2013年6月5日水曜日

ヘルメットのあご紐

日本では現場でヘルメットのあご紐を締めていないと必ず現場監督員から注意を受けます。しかし、欧米の建設現場の写真を見ると、彼らのヘルメットはあご紐(chin strap)がありません。
これは、安全に対する考え方の違いからきています。日本のヘルメットは、飛来落下用、墜落時用及び電気用ですが、欧米のヘルメットは飛来落下用と電気用です。あご紐(chin strap)がないのは、飛来落下物がヘルメットに当たってヘルメットが頭からズレる、又は外れることによって頭への衝撃を和らげるという考え方からきています。
欧米のヘルメットは、頭の後ろで締めることができ、少々かがんでも落ちないように装着することができます。日本のヘルメットにもそのような機能があるものの、少しちゃちな感じであご紐をきっちり締めていないとすぐ落ちてしまう構造になっています。
さらに、墜落時の対策としては、より厳しいフルボディハーネスの着用が義務付けられています。ただし、風が強い時や、高所作業及び上を見上げるような作業(消防等)では、あご紐(chin strap)を使用することとなっています。
たかがヘルメットですが、日本と欧米ではこれだけ考え方が違うのには驚かされます。
(関連規格 ANSI Z89.1-1997, EN397、労働安全衛生法第42条の規定に基づく「保護帽の規格」)

2013年5月3日金曜日

5S+Safety

5Sは、施工管理(品質/環境/安全衛生)の基本と言われています。日本で5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾と言われています。しかし、最後の”しつけ”という言葉に対しては違和感を感じる人が多いと思います。誰でもいい歳して躾なんて言われたくありません。だから躾を外して4Sとして活動している所もあります。
TOYOTA WAYの出発点でもあり日本発の管理手法ですが、海外でも多くのところで取り入れられています。海外ではSort, Set in order, Shine, Standardize,Sustainとなります。最後の”しつけ”は、Sustain(維持する)で表し、こちらの方がしっくりするし、これが非常に重要だということがわかります。
5Sは、品質管理によく取り入れられていますが、米国安全衛生技術者協会(ASSE) の会誌3月号でも取り上げていましたが、5SSafetyを加えて、安全衛生活動としてクローズアップしています。

2013年4月22日月曜日

KYKとJSA

日本国内であれば、Tool Box Meetingでどこでも当たり前のように行なわれているKYK(危険予知活動)が行なわれている。しかし、海外ではKYKを採用しているところが極めて少ない。なぜならば、KYKは日本独自の作業員参加型の安全活動です。日本国内の現状も、職長が勝手にホワイトボードに書き込み、皆で唱和してサッさと終わっているところをよく見かけます。海外では、作業員が自ら積極的に危険性などを発言するレベルに至っていないこと、指差し呼称は旧日本軍を連想し馴染まないこと等のために、日本人がいくら指導しても定着しません。
海外でよく行なわれている方法には、Job Safety Analysis JSA)(またはJob Hazard Analysis(JHA)という)があります。TBMで当日の作業の簡単なステップと危険性及び有害性、予想される災害の予防措置をスーパーバイザーのリーダーシップにより作業員に指示する活動としてが行われています。
どちらも手を抜くとすぐにマンネリになってきますが、朝のTBMは出来るだけシンプルな方が良いと思います。最近のKYKは、リスクの見積もりやヒヤリハット、健康チェックまで入っていて複雑すぎます。形骸化したKYKを行なっている場合は、一度リセットしてシンプルなJSAを採用してはどうでしょうか。
 

2013年3月10日日曜日

建設現場における安全の「見える化」

最近、建設現場においても「見える化」という言葉が盛んに使われるようになってきた。
現場に潜んでいる問題は大小無数にあり、製品の品質不良に繋がるもの、労働災害に繋がるもの、さらにそれらが工程遅延に繋がるものがあります。いろんな潜在する問題をできるだけ容易に、かつ早い段階で判るようにすることが「見える化」です。

「見える化」は、トヨタ生産方式のなかで取り入れらたものです。アンドンとラインストップです。製造業でラインを止めるというのは、非常に勇気が居ることだと思います。しかし、問題を抱えたままラインを動かすと、後で取り返しがつかない位大きな問題となります。それよりも問題は早い段階で潰して損失を最小限にする方が良いという考え方です。問題があるラインの箇所には回転灯(アンドン)が点灯し、皆が集まってか問題を解決し、すぐにラインを復旧させるのです。そして、その問題を次のカイゼンに繋げていくのがトヨタ方式です。

建設業でよく見かける「見える化」は、本来の意味の「見える化」ではなく、まだ「見せる化」の段階です。やっていることは悪くはないのですが、安全掲示板に「ヒヤリハット事例」や「良好事例」を掲示したりするのだけでは「見える化」とは言えません。そこから問題を見いだすようにすることが重要です。
店社管理部門は、流行語を使うように安全衛生計画書に「見える化」という言葉を使うことはできるだけ避けたいものです。

2013年1月17日木曜日

防災とボランティアの日1.17

阪神淡路大震災から18年になる。今日は、内閣府が定めた「防災とボランティアの日」です。
一昨年3月11日に東日本大震災が発生した。この時は地震そのものの災害もさることながら、津波による被害(自然災害)と原子力発電所の炉心溶融事故(人災)が大きな影響を与えた。
直下型地震である阪神淡路大震災の教訓は、今回いろんな面で活かされたと思いますが、リスクマネジメントという面では、全く活かされず、現在も同じ状態が続いていると考えています。
リスクマネジメントについては、それぞれの利害を排除して真剣に取り組むことが、日本の信頼と再生につながると信じます。



防災に関係するいくつかのウェブサイトを紹介します。
「防災とボランティアの日」ウェブサイト
「内閣府防災情報ページ」
「人と防災未来センター」ウエブサイト
「国際防災研修センター」ウェブサイト
「京都大学防災研究所」ウェブサイト
「日本技術士会 防災支援委員会」ウェブサイト

2013年1月9日水曜日

建設現場の新規入場者教育

新規入場者教育は、建設現場のルールを作業員に直接伝える絶好の機会です。
どこの現場でも新規入場者教育を行い、現場の安全衛生方針や計画、現場規則、作業手順などを元請職員が直接説明していることと思います。
安全教育を30分以内で済ませるところもあれば、半日かけて実施するところもあり、現場の事業規模に応じて様々です。

しかし、どんなに親身になって説明しても、作業手順を守らない作業員、法違反を犯す作業員がいます。また、健康の不具合を偽って重労働についたりするケースもあります。このような申告は本人の良心に任せるしか手はありません。新規入場者教育を実施したからと言って、全員がそれを守ってくれるわけではないということを肝に銘じておく必要があります。

建設現場におけるヒューマンエラーは、危険であることやルール違反であることを知っていながら危険な行為を起こすことが多いです。製造業や交通機関のヒュウーマンエラーとは少し内容が違います。

現場の安全文化が低いと作業員は危険を冒しても得られる価値(効用・リターン)が大きければリスクのある行動を取る傾向にあります。作業員にリスクを過小評価しないような意識を新規入場時に植え付ける必要があります。

新規入場時教育をまだ経験の浅い若手元請職員や協力会社職長に任せ放しにしていたり、ごく短時間で形式的にやっていると、ルール違反の誘惑が芽生えやすくなるでしょう。

そこで元請職員は、新規入場時から作業員とコミュニケーションをとる努力が必要です。近頃の元請職員は、一日中パソコンとにらめっこして現場にも出ないことが多く、これでは災害が減らないでしょう。

コミュニケーションを築くには初めが勧進です。新規入場者教育は教育の中でも重要な役割を担っています。

2013年1月2日水曜日

安全祈願2013年 川崎大師

安全祈願に川崎大師として有名な平間寺に参拝した。
いつも大勢の人だ。祈願してもらうために本堂の中に入ったが、そこも大勢の人で埋め尽くされていた。
今年は、もう一度「般若心経」について勉強してみたい。般若心経はお釈迦さんが亡くなって500年後に仏教のある一派(大乗仏教)の誰かが作ったらしい。空と無を新たに説いたもので、一旦頭の中を空にして無から新たにスタートすれば、現代ビジネスでいうところのイノベーションに通じるのではないだろうか。
安全は、仏さんや神さんにお願いしても実現することはできない。仏さんや神さんに自分の努力を誓うことではないか。
そして、自分一人で行なうのではなく、いつもお大師さんと一緒にやるンだと思えば心強い。神頼みは止めておこう。
たこ焼きを買うにも行列で、根気と辛抱の必要性を感じた新年であった。