2009年11月30日月曜日

立体曼荼羅、ボロブドゥール

休暇を利用してジョグジャカルタ近郊にある世界遺産ボロブドゥールを訪れました。
ボロブドゥールは、寺院であったのか、王家の墓だったのかよくわかっていません。しかし、大乗仏教の大遺跡には違いありません。
ボロブドゥール一帯は史跡公園になっていて緑の中にあるすばらしい環境です。 構造は、下部が基壇と方形の5段、上部は円形の3段からなっており、地下に隠れた旧基壇と地上部の回廊には全部で1,460面もの浮き彫りが施されています。 第1回廊上段「佛伝記」の第13面に描かれている摩耶夫人が夢で白象を見て受胎した絵です。
ボロブドゥールには第1段から第5段に合計432体の仏像が配置されていて、それぞれの方向に印相が異なっています。写真は北向きで、不空成就如来(施無畏印)です。 仏様はすべて外を向いて座ってられますが、「金剛頂経」の金剛界如来の会座によっていると思われています。 私は、その前で般若心経を読経しました。 まさに、ボロブドゥールは立体曼荼羅です。
すぐ近くのムンドゥッ寺院には非常に美しいお姿の如来様と左右に観音菩薩、文殊菩薩様が配置されており、今でもジャワの仏教徒が熱心に読経している姿を見ることができました。

ボロブドゥールについて、さらに詳しい情報は
http://tomstar-mount.blogspot.com/2009/11/borobudur.html

2009年11月25日水曜日

セーフティ・スタッフの身の危険

海外の工事現場では、安全文化の違いから身の危険が生じることがあります。
仕事に熱心なあまり仕事の相手から殺されたらたまりません。

  以前、中部国際空港建設工事に絡み、某スーパーゼネコンの購買担当者が、下請工事の清算を厳しく査定したために、その下請会社の社長があまりにもひどい支払いをしたことに腹を立て、その購買担当者を殺し、その死体が名古屋港に浮かんだ事件がありました。購買担当者は会社の目標利益のため自分の業務を遂行したつもりが恨みを買ったのでしょう。

  海外工事では、安全文化が大きく違い、「安全をすべてに優先させる」の理念にしたがって、日本の労働安全衛生法や米国のOSHAを現地の人たちに何があろうと遵守させようとすると、必ず摩擦が生じます。 インドネシアでよく起こるトラブルは、足場工や鉄筋工にフルボディハーネスを使わせる場合です。彼らは今まで畑で仕事をしていたところ、近くでプロジェクトがあると建設作業員として集まってくるので、フルボディハーネスを着けるということを慣れていません。普段はスリッパで丸太をよじ登って作業しています。なぜ今まで通りやってはいけないのか、という疑問を持って作業しています。
だから、高所においてフルボディハーネスの使用をあまり強くし指導すると、場合によっては鉄筋棒を持って殴りかかろうとします。取っ組み合いのけんかになることもしばしばあります。
鉄筋出荷の鉄のプレートも剃刀代わりの凶器になります。バイオレ-ション(暴行)も現場におけるリスクであり、命あってのSafety Managerです。

  これは、安全文化の違いから起こる問題です。明らかに安全文化の違いがある場合、どちらかの安全文化に合わせた指導を行うのは間違いです。リスク低減対策遂行の厳しさと場合によっては安全ルールに対する寛容さが必要です。 また、安全文化のギャップを埋めるのはコミュニケーションしかありません。コミュニケーションなしになぜやらないんだ、ボーっと突っ立っているだけで何しているのだと言って怒鳴っても何の解決策にもなりません。フラストレーションが増すばかりです。

  それには日ごろから「声掛け」を通してコミュニケーションを図り、時間を掛けて、「やって見せ、言って聞かせて、ほめてやらねば人は動かず」(山本五十六)を繰り返すしかありません。それでもどうしても言うことを聞かなかったら、さらにごり押しするのではなく、身の危険を考えて一旦引き下がり、お互いに妥協できるラインを探るべきです。

いくら正しいと思うことでも、自分の命を失ってまで押し通すのは、もともこうもありません。

2009年11月21日土曜日

山で野生動物と遭遇したら

先日、乗鞍岳駐車場内で熊に教われる災害が発生しました。

乗鞍岳には2005年夏に名鉄バス日帰りツアーで登りました。バスが沢山並んで大勢の人で賑わっていた所でした。
本州に生息するのはツキノワグマ、北海道には一回り大きいヒグマです。大雪山や羅臼岳などではヒグマの被害も多発しています。
登山中に熊に出くわしたらどうしたらよいか、その場に遭遇したら誰もが冷静に行動できないと思います。色んな文献で対処法を調べてみると、まず絶対に走って逃げてはいけないそうです。熊は好奇心が旺盛で逃げたら追いかけてきます。熊は走るのが早く。100mを7秒台で走るそうです。また、大声を出すと驚いて向かってくるそうです。昔から言われている「死んだふり」はかえって興味を持つので絶対にしてはならないそうです。対処方法は、第一に熊が人間に興味を持たないように、ゆっくりと熊から離れることが一番だそうです。そして第二に大きな声を出さない。写真撮影をしない。特にストロボの光は刺激を与えます。第三に走って逃げないことです。第四に小熊を見かけたらすみやかにその場から遠ざかることです。

次に山でよく出くわすのがイノシシです。イノシシは子育て時期が一番危険で、ウリンボウを可愛いからといって手を出すと、親が突進してきます。牙もあるから非常に危険です。イノシシも相手にしなければ全くおとなしい者です。六甲山のロックガーデンには一日中イノシシの家族が群れをなしています。でも手を出さない限り非常におとなしいです。

サルは人間に近い野生動物ですが、種が近いがために目と目を合わせるとプライドを傷つけられたと思って歯を剥いて威嚇してきます。食べ物を見せたら飛びかかってきます。近年山の開発が進み、餌を十分に確保できず里山に降りて餌の確保に必死になっているようです。サルの悪業に対して対策をとるのではなく、サルが餌を確保できなくした環境破壊の行為を制限し、サルとの共存を模索すべきです。ニホンザルは世界中で最も北の地域に住んでいます。熱帯ジャングルのサルと違って生活が大変です。

ヘビは出くわすというより、踏みつけることが最も危険です。登山道がほど良い日光浴の場所になっていて寝そべっているところに人間がやってくる。ヘビもびっくりして反射的に踏んだ人を襲うことになります。ヘビに噛まれたら携帯電話で1分でも早く病院へ行くべきです。マムシの血清をおいている病院は限られているので、救急隊に応急処置をしてもらうことをすすめます。日本ではマムシ、ハブが危険です。インドネシアやタイではキングコブラやグリーンスネークがいて迂闊に山の中を歩けません。

夏の暑い日に低山ハイキングして襲われるのがススメバチです。ハチは黒いものにより反応するため、黒い服や防止は避けた方が良さそうです。気を付けなければならないのはハチの毒に対してアレルギーを持っている人です。刺されて数分後には、アレルギー反応によって、意識障害や呼吸困難といった症状が現れ、最悪の場合は死ぬこともあります。また、二度目や三度目の人は抗体が過敏に反応し重症になることがあるので注意が必要です。

夏山でやっかいなものにヒルがあります。特に鈴鹿山脈、大台ケ原、丹沢が有名ですが、地空温暖化で生息域と活動期間が広がっています。以前、鈴鹿の藤原岳に登ったとき、最初は気がつかなかったのですが足がかゆいのでズボンをめくってみるとヒルがピンポン球のようになっていました。登山道をよく見ると登山道にぎっちりとヒルがいるのにはびっくりしました。常に足を動かしていなければならず休憩等できません。登山用具店でヒルよけスプレーを売っていました。まだ使ったことがありませんが試してみる価値はありそうです。

最後に、最も恐ろしくやっかいな動物がオバハンです。周りのことはかまわず大きな声で吠えます。避難小屋では夜遅く避難する人間がいても意に介さず自分たちのテリトリーを守ります。一日中餌を食い散らかし林の中のいたるで小便をして白い紙を撒き散らしています。凶暴性はないが集団で吠えまくるのでなるべく近寄らないようにすることをお勧めします。

山の中で野生動物に遭遇したときはそおっとしてあげること、そして絶対餌を与えないようにすることです。

2009年11月17日火曜日

ヘルメットのあごひも

  現場では必ずヘルメット着用とともにあご紐を締めることときつく指導されます。しかし、米国の映画などで出てくる場面では、あごひもをせずにヘルメットをかぶって作業しています。

欧米のヘルメットはラチェット式で後ろの部分でネジをまわして締め付けて固定するようになっています。一度被るとグラグラしません。欧米ではこのラチェット式が主流になっていて、あご紐はオプション販売になっているようです。

  なぜこのような違いがでてきたのかというと、日本ではヘルメットの目的は飛来落下、墜落・転落及び感電災害の危険に対する頭部の保護が目的であり、内装だけでは安定して被れないということと、墜落時もヘルメットで危険から頭部を守るという考えからあご紐をしっかり締めるということです。しかし、欧米では飛来落下に対する防護に重みをおき、ヘルメットで墜落・転落時の危険から頭部を完全には守ることができないという考え方の違いによるようです。したがって、欧米のラチェット式ヘルメットはかなりしっかり作られて、ラチェット部のネジをまわすとかなり固定されます。

  ヘルメットは個人の頭に合わせて調整して使うということになっていますが、日本のヘルメットは頭の形状に上手くフィットせず、使用中前にずれたりして困ることがあります。欧米のラチェット式ヘルメットのオプションのあご紐を装着すると、あごの先端に引っ掛けて固定するため、もうびくともしなくなります。
一方、あご紐がある方が安全なのかという疑問も一部にあります。野球のヘルメットはボールが当たったとき衝撃を吸収するためにあご紐はありません。 ただし、あご紐により墜落したときにヘルメットのお陰で頭部の損傷が軽くなり命が助かった例もあるので、あご紐は有効と考えるべきです。

  インドネシアの現場では、クライエント、日本人職員、ワーカーほとんどの人があご紐を締めていません。よく見るとラチェット式はわずかで、日本と同様のものが多いです。日本人職員は日本から持ってきたものを使用しています。これはヘルメットの機能に合わせて対応しているのではなく、ただ楽な方に流れているだけです。

  ヘルメットは個人用保護具(PPE)です。リスク低減措置の優先順位は、①危険な作業の廃止・変更、②代替措置、③設備的な対策、④管理的措置で、個人用保護具は⑤一番最後です。欧米の考え方はこの優先順位の高い者から対策をとることを徹底するのに対し、日本では相変わらず個人用保護具に頼ることが多いです。したがって個人用保護具に重点をおかれるのだと考えます。やたらとどこでも安全帯着用と言いまくる様子が端的に表しています。本来は安全帯を使わずに安心して作業できる環境を作らなければならないのに...

  ヘルメットの規格は旧労働省告知第66号で定められています。第4条で、飛来・落下による危険を防止するための保護帽は、帽体、装着帯及びあご紐を有し、かつ、次の各号に適合するものでなければならない。
1)装着帯のヘッドバンドは、着用者の頭部に適合するように調節することができること
2)装着帯の環ひもは、環の大きさを調整できないこと
3)帽体と装着帯のヘッドバンドとの間げきは5mm以上であること
また、5条では墜落による危険を防止するための保護帽は、帽体、衝撃吸収ライナー及びあご紐を有し、かつ、リベットその他突起物が帽体の外面から6mm以上突出していないものでなければならないとなっています。

とにかく、日本国内では法令で定められた場所ではヘルメットを正しく被りあご紐を締めなければなりません。

2009年11月13日金曜日

作業用足場

  東南アジアでは、シンガポールを除いて規格品の足場材料が自由に入手できるところは少ないようです。日本製中古の枠組み足場が手に入るのですが、ブレース止めが錆びて取れていたりして安心して使えません。民間の建築では未だに自然の木材や竹などを使っているところを見かけます。
  到底足場とはいえないような設備でも、立派な建物が完成します。(インドネシア)
  民間建築工事では、ヘルメットなし、安全帯なしなんて当たり前のようです。したがって公共性のある工事で足場には手すりを設けろ、ヘルメットをかぶれ、フルボディハーネスを着用しろ、と指示しても、もともと慣れていないのでなかなか徹底できません。(インドネシア)
  竹製の足場もまだ健在です。竹は弾力性があり優れた材料ですが、裸足で登っていく様はかなり原始的です。(ミャンマー)
   ここまで足場を組ませるのは大変です。日本では安衛則が改正され中桟(middle rail)や幅木(toeboard)の取り付けが義務化されましたが、OSHAでは細かく規定されていて後追いをしているようです。発電所や化学プラントの建設現場では当該国の基準ではなくOSHAを採用するところが多く、写真のようにインドネシアの片田舎でも中桟、幅木の取り付けを義務付けられ、普段は竹製の足場を組んでいる足場工(scaffolder)でもなんとか組むことができます。
  日本では「足場の組立等作業主任者」が選任され現場で指導していますが、インドネシアでは国家資格であるscaffolding Inspectorがいて、組立て後の検査を行っています。検査合格の場合は緑色タグ、不合格の場合は赤色タグを取り付け使用禁止にします。
  Scaffollding Inspectorもいい加減なことをすると首になるので、結構真剣にやっています。しかし、肝心の足場計画がしっかりしていないと後追いの管理でしかありません。エンジニアがしっかりと安全も含めた計画を立てなければなりません。ここに問題の本質があるようです。

2009年11月10日火曜日

リスクアセスメントの実効性

リスクアセスメントは大手企業では取り入れられてきているが、まだ普及しているとはいえない。

そして、導入している大手企業でさえ、リスクアセスメントが有効に機能しているか、かなり疑問です。経営の要として品質、環境の次に労働安全衛生マネジメントシステムを導入していますが、マニュアルに記載されているので、外部監査のために体裁を整えて作成しているというケースがほとんどです。
要するに、リスクアセスメントが現場の安全衛生活動に有効に活用されていません。

マネジメントシステムの外部監査員が、現場に監査に来て、ただリスクアセスメントが揃っているかとか、リスク低減措置を策定した後の再リスクアセスメントはあるか、などだけをチェックして、実際にどのように活用され、どのような効果があったのかなど確認しないこと、さらにリスクアセスメントの書式がマニュアルと違うなど、現実的でない指摘をすることにも起因していると思われます。

また、一般的に経営者幹部も品質、環境、労働安全衛生マネジメントシステムに更なる資源を注ぎ込もうとはしません。なぜなら品質マネジメントシステムを導入したとき社員が疲弊したけれど、未だに生産の品質や環境、労働安全衛生が改善されたとはいいがたい。ISOは経営改善のためにあるといわれますが、相変わらずの不良品、環境汚染、災害の多発と改善されず、契約のための最低限必要な項目と考え、外部監査をクリアする以上のことにあまり力を注ぎたがらない。

ISOの失敗が労働安全衛生マネジメントシステムにも影響し、ISOとの違いを説明してもなかなか理解されません。早くもリスクアセスメントの形骸化が始まっています。労働安全衛生はマニュアルやいくら安全書類がしっかり整っていても、最終目的の災害発生が減少しないと意味がありません。形よりも実効性のあるリスクアセスメントが必要です。

建設業では、リスクアセスメントの必要性を理解させ、簡易な方法で効果を上げる方法を模索しなければなりません。

2009年11月6日金曜日

目に見えない電気の怖さ

土木屋は、とにかく電気に弱い。

  私も電気とは? と聞かれて上手く答えることができません。電導体に電位差が生じ中を電子が流れることで、電子の流れと逆向きの流れを電流と呼ぶというところまでは分かるのですが、三相交流などはどのように説明したらよいのやらよく分かりません。
電流は目に見えないところに危険性が存在します。まず、この問題に対処するには、電気が流れる可能性のある箇所には絶対に近づかないようにする「隔離の原則」か、目に見えないものは目に見える形にする「可視化」必要があります。

  東南アジアのある国のでことですが、市内の配電線の近くで鋼矢板を打設する作業がありました。電柱を使って流されている配電線は、日本では最高6,600Vですが、その国では15,000Vでした。配電線は絶縁被覆されているので原則触れても感電することがないはずですが、絶縁被覆の劣化や接続部分の絶縁不良が原因で、1m弱の離隔距離で放電を起こし作業員が被災しました。その国の規定では安全離隔距離は1mと定められていました。日本の電力会社では2mの離隔距離を取ることを指導されます。米国OSHAでは50kV未満は10フィートの離隔距離を取ることを要求しています。電線は完全に絶縁されているとは言い切れず、不測の事態に備えて余分に離隔距離を取ることが正しい考え方です。発展途上国では新品の完全な絶縁状態の条件の数値でしか指導しないケースがあり自己防衛のためにきっちりとリスクを見極めるべきです。

また、その国には工事を行う際に、配電線に保護ケースを施す習慣がありませんでした。保護ケースすらありません。しようがなく鋼矢板を短く切断して離隔距離を確保して作業することになりました。もちろん追加費用はみてもらえません。命には変えられないので泣き寝入り状態でした。

  分電盤やキュービクル、電気機器の停電結線作業では必ず電源を切断するのが原則ですが、誰かが勝手に電源を投入し、結線作業している人が被災するケースがあります。結線作業をするときは、元の電源を切断し、かつ分電盤の鍵をかけ、停電中であることを表示しなければなりません。そして分電盤の鍵は結線作業をする人が持つことで、何も知らない人がうっかり電源を投入することが防げます。いわゆるLOCK OUT・TAG OUTの徹底です。

  最後に、電機機器にはアース(グラウンディング)を取り付けるようになっています。アースを確実に取ることで漏電の被害を小さくすることができます。しかし、そのアースが有効に行われていないのが現実です。それはなぜアースが必要か理解していないからです。発電機のアースも設置方法を判っていないことが多いようです。ボディアース端子と機能アース端子の2カ所から取る必要があります。

電気災害に遭う件数は少ないかもしれませんが、感電した場合、死に至る確立は高いということを肝に銘じておかなければなりません。

2009年11月2日月曜日

フルハーネス型安全帯の普及

安全帯には大きく分けて胴ベルト型安全帯とハーネス型安全帯があります。

日本では胴ベルト型安全帯が広く普及していますが、欧米ではハーネス型安全帯が主流です。さらに欧米では胴ベルト型を禁止している国もあり、シンガポールでも胴ベルト型安全帯の使用を禁止していて、フルハーネス型でないと使用できません。


胴ベルト型安全帯が禁止されている理由は、落下阻止時にかかる身体にかかる負荷が大きすぎるため、内臓を圧迫し重大な傷害を負うことがあります。実験でも数kNの衝撃荷重がかかるそうです。


自動車のシートベルトも当初は腰ベルト方式(2点式)でしたが内臓を圧迫して傷害を受ける危険性が大きいので、今では3点式シートベルトに変更されています。

最近、各地で体験型安全教育設備ができ、その中で胴ベルト型安全帯を装着してぶら下がってみることができるようになっていますが、実際にぶら下がってみると苦しくて長い間ぶら下がっていることができません。静止状態でぶら下がっても苦しいので、墜落したときなど相当な衝撃だと実感します。

人の命を救うための安全帯であれば、無傷で救ってあげなければなりません。

なぜ、フルハーネス型安全帯が普及しないのか、それは安全帯着用の運用方法にも問題があるかもしれません。建築工事現場の外周足場ではどこもかしこも「ここでは安全帯着用」の表示がありますが、ほとんどが安全帯を腰に着けているだけで使用していません。安全帯は個人用保護具でありリスク低減策としては最後の手段です。それを前面に出すため安易に考えてしまっています。

リスク低減の最終手段として使う場合は、安全な足場が確保できないときであり、フルハーネス型安全帯を着用させて作業をさせるべきです。
現場の中で、何が重要か、メリハリがついていないところからくるのだと思います。

危険性を伴う胴ベルト型安全帯には、たばこや酒と同じように「使用方法によっては、あなたを殺すことがあります」と大きく表示すべきです。ただし、二丁掛けフルボディハーネスは、重量が3kgもあり、慣れないと腰が痛くなります。

安全帯に関しては、シンガポールやインドネシアのほうが日本より先進性があると思います。