2014年7月19日土曜日

安全知識と安全文化のギャップ


先日、インドネシアで現地の政府機関の職員に対し、安全教育を行ってきました。
内容は、リスクアセスメント、個人用保護具、クレーン・玉掛作業、電気作業、海上作業で、私が英語で説明し、通訳がインドネシア語に直すという形で実施しました。

リスクアセスメントの講義中に危険減の特定の演習をグループ討議形式で行いましたが、各人の危険減に対する知識はかなり高いレベルでした。また最後に実施した理解度確認試験の結果も比較的高く、日本の建設会社の職員とほぼ遜色ないレベルでした。しかし、現場ではその知識が活かされず、不安全行動や不安全状態が多発していて災害も数多く発生しており、トップマネジメントからも現場では安全に対して全くと言っていいほど意識が低いということを聞きました。

最低限の安全の知識がありながら、それを活かそうとしない。結果、組織全体、さらには国全体で安全意識が低い状態になっているようです。人間は、周りの環境にすぐに染まってしまう傾向にあり、安全知識があっても、周りがしないからやる必要がない、今までやっていないから今更する必要がないとなってしまうのではないでしょうか。

これは、安全文化が醸成されていないということに起因していると言えます。安全文化は、組織の文化であり個人の能力だけでは解決できません。作業グループ単位や組織の安全文化を醸成する必要があります。方法としては、地道な方法しかなくマネジメントシステムを代表とする欧米のトップダウン型安全管理と危険予知活(KYK)、指差呼称、5S活動などの日本のボトムアップ型安全管理の両方の一部をうまく取り入れること、トップと労働者とのコミュニケーションを密にして安全を優先させる雰囲気を作っていくことです。

これは、インドネシアでの例ですが、安全知識と安全文化のギャップは日本でも存在するのではないでしょうか。