2009年8月26日水曜日

安全管理における言語と民族の壁

日本国内と海外の工事との安全管理の違いは原則としてありません。安全確保するために同じことをする必要があります。

ただし、日本の会社が海外で工事を行う場合、どうしても言葉の問題が生じます。通常現場組織は、日本人スタッフのほか現地人スタッフ、第三国人スタッフの混成チームですが共通語は英語です。でも日本人は英語が苦手で上手くコミュニケーションが取れないことが多く、やりたいこと、伝えたいことが相手に理解されないことが多いようです。

民間プラント会社が施主の場合、欧米人のHSEマネージャー(安全衛生・環境担当マネージャー)が常駐して強い権限で厳しい管理が行われます。内容は国内と同じようなごく当たり前のことを英語で指示されるものだから、パニックに陥るようです。

また、実際に働く作業員はほとんど英語をしゃべることが出来ず、指示を出すのに現地語に翻訳して伝える必要があります。日本語→英語→現地語という経路をたどるため、正確に意思が伝わらないのは当然です。その結果、安全管理は、ローカルスタッフのセーフティオフィサー(安全担当者)にまかせっきりになる傾向があります。しかし、ローカルスタッフの知識レベルが豊富な安全管理の知識を有しているとはいえず、現場の危険性を見逃す結果になっています。
言語はコミュニケーションの最低限のツールであり、避けて通れません。

もう一つの障害は、民族問題です。例えばローカルスタッフがフィリピン人やインド人(どちらも英語が堪能)で、作業員がインドネシア人などの場合、民族間の反感があり、指示に対して従おうとしないことがあります。地道に現地人スタッフを教育して英語力や技術力に堪能にする必要がありますが、時間がかかります。

このような状態で、安全管理を行うのは知恵が要ります。これから試行錯誤の状態が続きそうです。

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