2009年11月6日金曜日

目に見えない電気の怖さ

土木屋は、とにかく電気に弱い。

  私も電気とは? と聞かれて上手く答えることができません。電導体に電位差が生じ中を電子が流れることで、電子の流れと逆向きの流れを電流と呼ぶというところまでは分かるのですが、三相交流などはどのように説明したらよいのやらよく分かりません。
電流は目に見えないところに危険性が存在します。まず、この問題に対処するには、電気が流れる可能性のある箇所には絶対に近づかないようにする「隔離の原則」か、目に見えないものは目に見える形にする「可視化」必要があります。

  東南アジアのある国のでことですが、市内の配電線の近くで鋼矢板を打設する作業がありました。電柱を使って流されている配電線は、日本では最高6,600Vですが、その国では15,000Vでした。配電線は絶縁被覆されているので原則触れても感電することがないはずですが、絶縁被覆の劣化や接続部分の絶縁不良が原因で、1m弱の離隔距離で放電を起こし作業員が被災しました。その国の規定では安全離隔距離は1mと定められていました。日本の電力会社では2mの離隔距離を取ることを指導されます。米国OSHAでは50kV未満は10フィートの離隔距離を取ることを要求しています。電線は完全に絶縁されているとは言い切れず、不測の事態に備えて余分に離隔距離を取ることが正しい考え方です。発展途上国では新品の完全な絶縁状態の条件の数値でしか指導しないケースがあり自己防衛のためにきっちりとリスクを見極めるべきです。

また、その国には工事を行う際に、配電線に保護ケースを施す習慣がありませんでした。保護ケースすらありません。しようがなく鋼矢板を短く切断して離隔距離を確保して作業することになりました。もちろん追加費用はみてもらえません。命には変えられないので泣き寝入り状態でした。

  分電盤やキュービクル、電気機器の停電結線作業では必ず電源を切断するのが原則ですが、誰かが勝手に電源を投入し、結線作業している人が被災するケースがあります。結線作業をするときは、元の電源を切断し、かつ分電盤の鍵をかけ、停電中であることを表示しなければなりません。そして分電盤の鍵は結線作業をする人が持つことで、何も知らない人がうっかり電源を投入することが防げます。いわゆるLOCK OUT・TAG OUTの徹底です。

  最後に、電機機器にはアース(グラウンディング)を取り付けるようになっています。アースを確実に取ることで漏電の被害を小さくすることができます。しかし、そのアースが有効に行われていないのが現実です。それはなぜアースが必要か理解していないからです。発電機のアースも設置方法を判っていないことが多いようです。ボディアース端子と機能アース端子の2カ所から取る必要があります。

電気災害に遭う件数は少ないかもしれませんが、感電した場合、死に至る確立は高いということを肝に銘じておかなければなりません。

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