2011年8月31日水曜日

「防災の日」を迎えて

9月1日は、「防災の日」。

近頃、横浜の大手自動車メーカー系のショッピングモールに行くと、あるスーパーマーケットでは商魂逞しく防災用品がレジ付近に山積みされている。おなじみの手動発電式のラジオ・懐中電灯、乾パン、缶詰、カロリーメイト、水など。しかし、せっかくの「防災の日」を迎えるにあたって、買物中に火事や地震、大雨になったときにどのように対処すればよいか、ということぐらいスーパーマーケットが買い物客に分かりやすく資料を掲示してはどうかと思うが、このスーパーマーケットは物を売ることしか考えていない。

関東大震災の9月1日、阪神大震災の1月17日、東日本大震災の3月11日と大震災が続き、「防災の日」もインパクトが分散してきたように感じる。

我家の防災対策は、防災用品を2つのザック(20リットル)に入れ玄関に置いている。中身はレインウエア(山用)、皮手袋、マスク(N95)、単三電池、懐中電灯、ミニクッカー、マグカップ、SOYJOY、缶入りソフトパン、リッツ、水(1500ミリリットル)、胃腸薬、バンドエイド、筆記用具、下着上下など。また、すぐ横にはヘルメットと保護メガネも置いている。
一方、電気やガスが止まった場合に備えて、LED懐中電灯や登山用ストーブおよび単三・単二充電式電池(SANYO ENELOOP)を確保している。飲料水は別途1リットルのペットボトル(サントリーの南アルプスの天然水)を6本、米はご飯パック(サトウ)、レトルトカレー(ハウス)の保管している。したがって材料さえあれば料理は何でも作れる状態である。
トイレの水は鶴見川に汲みに行くしかないだろう。またベッドの周りには落ちてくるものは何もないようにしている。

我が家で防災用品が必要になる災害の想定として、マンションの火災、地震によるマンションの倒壊、大雨で鶴見川が氾濫によるかまたは内水氾濫、近くの送電線の倒壊、航空機がマンションに墜落する、テロによる横浜市内の放射能汚染または最近汚染などが考えられる。しかし、火災以外はどれも可能性が非常に低い。通常の地震や台風の場合、近くの学校等の避難所に行くよりマンションにいるのが一番安全である。ただ、避難所に行かないと救援物資を受け取れないことが予想される。

今回の大震災では帰宅困難の問題が発生した。会社にいる場合はそのまま朝まで待機していれば問題ないが、外出先にいる場合身動きできず、帰宅困難者を保護する場所が少ないことが明らかになった。最悪の場合、歩いて帰ることも視野に要れ、帰宅ルートをよく覚えておく必要がある。家庭や会社ではいろいろと備えをできるが、外出先での対応をもう少し真剣に勉強しておく必要がある。

普段は鞄の中には電池式携帯電話充電器、LEDライト(自転車用)、ウェトティッシュ、スーパー袋、傘等を入れている。地震のとき街中ではガラス片や看板が落ちてくる可能性があるので、ビルからすぐに離れる必要がある。一番怖いのは超高層ビルの火災と地下鉄や地下街の浸水であろう。常に何処に逃げればいいか考えながら歩かなければならない。

常にリスクマネジメントである。

2011年8月24日水曜日

登山中の熱中症対策

今年の夏はとにかく暑かった。登山中も汗が止まらず、タオルがびっしょり濡れる状態であった。
7月末に高尾山から景信山まで歩こうとしたが、余りの暑さに城山で断念。かつての六甲山縦走の訓練として夏に須磨から縦走して摩耶山を登る予定であったが、余りの暑さに途中で断念したことを思い出した。

我が大学のワンダーフォゲル部でも熱中症で倒れる部員が出た。もう38年も前になる話だが、6月に新人錬成合宿を恵那山で行なった。その当時は、登山中は水を飲んでは行けないということで、自分の担いでいる水を勝手に飲むことが許されない。今では考えられないことであるが、水を飲むとばてるか羅飲んでは行けない、究極の状態を経験しておかないとアルプスを縦走できない、アルプスでは水が手に入らないので水は貴重品であるなど、いろんな理由を先輩から教え込まれ、そのことが正しいことのように思っていた。しかし、とうとう犠牲者が出た。まだ恵那山の中腹であったので、山の木を切って自分たちの上着を木に通して即席担架を作り、4人で担いで林道まで降ろした。すぐに病院に搬送し点滴を行なったが、後遺症として肝機能障害が残った。
私が卒業した年の新人錬成合宿は、伊吹北尾根で行なわれたが、とうとう死者を出してしまった。またも熱中症であった。

登山は、非常にハードなスポーツであり、熱中症は夏ばかりでなく春や秋にも発生する。今では、登山中はこま目に水分補給をとるようにしている。一番気をつけていることは、登山のペース配分である。メンバーやパーティーによって違うが、50分歩いて10分休憩、また急な上り坂が続き水平な道になると超ゆっくりのペースに落として歩きながら休憩をとるようにしている。

水分補給は、最近いろんなスポーツドリンクが発売されているが、大塚製薬のエネルゲンを愛飲している。厚生労働省の基準では、100ml中ナトリウムが40mg以上含まれることとなっていて、エネルゲンは52mg含まれている。しかし、いつも薄めに溶いていたので、今度からメーカーの指示通りの濃さに戻そうと考えている。

基本は体調が良くないときは決して無理をしない、前の日は深酒をせず睡眠を十分取るということでしょうか。
熱中症の医学的なことは、ホームページやブログに多く紹介されているので、そちらを参考にされたい。

日本山岳協会山岳共済会 「登山における熱中症」
http://www.gunma-sports.or.jp/contents/topics/1465/topics2.pdf

広島勤労者山の会
http://hwac.jp/safety/index.html

中日新聞 「恐るべし、夏の登山と熱中症」
http://hwac.jp/safety/index.html

日経トレンディネット 「熱中症予防の新基準、スポーツドリンクの正しい選び方とは?」
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090709/1027661/?ST=life&P=1

大塚製薬 「暑いとき、無理な運動は事故のもと」
http://www.otsuka.co.jp/health/heatdisorder/care_03/index.html

2011年8月17日水曜日

リーダーシップ

東日本大震災で内外から盛んに指摘されているのが、日本のあらゆる組織におけるリーダシップの欠如である。

代表的なのが、日本の首相のリーダーシップのなさである。リーダーの条件には、問題解決能力やコミュニケーション能力の他、組織をまとめる統率力や目標達成への執着力、そして人望が備わっていないと行けない。今の日本の首相には、どれも備わっていない。ほんとうに恥ずかしい限りである。

しかし、日本のあらゆる組織でリーダーが育っていないのが現実である。原因は、戦後の教育にあるのかもしれない。平和と平等、どちらも正しい。しかし、平等教育は、学生の実力格差を解消することをもくろんだが、個性を無視して平均学力が下がり、リーダーが育たない環境になってしまった。

欧米は、個性を尊重し、優秀な生徒には特別教育を施して、組織のリーダーを育てる下地がある。日本も、教育から変えていかないと、まともな首相が出現してこないかもしれない。
会社でもなかなかリーダーが育っていない。ある程度責任を委譲してその人の力量に任せる風土がどこにもない。得意先で担当者がその場で決められず、会社に持ち帰って後で連絡しますというケースが多い。

この問題を日本人気質で片付けてしまってはいけない。現在社会においては、あまりにも深刻な問題であることを認識すべきである。

安全管理もトップのリーダーシップが無い限り、組織に浸透しないのは明らかである。

2011年8月10日水曜日

相変わらず多い脚立の不正使用


墜落・転落災害の原因で脚立に起因する災害が実に多い。

脚立は、ホームセンターで簡単に購入することができ、建設業やプラント業以外の家庭でも使われている。その反面、基本的な使い方をしないで事故になるケースが多い。

脚立は堅い地盤に水平に設置し、脚を開いてグラグラしないようにしなければならない。さらに、最上段及び最上段から1段目には立ってはいけないことになっている。

写真のように、脚立を斜めに設置して、さらに最上段に立って作業して、事故にならない方がおかしい。おまけに、ヘルメットも被っていない。

多分、この作業員はこのような作業はやってはならないと教えられていて、分かっていながらめんどくさいから、きちっと直さずに行なっているのだと思われる。ヒューマンエラーの最も多い、規則無視である。

大手通信建設会社も山奥では誰も見ていないということでこのような作業をするのだろうか。この会社の安全文化はかなり低いのであろう。

2011年8月3日水曜日

ISO9001:2008の改訂

ISO9001:2008年度版の大改訂作業が始まったと発表された。ISO9001は、品質マネジメントシステムであるが、製品の品質管理に留まらず、品質管理を組織的に行って業務改善を行う経営の基本に位置づけられている。

改訂の詳細はまだ発表されていないが、聞くところによると、ISO14001と同様に、リスクマネジメントの考え方が大幅に取り入れられるらしい。OHSAS18001では、リスクアセスメントがマネジメントの核になっていて、是正処置・予防処置を行うようになっている。リスクマネジメントにはISO31000というガイドラインがあり、この考え方を各マネジメントシステム共通の考え方にしていくのが、今後の世界的な流れと思われる。ISO31000は、規格ではなく認証を要求しないが、それぞれのマネジメントシステムに取り込んで、そこで認証する。

そこで考えられるのが、ISO9001にも品質リスクの洗い出し・評価・リスク低減策・見直しの考え方が取り入れられる。しかし、この考え方は別に新しい手法でもなんでもない。いままでごく自然のうちに行っていたものであり、リスクアセスメントや環境影響評価に慣れていれば、特に慌てることはないであろう。

リスクマネジメントに注目するようになったのは、東日本大震災における福島第一原子力発電所の大惨事が全世界にショックを与え、品質管理が高いと思われていた日本のマネジメントの信頼性が揺らいだことが影響していると考える。リスク管理を怠ったために、工業製品の世界的なサプライチェーンがマヒしてしまった。

ISO9001にリスクマネジメントを取り入れることにより、ISO14001およびOHSAS18001との整合性がより深まり、マネジメントシステムの統合も進むであろう。
なお、次期ISO9001の登場は、早くても2015年と言われているが、リスクマネジメントの手法は先取りして企業経営に取り入れていくべきであろう。