2009年8月31日月曜日

世界で最も危険な国

2009年8月10日、米外交専門誌フォーリン・ポリシーが発表した「世界で最も危険な10か国・地域」について国際在線が伝えた記事がありました。

それによると世界で最も危険な国は第一位が米国、第二位が中国です。記事の内容は、世界最強である米国は「正義を守る」ことを第一にしているが、実は過去10年間、最も攻撃性のある国家であったことは否めないと指摘。また、米経済のミスが全世界を金融危機に陥れたにも関わらず、いまだに有効的な解決策を示していないと指摘。(以上国際在線記事より抜粋)

テロの根を絶つためアフガニスタンやイラクを攻撃、パレスチナ占拠の支援は、自由の正義と民主主義を守るためなのか。米国企業家(特に石油資本)の利益を守るためだけの口実に過ぎないのかという気さえします。
安全管理でいう直接原因をいくら是正しようとしても、根本原因を絶たなければ解決しません。
米国の身勝手な資本主義、資本力に任せたウォール街の無秩序な投機が世界を蝕み、地域間格差を生み、人類に脅威を与えているのではないでしょうか。

海外で働く米国人は常に標的に不満を抱く人々の標的になります。日本も米国追従外交だと危険な国と思われようになります。そのためにも日本独自の道をポリシーを持って進めてもらいたいものです。

3位以下はパキスタン、ロシア、イラン、イスラエルとパレスチナ、ナイジェリアとコンゴ、欧州連合(EU)、イラクとサウジアラビア、ベネズエラの順です。

2009年8月26日水曜日

安全管理における言語と民族の壁

日本国内と海外の工事との安全管理の違いは原則としてありません。安全確保するために同じことをする必要があります。

ただし、日本の会社が海外で工事を行う場合、どうしても言葉の問題が生じます。通常現場組織は、日本人スタッフのほか現地人スタッフ、第三国人スタッフの混成チームですが共通語は英語です。でも日本人は英語が苦手で上手くコミュニケーションが取れないことが多く、やりたいこと、伝えたいことが相手に理解されないことが多いようです。

民間プラント会社が施主の場合、欧米人のHSEマネージャー(安全衛生・環境担当マネージャー)が常駐して強い権限で厳しい管理が行われます。内容は国内と同じようなごく当たり前のことを英語で指示されるものだから、パニックに陥るようです。

また、実際に働く作業員はほとんど英語をしゃべることが出来ず、指示を出すのに現地語に翻訳して伝える必要があります。日本語→英語→現地語という経路をたどるため、正確に意思が伝わらないのは当然です。その結果、安全管理は、ローカルスタッフのセーフティオフィサー(安全担当者)にまかせっきりになる傾向があります。しかし、ローカルスタッフの知識レベルが豊富な安全管理の知識を有しているとはいえず、現場の危険性を見逃す結果になっています。
言語はコミュニケーションの最低限のツールであり、避けて通れません。

もう一つの障害は、民族問題です。例えばローカルスタッフがフィリピン人やインド人(どちらも英語が堪能)で、作業員がインドネシア人などの場合、民族間の反感があり、指示に対して従おうとしないことがあります。地道に現地人スタッフを教育して英語力や技術力に堪能にする必要がありますが、時間がかかります。

このような状態で、安全管理を行うのは知恵が要ります。これから試行錯誤の状態が続きそうです。

2009年8月24日月曜日

電車運転中の盗撮行為

JR西日本の運転士が運転中に女性を盗撮したことがニュースで報じられました。

21日、JR西日本の姫路発敦賀行きの新快速電車で、湖西線のマキノと永原の間を時速120kmで走行中、イスに座ったまま後ろを向きカーテンの隙間から女性2人を携帯電話のカメラで盗撮していたことが判明しました。

JR湖西線は一般の在来線と違い、全線立体交差化され踏切が一切なく、最小半径1400km、最高速度130kmの規格となっています。また、ほくほく線のように高速信号システムやホームドアを導入すれば、特急サンダーバードを時速160kmで走行できるようになっています。
このような規格が通常の在来線と違って、安全装置に任せて運転すれば安全が確保でき運転の単調さが生じるのだと思います。

航空産業ではヒューマンエラーの分析が進んでいます。飛行機のパイロットほど単調な業務はありません。離陸と着陸の際は最も緊張しますが、巡航中は業務が極端に単調になります。人間の本来の特性として、攻撃性、同調性、好奇心があります。そのなかで好奇心は、あらゆる発明・発見、創造の根源をなすものです。しかし、パイロットや電車の運転士にとって好奇心は注意力を散漫にします。新快速電車の運転士は停車駅の間隔も長くずっと座りっぱなしで、退屈を紛らわせようとして働いた好奇心が大きな事故に発展する危険性があります。単調な業務そのものが不注意のもとになり、ちょっとした過ちが大惨事につながります。

JR西日本は、宝塚線脱線事故の再発防止対策として鉄道業界として始めてリスクアセスメントを導入すると発表しましたが、航空産業で取り入れているヒューマンエラー対策も導入すべきです。今回の事件は、単に運転士の規則違反で終わらせてはなりません。運転士の業務特性をヒューマンファクターの面から分析して、対策を立てる必要はあります。

強いストレスが続く時、セックスなどに気が散るのは人間本来の自然の姿かもしれません。根本原因のストレスの緩和方法や、運行本部との交信などで業務の単調性を改善する等、ヒューマンファクターへの対応が必要です。

2009年8月21日金曜日

新型インフルエンザの第二波

夏だというのに、インフルエンザ患者が急増しています。

通常7〜8月はインフルエンザ感染者が少なく、秋から春にかけて大流行します。
しかし、この新型インフルエンザは暑い時期でも感染者が増えていくようです。夏の暑さで体が弱っている状態と人々の移動が活発になることが感染を広める原因になっているのではないかと思います。

日本では、沖縄県が突出して感染者を多く出しています。また、東南アジアでも感染者が急増しています。タイでは新型インフルエンザ感染による死者がすでに100人に達したと報じています。インドネシアでも正確な数字がつかめていませんが感染者が急激に増加しているようです。

新型インフルエンザは今のところ毒性が弱く、致死率はカナダ・アメリカ合衆国で0.5%で、通常型インフルエンザの致死率0.1%の5倍程度と発表されています。しかし、東南アジアで感染が拡大して、再び豚などを介在して強毒性の鳥インフルエンザウイルスの遺伝子と融合し、強毒性の新型インフルエンザに変異する可能性もあります。

したがって、この第二波の感染拡大を注意深く対処する必要があります。ただし、マスコミによる「恐怖の扇動」だけは止めてもらいたいものです。

2009年8月18日火曜日

船員保険の労災保険への統合

平成22年1月に、船員保険の職務上疾病・年金部門の労災保険相当部分が労災保険に統合される予定です。
そして、労災保険に船員に相当する業種が追加されます。

船員保険は、船員法第1条に規定する船員として船舶所有者に使用される船員を対象とする社会保険庁が主管する社会保険制度で、船舶法に定める日本船舶等に乗り込む船長、海員、予備船員が対象となっています。
そのうち、5トン未満の船舶、湖、川または港内のみを航行する船舶、30トン未満の漁船の一部、スポーツ又はレクリエーションの用に共するヨットまたはモーターボートは除きます。

船員保険制度は一般の健康保険制度、雇用保険制度、労働者災害補償保険制度を一つの制度で行うものです。以前は年金制度も含まれていましたが、1986年に厚生年金へ統合されました。

今回の法改正は、(1)労働者災害補償保険法の適用除外対象から船員保険の被保険者を削除するもの、(2)厚生労働大臣から国土交通大臣に対し船員法に基づく措置を要求することができるもの、(3)その他所要の規定の整備を行うものとすることとなっています。

ところで、労災保険の適用事業除外となるのは以下のものがあります。
・国の直営事業 :国が自ら行う事業で、国有林野、印刷、造幣の3現業です。
・非現業の官公署 :国家公務員・地方公務員の事務部門で、現業部門は労災対象です。
・船員保険の強制被保険者

港湾工事に携わる建設会社は、今まで被船員保険者が被災した労働災害を災害統計から除外していましたが、今後は統計に算入することになります。
いずれの保険の対象になろうと災害を発生させてはなりません。一人親方も、すべて災害統計に組み入れないと真の実態をつかむことができません。

今回の統合は、すべての労働災害の把握と災害防止の第一歩です。

2009年8月16日日曜日

四国八十八カ所遍路の最終地、高野山

四国お遍路の最終地、高野山

今年の1月に四国88カ所お遍路を始め3月末に結願しましたが、やっと最終目的地の高野山金剛峰寺奥の院に行くことができました。

高野山は弘法大師(空海)が真言密教の聖地として816年に開かれ、835年3月21日に奥の院の山の中に入定され、今も修行を続けておられます。
English page is here.
奥の院に続く道は樹齢100年以上の杉が鬱蒼としています。
戦国大名の墓も、敵味方同じようにお大師さんにすがってお墓が建てられています。
御廟橋から先はお大師さまが現在も入定されているため、聖域とされ、脱帽、写真撮影禁止です。
金剛三味院は杉木立の中にあり、静かなロケーションで落ち着きます。
御影堂は、私の最も好きな建物の一つです。屋根に雪を被った御影堂は最高です。
ここは、標高1000mに近いので、いまだに紫陽花が咲いていました。

                     南無大師遍照金剛

2009年8月15日土曜日

災害復旧と技術者

駿河湾を震源とする今回の地震は、東名高速道路の路肩が円弧滑りを起こして崩壊し、東西の大動脈が寸断されました。

私も当日朝から車で横浜から浜松に寄って大阪へ戻るところでした。準備しているところ、5時過ぎ横揺れがあり、テレビをつけしばらくすると東名高速道路の通行止めが報道されていました。仕方なく大渋滞の中、国道1号線を走り静岡方面に向かいましたが、在来道路は大渋滞でした。早く新東名高速道路を開通させないと、さらに大きな東海大地震が発生した時、西日本と東日本を結ぶ経済の大動脈が完全にマヒしてしまい、復旧のためのアクセスすら確保できなくなります。

今回、被害状況の把握や災害復旧の初動について、政府、静岡県、民間企業ともに素早かったようです。
NEXCO中日本は、すぐに昼夜で復旧することを決めました。しかし復旧するといっても発注図面などありません。簡単なポンチ絵だけで、直接現場に立つ技術者の経験に基づいた判断が工事を左右します。未知の事業に対して、公衆が安全に利用できるものを、作業員にケガをささずに安全に、かつできるだけ早く合理的な手段で完成させる。このようなマネジメントを任されることは、技術者名利につきます。

私は阪神大震災の際、大阪新淀川堤防の災害復旧を担当しました。最初は図面などほとんどなく、周りのグシャグシャになった家を見て一日でも早く復旧しないといけないという思いで必死でした。

今回は東海大地震の対策として想定していたことの根底が崩れたことが大きな問題です。すなわち復旧のためのメインルートである東名高速道路がいとも簡単に寸断されてしまったことです。再度災害復旧計画を見直すべきです。

工程が延びますが安全を最優先して、工法を変更しながら進めていることは、技術者といて当選の選択だと思います。NEXCO中日本の作成した復旧案に対し、技術者としてだめなものはだめだと、相当議論があったことだと想像できます。安全性を貫くことこそ技術者です。今回、夏休み期間中にもかかわらず徹夜で復旧工事に当たられた大林組および協力会社の皆様、大変お疲れさまです。

なお、台湾高雄県や兵庫県佐用町でも多くの方が水害で被災され、亡くなられました。ご冥福を申し上げます。

2009年8月11日火曜日

熱中症の季節です

梅雨もようやく明けそうな気配ですが、熱中症の季節も到来します。

  東南アジアは赤道に近いので日本より暑く熱中症が多いように思われがちですが、意外と熱中症の発生は日本より少ないようです。

  赤道直下の国で熱中症が意外に少ないのは、躰が長年暑い気温にさらされていて、躰が暑さに対し順応していることです。一方我々日本人は、エアコンディショナーで冷やされた空間で生活することが多く暑さに躰が順応していません。したがって、暑い中で作業するとすぐに躰が異変を起こしてしまいます。

  最近では、そんなに暑いと思われていない気象条件でも、朝の早い時間に熱中症で異変を訴える人が増えています。夜更かしや深酒、下痢などの影響があるかもしれません。特にアルコールは躰のなかで分解するときに水分を消費するので要注意です。

  東南アジアでも作業中に水を飲むことを奨励していましたが、真水は要注意ということを知らない人が多いようです。真水を飲むと躰の中の浸透圧の関係から、躰の塩分が吸い出され塩分不足になることです。塩分が不足すると痙攣を起こしやすくなります。塩分補給の塩飴は美味しくなく好きになれません。スポーツドリンクがベストでしょう。

  おすすめのスポーツドリンクは
  ・エネルゲン(大塚製薬)
  ・メダリスト(アリスト)
  ・アミノバイタル(味の素)
  ・ポカリスエット(大塚製薬)
  ・バイオ茶(上水園)


Heat StressのなかでOSHA(アメリカ労働安全衛生庁)の発表する対策で特筆することは、水は15分にカップ1杯の間隔で飲むこと、アルコール・カフェインの入った飲み物・お腹に重たい食事は避けることを述べています。飲酒など個人の私生活に及んできますので、熱中症対策は個人の責務も大きいです。

2009年8月8日土曜日

高尾山薬王院

高尾山薬王院

JR中央本線高尾駅北口は、古風な木造駅舎で参拝者や登山者の道中安全を祈願して天狗が出向けてくれます。正式名は高尾山薬王院有喜寺で、真言宗智山派大本山です。創建当時は薬師如来を御本尊としていましたが、現在は飯縄大権現が御本尊です。
駅のすぐ横に神戸屋パンのショップが有り、チーズブレッドとカフェオレで一休み。バケットやクロワッサンを売っていて、朝早くからパン屋を捜したのが悔やまれました。
杉の巨木の間を進むと本堂に上がる最後の階段です。
いつも大勢の人でにぎわっています。工事安全祈願。
厳めしい修行者です。両脇に烏天狗と天狗が邪気を払っています。自由自在に飛翔する伝説上の生物です。一説にはインド神話の神鳥ガルダの流れがあるとされています。
後ろから見るとまるで天使様です。

2009年8月6日木曜日

ベトナムの足場・型枠支保工事情

ベトナムで泊まったホテルのすぐ横で高層アパートや小規模ビルを建築していました。
(発注者、建設会社とも不詳、地元建設会社と思われます)

今回改正させた日本の足場規則からすればほど遠い感じですが、ベトナムではかなり立派な足場の部類に入るようです。
まず、単管パイプを使ってきっちり組んでいますが、墜落防止措置はほとんどと言っていいほどありません。ここまで危険すぎると、誰もが注意して墜落転落災害は発生しないのでしょうか?

このような高層アパートも鉄筋コンクリートの柱と床があるだけで、壁はレンガを積んでいます。レンガの表面をモルタルで下地を塗り白く仕上げて判らないようにしていました。
このような足場を組むのは、非常に怖いと思うのですが、これが標準という価値観で育っていると何とも思わなくなるのでしょう。
型枠支保工もここまでくれば逆に芸術的と言えます。地元建設会社の使える資材を可能な限り有効に利用しています。もし日本で仮設工業会の資材が手に入らなくなり、自然の材料を使ってこのように組めと言ってもできる人はいないでしょう。
見ての通り、非常に危ない状態ですが、資金力がほとんどない地元業者はそれなりに一生懸命やっているところが伺えます。このような状態を見て日本と同じようなビティやパイプサポートを使って日本やアメリカの法令通りと手すりを設けろと言っても無理な話です。ほんとに彼らにはお金がないのです。

このような状態でどのように指導すれば良いか、現実は厳しい問題があります。

2009年8月2日日曜日

海岸漂着物処理推進法

「海岸漂着物処理推進法」が7月8日、成立しました。

今まで国内外から漂流する海岸漂着ゴミをボランティアに頼り収集していましたが収集したゴミの処分の責任分担が曖昧なために費用が捻出できずそのまま放置されるというケースが多くありました。それを法律により、海岸管理者である都道府県が漂着ゴミの処理に必要な処置を講じなければならないというもので、国も必要な費用を都道府県に補助する義務を負うとされています。

ただし、海のゴミは海面を漂っているゴミばかりではなく、海底にも多くのゴミが堆積しているようです。そのゴミをどうするのか、底引き網にかかったゴミを漁業関係者が持ち帰って処分すればいいと考えたくなりますが、莫大な費用と手間がかかり、この法律でも対象としていないことから、海へまた投棄しているのが現状です。海は国民の共通の財産であり、このようなゴミも漂着ゴミと同等の扱いで、行政で処分を行うべきです。

瀬戸内海全域には13,000t以上のゴミが堆積していると推定されています。
私が以前加入していた「海守さぬき会」がこの問題に真正面から取り組み、
「海底ゴミ 目に見える化 計画」海底堆積ゴミ一掃大作戦2009in高松沖というキャンペーンを始めるそうです。

詳しくは、海守ホームページを参照してください。
http://blog.canpan.info/umimori/archive/401

本日、8/2(日)午前9時より、高松市瀬戸内漁業協同組合前にて出陣式です!
私も、高松にいればボランティアに参加するところなんですが、力になれなくて残念です。

死の海になりかけた海底からゴミを取り除けば、海がよみがえりおいしい魚を食べることができます。