2009年8月15日土曜日

災害復旧と技術者

駿河湾を震源とする今回の地震は、東名高速道路の路肩が円弧滑りを起こして崩壊し、東西の大動脈が寸断されました。

私も当日朝から車で横浜から浜松に寄って大阪へ戻るところでした。準備しているところ、5時過ぎ横揺れがあり、テレビをつけしばらくすると東名高速道路の通行止めが報道されていました。仕方なく大渋滞の中、国道1号線を走り静岡方面に向かいましたが、在来道路は大渋滞でした。早く新東名高速道路を開通させないと、さらに大きな東海大地震が発生した時、西日本と東日本を結ぶ経済の大動脈が完全にマヒしてしまい、復旧のためのアクセスすら確保できなくなります。

今回、被害状況の把握や災害復旧の初動について、政府、静岡県、民間企業ともに素早かったようです。
NEXCO中日本は、すぐに昼夜で復旧することを決めました。しかし復旧するといっても発注図面などありません。簡単なポンチ絵だけで、直接現場に立つ技術者の経験に基づいた判断が工事を左右します。未知の事業に対して、公衆が安全に利用できるものを、作業員にケガをささずに安全に、かつできるだけ早く合理的な手段で完成させる。このようなマネジメントを任されることは、技術者名利につきます。

私は阪神大震災の際、大阪新淀川堤防の災害復旧を担当しました。最初は図面などほとんどなく、周りのグシャグシャになった家を見て一日でも早く復旧しないといけないという思いで必死でした。

今回は東海大地震の対策として想定していたことの根底が崩れたことが大きな問題です。すなわち復旧のためのメインルートである東名高速道路がいとも簡単に寸断されてしまったことです。再度災害復旧計画を見直すべきです。

工程が延びますが安全を最優先して、工法を変更しながら進めていることは、技術者といて当選の選択だと思います。NEXCO中日本の作成した復旧案に対し、技術者としてだめなものはだめだと、相当議論があったことだと想像できます。安全性を貫くことこそ技術者です。今回、夏休み期間中にもかかわらず徹夜で復旧工事に当たられた大林組および協力会社の皆様、大変お疲れさまです。

なお、台湾高雄県や兵庫県佐用町でも多くの方が水害で被災され、亡くなられました。ご冥福を申し上げます。

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