2011年11月9日水曜日

玉掛用具のSWL

SWLは、Safe Working Laodの略で、使用安全荷重のことである。

玉掛けに使用するワイヤーロープの種別・公称径の選定の選定方法には、⑴安全荷(SWL)表による方法、⑵吊り角度と張力係数による方法、⑶モード係数による方法がある。SWL表による選定は、条件を設定して表から選択するだけで非常に簡単である。しかし、あまり活用されているとは思えない。

シャックルやリング等の玉掛用具にもSWLがあり、JIS製品にはSWLが刻印されている。1996年にJISが改訂され、表示がSWLからWLL(Working Load Limit)に変更されているが、数値は同じである。

SWLはあまり理解されておらず、現場でメーカーからSWL表を取り寄せていないところが多い(インターネットでも簡単に入手できる)。
SWLが0.5tonのシャックルと、破断荷重が40kNのリングを連結して両端から引っ張った場合、どちらが先に破断するかという問題は、SWLを理解していないと解けない。

ワイヤーロープの基本安全荷重(SWL)は、1本のワイヤーロープで垂直に吊ることができる最大の荷の質量を表し、切断荷重(破断荷重;kN)を安全係数で割って求める。
SWL表には、2本吊りと吊り角度別の使用安全荷重も表示されている。難しい計算をする必要はなく、この表さえあれば容易にワイヤーロープの選択が出来るようになっている。

                                              荷重(破断荷重;kN)
基本安全荷重(質量;ton)=---------------------------------
                                                 9.8×安全係数

                                      ≒ 0.008×ワイヤーロープ径2(mm) : 簡易式

玉掛に使用するワイヤーロープの安全係数は、日本では6以上あるが、欧米では5以上を使用する。玉掛用吊りチェーン、シャックルは5以上を使用する。また、人に係わるワイヤーロープ、例えばエレベーターのワイヤーロープの安全係数は、10以上を使用する。

SWL0.5tonのシャックルの破断荷重は、0.5×9.8×5=24.5kNリングの破断荷重は40kNであるので、シャックルが先に破断する。

玉掛け用ワイヤーロープには、SWLの刻印または、タグを付けておけば、現場でもワイヤーロープの適否がすぐに確認することが出来る。日本国内では、このSWLによる管理が理解されていないのが現状のようだ。

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