2012年2月24日金曜日

Phu My の華林寺で安全祈願

2月半ばから下旬までベトナムの現場の監査に来ている。

北部のハノイやタインホア省は、まだ冬で寒かったが、南部のバリア・ブンタウ省やサイゴンは、熱帯地方で夏です。フーミーの町では、毎朝散歩することにしている。
今日は、近くの高校やお寺のある方面を1時間ほど歩いた。今日は、週一度のアオザイ着用の日にあたったらしく、女子高生の白いアオザイ姿が目に付く。

高校の近くに仏教寺院があり入らせてもらった。ベトナム語では意味が分からないが、裏に漢字で華林寺と書かれていた。

このお寺はこじんまりとしていて落ち着いた感じであるが、境内には釈迦の誕生から悟りを開くまでの物語をいろんな像で表していた。
これは、有名な釈迦誕生の話である。釈迦は麻耶夫人の右脇から生まれ、その直後に7歩歩いて右手で天を指し、左手で地を指して、「天上天下唯我独尊」と言ったと伝えられている。
中には大きな仏様が鎮座し、お寺の方が線香を持ってきて下さった。線香は3本供えるのが正式で、3回頭を下げて工事安全祈願を行った。
隣にも大きなお寺があり以前お参りに行ったが、この寺の方がアットホームで気持ちが落ち着く。
カイメップ、チーバイ方面で工事をされる方は、この寺で安全祈願をして心を落ち着かせることをお勧めします。

2012年2月18日土曜日

建設現場におけるヒューマンエラー

2011年9月6日夜、那覇発羽田行きの全日空140便(ボイング737−700/乗客乗員117名)が、浜松沖を飛行中、重大インシデントが発生した。機体は左に大きく傾いてほぼ背面飛行の状態になり、約30秒間にわたって約1900メートル急降下した。

原因は、副操縦士が、トイレから戻った機長のために操縦室のロックを解除するスイッチを操作しようとして、誤って尾翼の方向舵を調整するスイッチを操作したことによるヒューマンエラーであった。操作ボタンを間違って押したもので、何か考えことをしていたのか、あせっていたのか、確認を怠ったのか、詳しいことは我々には判らない。設備が簡単に間違って操作しないような人間工学的な配慮がなされていなかったことは事実である。

建設現場では、このような種類のヒューマンエラーは比較的少ない。ヒューマンエラーには、「意図しないもの」と「意図するもの」がある。前者には、人間の能力の限界や能力の特性があり、後者には、無関心行為・無視や規則違反などが含まれる。

その中でも建設現場で一番多いのは、規則違反である。「分かっているけどちょっとのことだから」とついやってしまうケースです。中には確信犯も多い。ビティ足場をよじ上ったり、脚立から飛び降りたりするなど、決められたことをしないで災害にあうことが多い。再発防止対策を検討する際に本人の過失を責めるのではなく、なぜ決められたことが守られないのかを考えなければならない。昇降口が少なくて遠回りしなければならない、早く終わって帰る支度をしたいなど作業者を規則違反に駆り立てる原因が潜在しているはずです。特にベテランほど今までの自分の力を過信し、横着をして災害にあうケースが多い。

また、建設業に従事する労働者の高齢化もヒューマンエラーの一つの要因として大きな影響がある。ヒューマンファクターの中の人間の能力の限界に当たる。

建設現場を対象にしたヒューマンエラー対策は、規則違反と高齢化に絞り込むと効果が上がるであろう。その対策は、このようなヒューマンエラーを起こす作業員の目線で解決策を立てる必要がある。ただ規則を守れというのではなく、作業しやすい環境を作って「わざわざ規則違反をしなくてもよい環境」を整備することである。どうしても設備的な対策が取れない場合は、なぜ規則どおりに行なければいけないのかを分かりやすく説明することが必要である。

さらに今後は、経験ある作業員が少なくなることから、知識不足や技量不足といった要素のヒューマンエラーも増えていくことにも注意を払わねばならない。

2012年2月4日土曜日

揚錨船は移動式クレーンか

起重機船や浚渫船に付属する揚錨船は、移動式クレーンなのか動力巻き上げ機なのか迷うところである。

ポイントは、適用法が労働安全衛生法か、船舶安全法及び船員法なのかということである。

揚錨船は、明らかに自航できる船舶なので、船舶安全法及び船員法ということになるはずだが、現実は船舶であるが操船または操作している作業員は船員でないことが多く、船員でない一般作業員は労働安全衛生法の適用を受ける。

船員の場合、船員労働安全衛生規則第28条(経験又は技能を要する危険作業 )の適用を受ける。
要件の以下のいずれかに該当する者である。
   1) 当該作業を所掌する部の業務に六月以上従事した経験を有する者
   2) 国土交通大臣が当該作業について認定した講習の課程を修了した者
   3) 船舶職員及び小型船舶操縦者法第4条の規定により当該作業を所掌する部の海技免許を受けた者
   4) 同法第23条第1項の規定により当該作業を所掌する部の船舶職員(同法第2条第2項に規定する船舶職員をいう。)になることについての承認を受けている者
   5) 国土交通大臣が当該作業について認定した資格を有する者
ただし、当該作業の熟練者の指揮の下に作業を行わせる場合は当該作業を所掌する部の業務に三月以上従事した経験を有する者に当該作業を行わせることができる。

以上より 揚錨船に海技士免許所持者が乗っている場合、その指導があれば三月以上従事経験の船員でも可能である。

建設工事現場では、今では揚錨船に海技士免許所持者が乗船していないこともあり、また、荷を吊ったりすることもあるので注意を要する。
クレーン等安全規則(最終改正:平成一八年一月五日厚生労働省令第一号)の逐条解説書の第55条(製造検査)解説では、以下のように説明している。

「一般に揚錨船は、本来浚渫ポンプ船に付属して、アンカーを転置することを目的としており、船舶安全法及び船員法の適用を受けている。しかしながら、揚錨船に設置されているクレーンはジブを有し、本来の使用目的以外の用途(荷を吊り上げ運搬する)に供されることが多く、また船員でない者が扱うこともあるので、このような場合は、浮きクレーンとしての製造許可、設置届等の手続きを取ることが必要である。」

船舶職員以外の一般作業員が揚錨船を操作する場合
1) ジブを使用しない揚錨作業は、移動式クレーン作業に該当せず、動力駆動の巻上機の運転の特別教育 (安衛則36条11項)が必要になる。
2) ジブを使用した揚錨作業は、移動式クレーン作業に該当し、労働安全衛生法に規定された資格が必要になる。
・ つり上げ荷重1t未満の場合、特別教育(クレーン則第67条)
・ つり上げ荷重1t以上5t未満の場合、技能講習(クレーン則第68条)
・ つり上げ荷重5t以上の場合 運転士免許(クレーン則第68条)