いものを使うときは要注意である。

また、容器の内部にはアスベストを使用しているものもあり、勝手に処分することはできない。

現場からの質問に答えるため調べたが、普段何気なく使っているものも規制と危険性が潜んでいるのを知った。

2011年1月26日水曜日

失敗情報の共有

失敗は企業の宝である。

しかし、人々はなかなか失敗を報告したがらない。日本の社会は、失敗を人の業績評価に使ってきた長い歴史があるからである。

組織に壊滅的な損失を与える失敗を除いて、軽微な失敗は大いに飛躍の種として積極的に活かすような文化を築くべきである。世の中の大発見は、失敗や挫折の上に成り立っているし、最初から成功は絶対にありえない。
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長でさえも失敗と挫折を味わった後に大きな成果を得たとNHKの番組で言われている。

組織は失敗があるためにそれを是視して更なる発展につなげていく。逆の事を言えば失敗の経験を味わったことがなく、現状に満足している組織には発展は望めない。

また、失敗を意識的に行うのは企業犯罪である。しかし、失敗や不具合はどこの組織でも潜在しているはずである。それをうまく拾い上げて改善に導くかどうかが組織の業績の成否が分かれるであろう。

建設業でも、ヒヤリハットを収集して組織の改善につなげようとしているが、今までの閉鎖的な文化の影響が残り浸透しないでいる。ヒヤリハットをどんどん出して、みんなが真摯に受け止め組織の改善に活かしていくところは飛躍的に発展していくであろう。

カンタス航空は、創業以来50年間無事故を続けている。その秘訣について労働予防研究所三廻部所長がカンタス航空への取材を通して得られた秘訣をプレゼンテーションで述べられている。
その1 個人の過失を全員に報告する
その2 トレーニングを行う
その3 チームワークを保つ
その4 メインテナンスを積極的に行う
その5 古い機械は使わない
第一に失敗を組織で共有し、事故防止のノウハウに学び取ろうとしていることが注目される。Incident Report Systemが組織内で活かされているからこそすばらしい実績に結びついている。

MS内部監査で指摘事項があることを恥と思うのは大間違いである。形ばかり取り繕って指摘事項無しとする組織は、組織が改善されず、イノベーションも生まれない。内部監査や外部監査で指摘していただくのは、ビジネスの飛躍のチャンスを与えて貰えるというようにとらえ、前向きに真摯に受け入れるべきである。

このように考えれば、外部監査なんて何も怖くない。逆に利用するだけである。

昔からよく言う、「失敗は成功の素」的対応は、マネジメントの基本姿勢であろう。

2011年1月17日月曜日

阪神大震災の教訓

今年で、阪神・淡路大震災の日(1.17)から16年になる。

若い世代では、あの地震を経験していない人も多くなってきた。災害の経験はなんとかして次の災害に活かしたいものであるが、記憶が徐々に薄れてきて身近に感じなくなってくるのは歪めない。

神戸には「人と防災未来センター」(河田恵昭センター長)、淡路島には「野島断層保存館」があり、私は両方とも訪れた。東海・東南海大地震が発生すると、東海道新幹線及び東名高速道路が寸断し、東西の交通が寸断され、日本経済は完全にマヒする。最悪の事態に備えて生産拠点を東海地方から九州へ移転する動きは多少ある。
しかし、橋脚の耐震補強やビルの耐震設計が進んだぐらいで、高速道路や新幹線の盛土の補強、指定避難場所に指定されている学校の耐震補強、地盤の液状化対策、堤防の津波対策などもまだまだ不完全で、まだ危機管理が万全とはとてもいえない。

リスクアセスメントの考え方でいえば、災害が発生した時の重大性は非常に大きく、発生の可能性は地震発生の周期から考えていつ来てもおかしくない時期であり、リスクは最大となっている状況である。まさに国防と考えるべきであるが、今の政府には将来の日本を考える余裕はないらしい。技術者はもう少し、一般市民に現状の危険性と対策をわかりやすく説明すべきである。

2011年1月12日水曜日

本格的な電気自動車の登場

日産のEV(電気自動車)「リーフ」が、昨年12月22日に国内第1号として神奈川県庁に納車された。

リーフは、開発やモーター・電池の製造、車両の組み立てなどが神奈川県内で行われている、Made in Kanagawaの車である。三菱自動車のアイミーブと同様、ガソリンを全く使わない純粋なEV(電気自動車)で、かなり先進的な車である。

性能も市内走行には全く問題はないようだ。一充電時の航続距離はJC08モードで200kmもある(米国のLA4モードでは160km)。JC08モードは、新たに義務づけられた燃費の測定モードで、今までの10・15モードよりさらに実走行に近い厳しい基準である。ちなみにアイミーブは10・15モードで160kmと発表されているので、リーフの性能はかなり優れているように思われる。

電気で動くため冠水路や雪道走行の場合、電気がショートして使い物にならなくなるのではと、販売員に聞いてみると、完全に防水処理が施され、実際に冠水路の走行テストを行って問題ないことを確認しているそうである。

ガソリンの消費がなく、CO2を直接排出しないのでこれほど環境に良い自動車はない。しかし、普及には数々の問題がある。
まず、第一に価格が高いこと。リチウムイオン電池の生産コストが高いことが主な原因である。ただし、生産量が増加すれば価格が下がると予想される。
第二に、充電設備がごくわずかしかないことである。NEXC0のサービスエリアに急速充電設備がなく、長距離高速走行ができないことである。

日本の将来技術を育てるためには、高速道路を無料にするために予算を投入することより、電気自動車の普及のための補助金や充電設備設置の補助に予算を投入すべきです。太陽光発電の補助金を廃止したために、それまで世界第1位の生産量を誇っていたソーラパネルがあっという間にドイツや中国に抜かれた苦い経験がある。
政府が電気自動車を短期間に普及させ、世界をリードして新たな産業に育てるという方針をはっきりと立てる必要がある。中国メーカーも電気自動車の開発を急いでおり、のんびりしてると中国に先をこされるかもしれない。

日産による電気自動車の大量生産の開始は、今後の日本の環境問題と工業技術を考える上で、エポック・メーキングになると思われる。

日産リーフの仕様
 ・車体寸法: 全長 4,445 mm、全幅 1,770 mm、全高 1,545 mm
 ・車両重量: 1,520 kg
 ・乗車定員: 5 名
 ・JC08モード交流電力消費率: 124 Wh/km
 ・JC08モード一充電走行距離: 200 km
 ・駆動用バッテリー 総電力量: 24 kWh
 ・最高出力: 80 kW(109ps)/2,730〜9,800 rpm

参考資料; 日産EVのウェブサイト

2011年1月5日水曜日

新年の安全祈願、川崎大師

正月の川崎大師はさすがにすごい人だ
あまり人が多いので安全祈願どころではない
川崎大師の正式名称は金剛山金乗院平間寺といい、御本尊は遍照金剛(弘法大師)で、真言宗のお寺である 私は、四国八十八ヶ所霊場巡礼以来、弘法大師とは縁が続いている



こんなに多くの人が参詣にきても、お大師さんはみんなの願いを聞いてくれるであろうか
身体健康、家内安全、商売繁盛、工事安全
南無遍照金剛


もうこうなったら、聖徳太子さんにもお願いした

また改めてゆっくり来よう

参道は、飴や久寿餅、お好み焼き、たこやきなどの店がずらっと並んでいて楽しい
今日は、超ジャンボソーセージと広島焼き、もつ鍋を堪能した