2009年2月28日土曜日

土佐は修業の道場

四国霊場第24番札所最御崎寺から第30番札所善楽寺へ

土佐は修業の道場です。高松から室戸までの道のりは遠い。
第24番札所最御崎寺の雰囲気はどことなく違います。
なぞの石、叩くと鐘のような振動がします。未知の世界の入口か? 


室戸は弘法大師が洞窟での厳しい行の末、虚空蔵求聞持法を成就し、悟りをひらいた霊場とされています。

途中、安芸の町は黄色の縦縞の人達でごった返していました。私も本来なら安芸市民球場で観戦しているところなんですが......

第30番札所は、善楽寺よりも土佐神社がすばらしいです。
本来は一つの社寺であったものが明治政府の廃仏毀釈で神社の方が残り、お寺の方は一旦廃寺されたそうですが、今は復活していますが風格がないのがさびしいです。

2009年2月27日金曜日

土木屋は電気が苦手

 電気はよく分らんというのが一般的な建設技術者です。
しかし、建設工事現場で出力10kW以上の可搬式発電機を使用する場合、電気事業法の適用を受けるので、よく分らんではすまされません。

 「電力会社から600Vを超える電圧で受電する設備」や「一定出力以上の発電設備」等は、「自家用電気工作物」として電気事業法の規制を受け、国への手続き等が必要となります。(電気事業法第38条)
 また、自家用電気工作物に係る保安規制として、電気主任技術者の選任、届出が義務付けられています。(電気事業法第43条)

 電気事業法では、電圧5万V未満の事業用電気工作物の工事、維持及び運用の保安の監督を行う者として第三種電気主任技術者となっていますが、電気科を卒業した者以外にとってこの資格は簡単に取れるものではありません。
そこで、移動用発電設備を使用する建設工事現場等又はこれを直接統括する事業場に対し、経済産業省の内規「主任技術者制度の解釈及び運用」(平成17・03・22原院第1号)2-(1)-②-トでは、法に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有する者として、(社)日本内燃力発電設備協会の定める自家用発電設備専門技術者又は可搬形発電設備専門技術者が認められています。(平成17・05・20原院第1号「建設工事現場等における移動用電気工作物の取扱いについて」)
この資格は2日間の講習(6時間)と試験で取れますが、毎年9~10月頃しか実施していません。
(ホームページhttp://www.nega.or.jp/)

 ただし、届出は経済産業省の各産業保安監督部により若干認識が違うようです。
留意点として
1)選任する主任技術者の知識や技能に関する説明書の中でなるべく過去に資格を取得し経験を積んだ人を載せる。
2)事業所の名称及び所在地のところをあまり広い範囲にしない。"2時間以内に到達できる範囲"と言うのを強調される方がいる。
届出は1人でいいようですが、なるべく多くの有資格者を養成しておいた方がいいようです。

 従来は、リース業者と建設業者の両者に電気事業法が運用されていたようですが、平成17年6月「建設工事現場等における移動用電気工作物の取扱い」の改訂により、「設置して使用する者」が手続きを行うこととされています。

 受電設備等は、建設技術者の手に負えるものではないので、電気保安協会と委託契約をせざる得ないでしょう。

2009年2月26日木曜日

海上工事へのAIS導入

船舶自動識別装置(AIS)の搭載が進んでいるそうです。

2008年8月に500t以上の内航船舶の猶予期限が切れました。
500t以上のガット船も対象ということになります。

AISは、各種情報が自動的に発信され、付近の船舶及び陸上の管制レーダーはそれを受信し、レーダーにその情報が画面に映し出される仕組みになっています。
発信される情報は、
船名の他
・航海情報:喫水/ 積載危険物の種類/目的地/目的地到着時間
・動的情報:緯度・経度/位置精度/時刻/対地針路/対地船速/船首方位/回頭角速度/航海ステータス
・靜的情報:MMSI/呼出符号/船名/IMO番号/船体長さ・幅/船舶の種類/アンテナ位置
などがあります。
VHF(156MHz~174MHz)の電波を使用して船舶相互および船・陸上局間で自動的に通信を行うため、レーダでは島影等で見えない船舶でもAISでは画面に表示できるようになります。

ただし、AISの搭載義務はあるが、電波を発信する義務はないらしい。その理由は、発信情報の中に積荷の内容が含まれているため海賊の標的になることを避けることです。また、巡視船や艦船は電波を発信せず受信のみ。潜水艦が位置情報を発信したり、空母が核兵器搭載を発信したら大きな問題になります。

国内では電波を発信しなかったらすぐさま不審船として停船命令が出るのではないでしょうか。

最近は、港湾工事において大型船航行の把握のため作業所にAIS受信システムを設置して、海上衝突の防止に役立てています。また、警戒船もAIS情報により接近する船舶に対し、VHSで注意を促すようにしています。
地盤改良船や大型ケーソン曳航などの場合、AISの搭載義務はありませんが細かな周辺船舶への注意喚起のためAISを場合によっては搭載することを考慮する必要があるでしょう。

2009年2月24日火曜日

災害記憶の風化

 災害が発生したとき、マスコミは寄ってたかって批判し、当該企業やその関係者は事の重大さを胸に刻み込み深く反省しますが、時間と共にそれが薄れてきます。そして何年か経つと過去のものとなって人事のように思う人が多くなります。

この災害の風化を防止するため、現物保存をして安全教育に役立てている施設があります。

航空業界では日本航空が、1985年8月、JAL123便羽田発伊丹行きジャンボ機が御巣鷹山に墜落した航空災害について後部圧力隔壁などの残存機体を展示た「安全啓発センター」を設置しています。この施設は、社員の安全教育を目的としていますが、一般にも公開していて、安全に対して社会に発信しています。

鉄道業界ではJR西日本が、2005年4月、福知山線脱線事故の風化防止と社員の安全教育を目的に「鉄道安全考動館(てつどうあんぜんこうどうかん)」が設置されています。この名前の付け方が印象的で、社員が安全確保について考え、行動を新たにすることが込められていると思います。
 JR西日本が23日、京都市下京区の梅小路蒸気機関車館に隣接して新たな鉄道博物館を整備することを新聞発表しました。梅小路蒸気機関車館には、蒸気機関車が動態保存されており、私も何度か訪れました。このような一般の人が集まるところに「鉄道安全考動館」を移設し、広く公開してもらいたいものです。

阪神淡路大震災の体験を実物大模型で再現し、実際に災害に会われた方が語り部として解説してくださる施設として「人と防災未来センター」が神戸にあります。私もこの施設には行きましたが、日本航空の施設と鉄道安全考動館にはまだ行ったことがありません。ぜひ行ってみたい施設です。

建設業界にもこのような災害を風化させない施設を設置してほしいものです。

2009年2月23日月曜日

労働安全の課題

 労働安全衛生マネジメントシステム(以下OHSMSという)を導入する前に、「今なぜ必要なのか」を理解しないと形だけのものになってします。
そのためには、現在の労働安全衛生の諸問題を分析して見る必要があります。

 現在、わが国の労働災害は減少を続け、死亡災害は1500人を下回るまでになりました。しかし、減少の割合は鈍化しましたが逆に重大災害が増える傾向にあります。

 これまでの安全衛生管理は過去に起こった災害を基にして法律強化が図られ、それを遵守することで安全を確保していこうというものでした。しかし、世の中のしくみが法令が制定されたときから大きく変化し、新しい技術や材料を採用するようになり、新たな災害が起こって法令を制定していたのでは対応出来なくなっています。
 いわゆる法律で対応しようとする従来の後追い型安全管理では社会の変化と技術革新に対応していけないという観点から、企業の自主的管理を主体にする先取り型安全管理にかわりつつあります。

 まず、労働安全における現状の問題点を洗い出し、その改善策としてOHSMSが効果的な方法かどうか検討する必要があります。

1.暗黙知の継承の断絶
 団塊世代の大量退職と企業のリストラの進行で、安全知識の豊富な熟練者の暗黙知(ノウハウ)を若年労働者にうまく継承できない傾向にあります。また、急速に進む人口の減少傾向は、ますます安全管理に熟知した人材の確保が困難です。
 一方で、若者の気質の変化が顕在化しています。その特徴として物事を相対的に見ることができず、マニュアルがあれば状況が変化しているにもかかわらず、元のマニュアルに固執し、臨機応変に現実に対処できない者が見受けられます。
いわゆる幼児性といわれるもので、自分の狭い世界での経験が世界の全てだと思い込み、物事を相対的に見ることができず、自分が見ているものだけに執着する。したがって何か現場で不具合があっても、それを今まで蓄積してきた経験と知識で解決していく能力が低く応用が利きません。
また、このような気質の人間は組織の中でコミュニケーションがうまく取れず、知識の伝承もうまくいきません。

2.安全文化が未醸成 
 まだ、大企業でも安全文化が育っていないところが多いようです。
どこの現場でも「安全第一」や「安全はすべてに優先する」というスローガンを掲げていますが、実質的には作業効率や利益を優先するケースが多く、安全第一が建前になっているのではないでしょうか。本質安全を追求すると確かに余分な費用がかかるので、金のかからない方法を優先されるのは分かります。しかし、重大災害が発生すればもう企業として存続できない時代なのです。
また、外資ファンドが企業の経営権を握り、米国流の株主を優先する経営手法が日本の経済に影響を与え、即効効果のない間接部門に費用をかけるよりも、直ぐに利益が出る部門に力を入れるようになります。しだいに安全が建前になり経営者の安全意識は低いものになります。
 第二に、経営者や技術者の倫理観の欠如があげられます。最近、マンションの耐震設計の偽装、ゼネコンによる労災かくし、電力会社の安全にかかわる重要事項の隠蔽、食品会社による使用材料や賞味期限の偽装等、国民の安全にかかわる不祥事が多発しています。安全第一であるべき企業や技術者が平気で偽装や隠蔽工作をするようになっています。最初は小さな逸脱行為であったものが、これぐらいなら大丈夫という感覚が次第に増幅していったのでしょう。
 バブル経済崩壊後、社会全体で安全に対する意識が低くなったように思われます。倫理観を持たない者が会社を経営することが根本的に間違っています。

3.人と組織のかかわりに問題が潜在化
 労働環境への影響が労働者の心の病となって現れてきています。社会の仕組そのものが、このような病気を生む要因になってきていますが、それを法律でカバーするには無理があります。
 就労人口の減少や、経済のグローバル化による市場原理主義的な極端な低価格競争は、組織の縮小や人員削減を進めて作業効率や労働生産性の向上を追及し、その結果、一人当たりの労働負荷が増大しています。現実に、元請職員が書類作成のため事務所でパソコンに向かっている時間が多く、現場に出る時間が少なくなっています。当然、職員は長時間労働に陥り、組織はギクシャクとしたものになり、精神的なストレスから精神疾患を発症する者が増えているのです。
 なんら規制が無い市場原理主義では、人間も単なる知能を備えた機械であり消耗品として扱われるようになります。そしてその企業もいずれは消滅していく。明治時代の労働者とは違った形で、現代では精神面での人間性の軽視が見受けられます。

4.高齢化による労働災害の増加
 雇用労働者全体のうち50歳以上の高齢労働者の占める割合は、平成17年には3人に1人の割合になっています。この結果、50歳以上の高齢労働者が休業4日以上の死傷者全体に占める割合は、42.8%になっています。今後、高齢化の進展が労働災害のさらなる増加に転ずることも考慮しなければなりません。

5.後追いの安全での現状との乖離
 これまでは、大きな災害が起きるたびに法令が改正され、法令を守ることによって安全を確保する方法がとられてきました。しかし、このような方法では社会の急激な変化に追随できなくなっています。
主なものとして
1)コンピュータを屈指した機械の使用、バイオテクノロジーやナノテクノロジーなど新たな技術の導入による技術革新が進むが、技術革新のスピードに対して安全対策が法令で対応できません。
2)労働安全衛生法は、建設業や製造業など第二次産業を主体に構成されています。しかし、現在では第三次産業の割合が増加し、産業構造の変化にうまく対応できない面があります。
3)建設業では、請負形態の重層下請構造が進み、法でいう100人以上の労働者を使用する現場はもはや国内にはありません。直接労働者を雇用していた時代の内容で、これからは店社と作業所を一つの事業場として安全管理体制を考ないといけません。
4)派遣労働者など非正規従業員の増加で雇用形態が変化しています。また、非正規労働者の変形として建築業では一人親方が増加しています。請負単価の値下げ要求により下請会社が社員を抱えることができなくなり、雇用保険の費用を削減して労働者に給与相当を手間請けで支払っていることもあります。労働者の所得格差が拡大し、労働意欲の低下、労働の質の低下を招いています。このような状況では安全管理の質の向上は望めません。

 これらの問題の解決方法として、従来の法令順守の手法とともに企業の自主的な安全水準の向上の手法であるOHSMSの導入が進められています。
 ただ、導入しただけでは解決になりません。問題点を理解したうえで、システム導入に工夫子凝らすことが重要でしょう。

2009年2月22日日曜日

最初の遍路ころがし

四国霊場第12番札所焼山寺から第23番札所薬王寺へ

これまでのなかで最も高い山にある第13番札所焼山寺からスタートしました。

弘法大師が修行した頃の道がそのまま残っています。

でも、時間のないサラリーマンの身であるためやむなく車でいくことにしました。しかしお遍路マップではなく道路マップを頼りに近い道を選択したため、車でも大変な行程になってしまいました。焼山寺に着いたとき、妻は車酔いでもうへとへとの状態で、これを歩くなんて考えられない世界でした。

お寺に着くと仁王様の力強い姿に気持ちを締めなおしました。






第23番札所薬王寺までの間、鶴林寺、大龍寺と山の上にあるお寺がさらに二つあり大きな修行のつもりで般若心経を読経しまし
た。


歩き遍路は赤い札を目印に歩きます。













四国のお寺は、歴史があるのですが少々荒れたところもあり、貴重な文化財が眠っているかもしれません。










弘法大師も遠くに見える海を見て心を落着けたのでしょう。

2009年2月21日土曜日

エラーチェーンとSHELモデル

昨今、建設業ではリスクアセスメントを前面に出して安全管理を推進するところが多いようです。

確かにこれまでの後追い型安全管理から、先取り型の予防安全に方向転換する効果的な方法です。
しかし、リスクアセスメントではヒューマンエラーに関することをうまくフォローすることができにくいように感じます。これからの安全管理はリスクアセスメントとヒューマンエラー対策及び従来型の法令順守を両立させる方法が必要ではないでしょうか。

今までのヒューマンエラー対策の指導書は、錯覚や近道行為などの事象ばかり説明されていましたが、原因を背後要因まで掘り下げ対策を立てることが少なかったような気がします。

ヒューマンエラー対策で最も進んでいるのが航空業界です。ヒヤリ・ハットや不具合事象、事故などが起こった場合報告をしてそのデータを業界で共有する仕組みができているそうです。また、国際ルールでヒヤリ・ハット報告者に対して人事評価の対象としてはならないと言う決まりも明確になっています。

航空業界で採用しているヒューマンエラーの分析と再発防止対策の手法として、「エラーチェーン」と「SHELモデル」による分析があります。
詳しい内容を知りたい方は、ANAラーニング㈱(全日空の子会社)が主催する「ヒューマンエラー対策セミナー」を受講してください。

ANAラーニングのホームページ
http://www.analearning.com/

2009年2月18日水曜日

率先垂範

現場で「声掛け運動」を広めよう! という運動を取り入れている所は多いです。
しかし、掛け声だけでなかなか浸透しているようには見えません。
その原因は、元請職員が指示するだけで自らが実践していないから誰も後に続かないからではないでしょうか。

東レで岐阜工場長、滋賀事業場長をされた丹羽三千雄さんが書かれている「安全の鐘高らかに -背中に学ぶ現場の管理」(中央労働災害防止協会)が参考になります。
“トップが情熱を持って物事に当たれば部下も上司の背中を見てついてくる。トップに熱意がなければ、いくらいいことを言っても誰も動かない。”
まさにその通りで、いくら安全第一と言っても、トップが行動に示さなければ掛け声倒れに終わってしまいます。

先日、安全診断に行ったある製造業では、この本に出てくるベルパトロールを実践されていました。トップが率先垂範して安全活動をされていました。

建設業は表向き「安全をすべてに優先する」ですが、きびしい経済環境において本音は「儲け優先」の意識が残っていて、災害がなかなか減りません。
安全施工サイクルを効果的に実践する時はトップによる率先垂範が必須でしょう。

2009年2月17日火曜日

SDSはリスクアセスメントの資料

SDSについて、まだ建設現場ではよく知られていません。

SDSとは、(Material) Safety Data Sheets(化学物質等安全データシート)のことで、労働者に危険もしくは健康障害を発生させる恐れのある化学物質等を譲渡するとき、提供者は譲渡・提供先に対してSDSの交付が義務付けられ、現場でも取り扱う作業場の見易い場所への常時掲示、備え置きなどにより労働者に周知しなければならないとされています。(安衛法101条、則98条の2、PRTR法14条)

建設現場でも、SDS対象物が以外と多いです。
塗料、剥離剤、ウレタンフォーム中の有機溶剤、接着剤、クリーニング工事の酸洗い材料など
建築現場には、MSDS対象物があちらこちらにゴロゴロしています。缶にもSDSの表示と、危険性について説明書きがあります。知らぬは元請職員だけというお寒い状態です。
とにかく缶のそばに「SDS」の表示が必要でしょう。

これまでは熟練した職長がいて、細かい指導を作業員にしていたが、熟練者がだんだんいなくなり、今までは常識と考えられていたことがそうではなくなるような事態が発生しています。
塗料が目に入って労災なんてことも、おかしくない状態です。

SDSは、リスクアセスメントの重要な資料にもなります。一度MSDSに書かれている有害性(毒性)について再度確認してリスク評価してみる必要があるでしょう。

2009年2月16日月曜日

送り出し教育の必要性

「送り出し教育」の必要性についてなかなか理解が得られないようです。

東京や大阪など仕事が多い場所で、大きなゼネコンに鍛えられている協力業者ならいいけど、地方では自社で教育をできるような建設業者はきわめて少ない。資料を渡して安全教育を行ってから職人を出してくれと言っても、教育をやりましたという書類を元請会社に渡すだけで実際は教育を行っていないことが多いです。形だけで、こんなことをしても意味がないという意見が聞こえてきます。

実態としては、そうかもしれません。しかし、その力量を上げるように指導するのが、我々元請会社の役目であることを忘れてはなりません。
まず、労働安全衛生法に示されている事業者の責任をちゃんと理解してもらうことが必要でしょう。
「送り出し教育」は、新しく乗り込む現場の状況を送り出す前に把握し、「新規入場者教育」の前に労働者に教育を実施する事業者の重要な責務であることを認識してもらうことが重要です。

法的な解釈は、はっきりと書かれているわけではありません。
労働安全衛生法第59条(安全衛生教育)に、事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し安全衛生のための教育を行わなければならないとされています。いわゆる「雇い入れ時の教育」です。
そして、第2項に労働者の作業内容を変更したときについて準用するというのがありますが、就労場所が変わる際、事業者により教育を行うこということの一つの方法と考えます。
今まで、元請が新規入場時に行っていた教育の一部を、本来やるべき事業者が行うということです。

労働安全衛生法30条(特定元方事業者の講ずべき措置)の四に、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこととなっており、協力会社に対して安全管理方針、環境管理方針などを文書で伝える機会になります。「送り出し教育」の資料を協力会社に渡すことがこれに当ります。

「送り出し教育」は、元請の方針を協力会社にキッチリ伝え、事業者としての責任を理解してもらう重要な機会だと考えています。現実とのギャップをどう埋めるかが今後の課題でしょう。

まずは実行に移すことしかありません。

2009年2月15日日曜日

四国霊場参拝の作法

四国霊場第1番札所霊山寺から第11番札所藤井寺へ

やっと四国霊場八十八ケ所の第一番札所霊山寺(りょうぜんじ)からスタートすることができた。
さすが、第一番札所は人でごった返している。
第一番札所では、お参りの作法について先達が初めての人達に説明をされていた。

参拝の作法は、以外と知らないことが多いので下記にあげます。

1.山門で一礼する
2.手水場(ちょうずば)で手と口を清める
  参拝の前に身を清める。
3.鐘をつく
  参拝後につくのは縁起が良くない。もしついてしまったら最初から参拝をやり直す。今まで、参拝を終えて鐘をついていました。 
  場所によっては、鐘をついてはいけない所もあるので注意してください。
4.本堂にむかう
5.ろうそくと線香をあげる
  ほかのろうそくや線香からもらい火をせずに、種火や自分のライターでつける。
6.鰐口(わにくち)を鳴らす
  仏さまに来意を告げるためのものです。
7.納め札と写経を納める
  写経は読経することによって納め札に替えることが多いです。納め札は事前に購入して名前と住所を書き入れておきます。
8.賽銭をあげる
9.読経する
  正式な読経には細かい決まりがありますが、般若心経だけ唱える人が多いようです。
  ここで無事故無災害を心に誓います。

10.大師堂でも同様に繰り返します
11.納経所で納経帳に朱印をいただく(300円納める)
  ご本尊の「御影」をいただく。
12.山門出るときも一礼する


第十番切幡寺(きりはたじ)の多宝塔のところまで登ると遠くに吉野川が見えてくる。第十一番藤井寺の山門の手前の梅の花が印象的であった。

すべて弘法大師さまと一緒に行うのです。同行二人(どうぎょうににん)。

2009年2月12日木曜日

海守の紹介

先日、高知県室戸市室戸岬町の椎名漁港内の堤防で、覚せい剤計約120キロが入ったキャリーバッグが発見され、沖合いを航行していた中国船が取調べを受けています。

不審船による麻薬・覚せい剤・武器の取引や、工作員による拉致事件など海からの脅威は至る所に存在しています

わが国の沿岸域は総勢1万2千人の海上保安部が警備にあたっていますが、海岸線延長が3万4千Kmに達しとてもすべてをカバーできません今回の覚せい剤取引でも民間人の通報によりうまく海上保安部にバトンタッチすることができました。

そこで、注目されるのが、「海守」の組織です。
海守は、海を見守る情報ネットワークとして、海守会員の日常生活および社会活動を通じ、海上における不審な事象や海洋汚染についての監視や、海岸の保全などを支援するなど、国民生活の安全確保と海洋環境の保全を目的に、社会に貢献する活動を推進する、(活動規 約第1条)となっています。

活動資金は日本財団から出ていますが、海上保安部、海上保安協会と連携した会費無料のボランティア組織です。おもに流出油の処理の講習や海岸清掃、植樹などの活動をおこなっています。

海洋環境の保全に興味をお持ちの方は、いちど海守のホームページをのぞいて見てください。
http://www.umimori.jp/pc/index.html

2009年2月11日水曜日

新型インフルエンザ対策で海外駐在員家族の帰国

新聞記事にパナソニックが駐在員家族に帰国指示を出したことが報じられています。

理由は、新型インフルエンザパンデミック(大流行)に備えたものであるらしい。対象地域は中国をはじめとするアジア、中東、アフリカ、中南米、ロシアなどとしている。医療設備が整っている北米、欧州、シンガポール、豪州は除くらしい。

関西ではパナソニックは海外に駐在委員が多く、独自情報で新型インフルエンザの情報を掴んだのだろうかと噂が飛び交っています。

WHOホームページの情報では


現在の警戒レベルは、6段階中3となっているが、20世紀最後のパンデミック以来、最も危険な状態であるらしい。

警戒するに越したことはないが、情報は隠さずに公開してもらいたいものです。

2009年2月10日火曜日

KY活動

労働安全の世界では、KYといえば危険予知のことというのが常識です。

近頃はいろんな意味の略語として使われています。
KYKを「とんかつ屋」というぐらいはまだ分かります。
しかし少し前は、若者や政治家の間でKYを「空気読めない」という意味で使われました。同じKYでもまだまだ違う意味があります。

 KY :急な呼び出し
 KY :今年もよろしく
なんてのもあります。

これから、安全教育でKYと言っても、新人類には我々の意味が伝わらないかもしれません。
この傾向は多分ケータイの普及が影響しています。新人類が通信費を節約するために文章を限りなく省略して意味を伝えたことに関係があるのでしょう。

新人類が使う省略語を指して変な日本語と批判しても、我々も危険予知を略してKYと称している。あまり大差がないかもしれません。

あまり略すと何が何だか訳が分からなくなってしまいます。
「あけおめ、ことよろ」(あけましておめでとうございます。今年もよろしくおねがいします)なんて行き過ぎですね。
自分では意識して省略語や変な略語発音をしないように努めています。
 マクド :マクドナルド
 ミスド :ミスタードーナッツ
 センチュウ :千里中央
 アナ :ANA(エーエヌエー/全日空)
 イソ :ISO(アイエスオー)

究極の凄い表現を見つけました。古典のKY語化である。
 春はAB(あけぼの)
 夏はY(よる)
 空きはYG(夕暮れ)
 冬はTM(つとめて)
試験勉強の暗記方法としては良いかもしれませんが、私はちょっとついていけません。

いくらなんでもKYで「危険を読めない」になってはいけません。

危険予知活動の教育の始めにこんな話しをしてはいかがでしょうか。

2009年2月8日日曜日

水中溶接は直流電源が有利

水中溶接はなぜ直流電源か
 
 人が電撃を感覚する最小の電流を感知電流といい、その値は交流で0.5mA、直流で2mAといわれます。電流の値をさらに大きくしていくと、その電流値では直接生命の危険はないが、通電経路の筋肉の痙攣が激しくなり、神経が麻痺して運動の自由が利かなくなる。このような運動の自由が利かなくなる限界の電流値を不随電流といい、逆に運動の自由を失わない最大限度の電流値を離脱電流といいます。

まず,電撃に対しては離脱電流が目安となる。離脱電流以上の電流が流れると,水中での呼吸に問題が生じるため,手が自由に動かせなくなるという物理的な問題と心理的な要因が重なって危機的な状況に陥りやすい.
 <人体(女性)の離脱電流>
 直流   :50mA
 交流60Hz :10.5mA

 そして、直流における心室細動電流は、60Hzの交流よりもおよそ4~5倍になっており、交流のほうが直流に比較してはるかに危険です。
羊について、一方の前足から他の後ろ足に3秒間通電した結果(人では実験ができない)
 <心室細動電流>  
 直流   :1300mA
 交流60Hz :250mA
 ※心室細動電流:心室が細動を起こすような電流をいい、正常な脈動が打てなくなって血液の循環に支障が生じ、それが持続すると死亡する。

 したがって、水中溶接では、直流溶接機を用いるほうが交流より危険性が低い。

参考ホームページ
http://www.mre.aist.go.jp/db-uwt1/DUCK/full/uwc2233.html

2009年2月7日土曜日

今、日本海が危ない

今から2万年前の地球は最後の氷河期の末期にあたり、海水面は現在より130~140mほど低かった。その後徐々に気温が上昇し、7千年前~9千年前の縄文時代早期に急激な気温上昇に伴う海水面の上昇が起こり、現在の海水面に近づいた。いわゆる縄文海進である。
現在、工業化の進展で二酸化炭素などの排出量の増加により、かつて地球が経験したことのないスピードで地球温暖化が進展している。その結果、北極海の氷やグリーンランドや南極の氷床の融解が始まり、100年後には海水面が13~94mm上昇すると予測されている。(東北大学第1回環境フォーラムより)

海水面の上昇は各地の気候に大きな変化が生じる。洪水、砂漠化、巨大台風、凍土の融解など人間の生活空間が縮小し、利害の衝突による民族間の紛争がますます激しくなることが考えられる。

いっぽう地球温暖化で恩恵を預かる人達が生まれている。北極海の氷か解けることにより、採掘が可能になってきた北極海やバレンツ海の海底油田と天然ガス田である。すでに原油の輸出量はロシアが世界第2位、ノルウェーが第5位、天然ガスはロシアが世界第1位、ノルウェーが第3位になるまでになった。その天然ガスがスエズ運河を通って東京ガスに供給されている。
また、将来極東から欧州へのコンテナ輸送が北極海経由になることが予想され、韓国サムソン重工業で大型砕氷コンテナ船の建造が進められている。

このような状況において、氷山とタンカーの衝突事故の発生も予想され、原油が北極海を汚染するリスクが高くなっている。かつてナホトカ号が座礁して日本海沿岸が油で汚染し深刻な影響を与えた。その当時私は京都府舞鶴で発電所の放水口工事に携わっていたが、急遽海岸に流れ着 いたオイルボールの回収に走り回った。多くの人がボランティアに駆けつけ必死で回収活動をしたが、その記憶も忘れ去れそうな感じである。

しかし、現在あの恐怖が日本海でいつ起きてもおかしくない状況だという。
ロシアサハリン州で原油の出荷が始まり大型タンカーで日本海を通って中国へ運ばれている。そのタンカーがソーラス条約締結国同士では入港できないような安全基準を満たさないロシアの老朽船らしい。(日本の石油元売り各社もスポットで輸入を始めている) ロシアは老朽原子力船を日本海に投棄するし、日本にとって中国以上に環境負荷の脅威国である。
先日、海守の「流出油災害ボランティア基礎講習会」に参加した。油処理の基本からの勉強である。その中で改めて自分の理解不足がわかった。

油処理剤は中和剤ではなく分散剤であり、油を細かくして分散させ、バクテリアや光により二酸化炭素と水に分解しやすくすることです。
現場でよく見かけるママレモンの散布は分散効果がまったくないばかりでなく毒性がきわめて高い。

今後、大きな海洋汚染を起こしてもらいたくないし、エネルギー消費量を極力押える社会を築いていかなければならないのが明白であるが、社会で合意しながら成長を続けていくのはかなり難しい話しである。

2009年2月6日金曜日

安全パトロール慣れ

安全パトロールのマンネリを感じることはありませんか?

 いつも同じ安全担当者が現場の安全パトロールを行うと、長い時間を経るうちにどうしてもマンネリに陥っているように感じることがあります。同じ現場を何回も見ているうちに異常なことに目が慣れて、現場の人と同じように異常を異常と感じなくなってしまう。

 危険感受性の鈍化でしょうか。ヒューマンファクターでいう「危険軽視・慣れ」に相当するかもしれません。また、同じ視点で、同じ手法で毎回やっていると我々安全担当者のレベルや危険感受性も落ちて行く気がします。
また、パトロールを受けるほうもパトロール慣れしてしまい、緊張感を持って対応できなくなります。

 それを少なくするために経営幹部や他部署の部課長を動員していろんな目でチェックを行うのですが、経費削減のあおりで要員を削減されどこも手一杯でなかなか動員できなくなりつつあるのが現状です。

 そこで、一つの方法として隣接支店との相互パトロールや同業他社との相互パトロールがあります。
近隣支店の安全担当者との相互パトロールは、新鮮な目で現場を見るためマンネリ打破に効果があります。同業他社とのパトロールは災防団体や建設業団体活等を通して行う方法があり、他者の現場を見ることはパトロールをするものにとっても刺激になります。

 安全パトロールではする側も受ける側も、何か刺激になる仕掛けを考える必要があります。
とにかく地道に熱意を持ってやっていくしかないでしょう。

2009年2月5日木曜日

定期自主検査はだれが行うのか

定期自主検査はだれが行うのか

<法律では>
・定期自主検査は法45条に「事業者は、ボイラーその他機械で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行い、及びその結果を記録しなければならない。」とあります。
検査実施者については、
 始業点検、月例点検、定期自主検査等については、点検者、検査者について資格は明記していません。

<特に定める特定自主検査では>
 特定自主検査については、資格の規定があります。(則169条の2)

<クレーンでは>
クレーンについては、ちょとややこしくクレーンの性能検査というのが別途あります。
 性能検査実施者は、労働基準監督署又は性能検査機関(クレーン協会)となります。
 性能検査申請書を提出します。
 クレーンの定期自主検査では、荷重試験が必要であるため専門の者が実施することになります。

<作業船では>
作業船の自主検査については、「作業船自主検査判定要領」(運輸省港湾局監修)昭和58年7月 (社)日本作業船協会発行があります。
上記書籍は、判定要領と自主検査指針からなっています。
古いですが改定はされていません。
ただし、労働安全衛生法、クレーン則等に該当しない部分ついて書かれています。

<船舶では>
労働安全衛生法の規定ではなく、船舶安全法の規定により行います。
定期的に現状検査、強度、効力確認検査等を実施しています。
定期検査、中間検査、臨時検査等については船舶所有者が行います。なお、定期検査は初めて船舶を航行させるとき、又は船舶検査証書の有効期間が終了したときに受ける検査で、中間検査は定期検査と定期検査との間(3年)に受ける検査となっています。

2009年2月1日日曜日

無事故無災害を写経に込める

四国霊場第84番札所屋島寺から第88番札所大窪寺へ

第88番札所なので結願(けちがん)したと思われますが、75番札所善通寺からスタートしたので、まだ始めたばかりです。

本当はそれぞれのお寺で写経を納めるのですが、簡略化して本堂と太子堂で般若心経を読経し納め札を納めて納経したことにします。読経のたびに無事故無災害を仏様にお願いしていますが、仏様が無事故無災害を叶えてくれるわけではありません。
年度の区切りや新しい計画をスタートするときはいつも写経をして、決意を新たにするようにしています。写経用紙には般若心経の最後に心願成就等を書けるようになっている。そこに「無事故無災害達成」を書くことにしています。
ようは自分の気持ちをしっかりとして安全管理を遂行するという意思を確かにすることです。

今日はお一日(おついたち)と日曜日が重なり大勢の人がお参りに来ていた。関西では毎月1日に神社やお寺にお参りにいく習慣がある。ダラダラとした毎日にこのような区切りがあると気持ちがリセットされてやる気を新たにすることができる。

安全管理とお寺参り、それはこれまでの行動を反省し新たな目標に向ってスタートをするうえで非常に良い機械です。労働安全衛生マネジメントシステムと何か繋がりそうです。


第88番札所大窪時では打込みうどんが評判です。大根、人参、ごぼう、小芋、豚肉が煮込まれたさぬき白味噌のだしの中に打ち立てのうどんをまわりの粉を落としてそのままぶっこみ、煮込んで食べる。寒い時に食べると体が温まる。結願で食べると達成感に満たされたような味だと思います。