2011年6月22日水曜日

「想定外」は技術者の禁句

東日本大震災で東京電力は当社「想定外」の地震や津波による災害ということを連発していた。

なにか言い訳のように聞こえてならない。自分たちには責任がなく不可抗力と主張しているのであろうか。

政治家や大会社の経営者には往々にしてこのような言葉が発せられるが、技術者は決して「想定外」と言って自分の業績に対して言い訳をしてはならない。もし、他人から間違いを指摘されれば謙虚に見直しを行うことが重要である。

しかし、なぜ安易に「想定外」などと言うのだろうか。
通常、技術検討段階では必ずあらゆることを想定している。設定発生確率の範囲で設計を進めるが、設定発生確率を越えた超過確率の事象は、全く無視するということはない。超過確率の場合においても、何らかの事象を想定している。

検討段階ではリスクが設定確率範囲に入っていたものが、費用が大幅に膨らむために事象発生の可能性が低いものや不確実なものは除外され、超過確率の事象は無視するようになってしまったのであろう。また、企業はどうしても悪い事象発生の可能性を低く見積もりがちである。今回はそれをチェックする機能が上手くは働かなかった。経済産業省の天下り官僚を大量に抱える東京電力と、政府からの研究費を獲得するためにどうしても政府よりにならざる得ない御用学者による原子力安全委員会では、技術の監視機構も働かないのではないだろうか。

また、無責任な「想定外」発言とともに、「ただちに人体に影響を及ぼす数値ではない」という言葉も正確なようで実はそうではない。放射線被曝は積算量により晩発性障害の可能性があり、そのことにわざと触れなかったので余計に人々に不安が広がった。

リスクを説明するときは、最悪のリスクも含め説明し、「想定外」等と言い訳は慎まなければならない。

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