2009年2月7日土曜日

今、日本海が危ない

今から2万年前の地球は最後の氷河期の末期にあたり、海水面は現在より130~140mほど低かった。その後徐々に気温が上昇し、7千年前~9千年前の縄文時代早期に急激な気温上昇に伴う海水面の上昇が起こり、現在の海水面に近づいた。いわゆる縄文海進である。
現在、工業化の進展で二酸化炭素などの排出量の増加により、かつて地球が経験したことのないスピードで地球温暖化が進展している。その結果、北極海の氷やグリーンランドや南極の氷床の融解が始まり、100年後には海水面が13~94mm上昇すると予測されている。(東北大学第1回環境フォーラムより)

海水面の上昇は各地の気候に大きな変化が生じる。洪水、砂漠化、巨大台風、凍土の融解など人間の生活空間が縮小し、利害の衝突による民族間の紛争がますます激しくなることが考えられる。

いっぽう地球温暖化で恩恵を預かる人達が生まれている。北極海の氷か解けることにより、採掘が可能になってきた北極海やバレンツ海の海底油田と天然ガス田である。すでに原油の輸出量はロシアが世界第2位、ノルウェーが第5位、天然ガスはロシアが世界第1位、ノルウェーが第3位になるまでになった。その天然ガスがスエズ運河を通って東京ガスに供給されている。
また、将来極東から欧州へのコンテナ輸送が北極海経由になることが予想され、韓国サムソン重工業で大型砕氷コンテナ船の建造が進められている。

このような状況において、氷山とタンカーの衝突事故の発生も予想され、原油が北極海を汚染するリスクが高くなっている。かつてナホトカ号が座礁して日本海沿岸が油で汚染し深刻な影響を与えた。その当時私は京都府舞鶴で発電所の放水口工事に携わっていたが、急遽海岸に流れ着 いたオイルボールの回収に走り回った。多くの人がボランティアに駆けつけ必死で回収活動をしたが、その記憶も忘れ去れそうな感じである。

しかし、現在あの恐怖が日本海でいつ起きてもおかしくない状況だという。
ロシアサハリン州で原油の出荷が始まり大型タンカーで日本海を通って中国へ運ばれている。そのタンカーがソーラス条約締結国同士では入港できないような安全基準を満たさないロシアの老朽船らしい。(日本の石油元売り各社もスポットで輸入を始めている) ロシアは老朽原子力船を日本海に投棄するし、日本にとって中国以上に環境負荷の脅威国である。
先日、海守の「流出油災害ボランティア基礎講習会」に参加した。油処理の基本からの勉強である。その中で改めて自分の理解不足がわかった。

油処理剤は中和剤ではなく分散剤であり、油を細かくして分散させ、バクテリアや光により二酸化炭素と水に分解しやすくすることです。
現場でよく見かけるママレモンの散布は分散効果がまったくないばかりでなく毒性がきわめて高い。

今後、大きな海洋汚染を起こしてもらいたくないし、エネルギー消費量を極力押える社会を築いていかなければならないのが明白であるが、社会で合意しながら成長を続けていくのはかなり難しい話しである。

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