2011年3月19日土曜日

原発の安全神話

安全に「絶対安全」という言葉はない。これは技術者の常識である。

原子力発電所は、人々に漠然たる不安がどうしても払拭されないにもかかわらず、発電所を立地する際に電力会社や政府は絶対安全だと住民に説明してきた。技術者が原子力設備は絶対に安全と思っていないにもかかわらず、絶対安全と言わざる得ないことが、これまでの不幸を生んだ。
住民に絶対安全と言ったために、事故が起きた場合はそれを公にせず内部で処理しようとし、不利なデータや情報は隠すようになり、さらには虚偽報告までしたために、社会からの信頼を大きく損ねてしまった。(「事故から学ぶ技術者倫理より」中村昌允著)

これまで発生した高速増殖炉「もんじゅ」の火災事故、動燃アスファルト固化処理施設火災爆発事故、JOC臨界事故、美浜原発3号機二次系冷却配管の破損事故など多くの原発事故は、技術者が本当の事象を説明しなかったことが問題の根底にあり、電力会社の企業倫理も大きく問われた。

今回の原発事故は、原発が未曾有の自然災害の遭遇したということもあるが、事故の対応が後手に回ったことは、やはり電力会社及び監督官庁の情報隠蔽体質が影響したものと思われる。

米紙ニューヨークタイムスは、18日付の社説で、東日本大震災で危機状況にある福島第一原発の事故をめぐり、東京電力と日本政府の対応について「心配になるほど不透明だ」と批判している。官房長官の記者会見は、国民に余計な不安を与えてパニックにならないように配慮する内容に終始し、逆に不信感を深めている。そのことが、米国が原発から半径80km以内の米国人の退去命令になったのであろう。

現時点では済んでしまったことをとやかく言っても仕方がない。現在どうするかが最も重要なことである。もう原発の安全神話は完全にくずれたのであり、危険のリスク情報は可能性の大小が明確でなくても、国民に開示していくべきであろう。

放射性物質が原発から漏洩している中で、東京電力、日立製作所、東芝、自衛隊、東京都消防庁などが、放水作業により決死の覚悟で原発と戦っている。これから大阪市消防局や横浜市消防局が加わる。日本のために命がけで戦っている。これらの人たちに二次災害が及ばないように、情報はすべて開示し国際原子力機関や欧米の原子力機関とともに一体となって解決に導いてもらいたい。

この結果は世界中が見守っており、世界のエネルギー政策を左右するほど重要である。
Never give up. We are one, all for JAPAN.

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