2011年4月27日水曜日

重心とメタセンター

港湾工事では、船舶や作業台船、フローティングドッグ、ケーソン曳航に際し、転覆しないように安定の検討を行うことが重要になる。
特に復元力では、メタセンターというファクターが重要である。
メタセンター(metacenter)とは、浮体を傾けたときの新しい浮力の中心を通る鉛直軸が、傾ける前の浮力の中心軸と交わる点で、傾心ともいう。メタセンターが重心よりも上にあれば、浮体は傾斜したとき、元に戻ろうとするので、浮体は安定する。
作業台船が転覆しない条件
G1:作業台船全体の重心位置(下向きの力)
G2:全体の重量が上に移動した場合の重心位置(下向きの)力
F :浮心・浮力の中心を通る鉛直軸/傾くと移動する(上向きの力)
M :傾ける前の浮力の中心軸と傾けたときの浮力の鉛直軸の交点、メタセンター
G-M: 2点間の距離をメタセンターハイという

Case.1 重心位置GがメタセンターMより下にある場合 →復元する
G1にかかる下向きの力とFにかかる上向きの力のモーメントにより、作業船の傾きを戻す方向に働く。
Case.2 重心位置GがメタセンターMより上にある場合 →転覆する
重心GがG2に移った場合、モーメントはより傾ける方向に働く。
Case.3 重心位置GとメタセンターMが一致する場合 →傾斜したままの状態
特にフローティングドックを選定するときは、フローティングドックの形状によりメタセンターの位置が微妙に影響することに注意が必要になる。

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