2011年1月26日水曜日

失敗情報の共有

失敗は企業の宝である。

しかし、人々はなかなか失敗を報告したがらない。日本の社会は、失敗を人の業績評価に使ってきた長い歴史があるからである。

組織に壊滅的な損失を与える失敗を除いて、軽微な失敗は大いに飛躍の種として積極的に活かすような文化を築くべきである。世の中の大発見は、失敗や挫折の上に成り立っているし、最初から成功は絶対にありえない。
京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長でさえも失敗と挫折を味わった後に大きな成果を得たとNHKの番組で言われている。

組織は失敗があるためにそれを是視して更なる発展につなげていく。逆の事を言えば失敗の経験を味わったことがなく、現状に満足している組織には発展は望めない。

また、失敗を意識的に行うのは企業犯罪である。しかし、失敗や不具合はどこの組織でも潜在しているはずである。それをうまく拾い上げて改善に導くかどうかが組織の業績の成否が分かれるであろう。

建設業でも、ヒヤリハットを収集して組織の改善につなげようとしているが、今までの閉鎖的な文化の影響が残り浸透しないでいる。ヒヤリハットをどんどん出して、みんなが真摯に受け止め組織の改善に活かしていくところは飛躍的に発展していくであろう。

カンタス航空は、創業以来50年間無事故を続けている。その秘訣について労働予防研究所三廻部所長がカンタス航空への取材を通して得られた秘訣をプレゼンテーションで述べられている。
その1 個人の過失を全員に報告する
その2 トレーニングを行う
その3 チームワークを保つ
その4 メインテナンスを積極的に行う
その5 古い機械は使わない
第一に失敗を組織で共有し、事故防止のノウハウに学び取ろうとしていることが注目される。Incident Report Systemが組織内で活かされているからこそすばらしい実績に結びついている。

MS内部監査で指摘事項があることを恥と思うのは大間違いである。形ばかり取り繕って指摘事項無しとする組織は、組織が改善されず、イノベーションも生まれない。内部監査や外部監査で指摘していただくのは、ビジネスの飛躍のチャンスを与えて貰えるというようにとらえ、前向きに真摯に受け入れるべきである。

このように考えれば、外部監査なんて何も怖くない。逆に利用するだけである。

昔からよく言う、「失敗は成功の素」的対応は、マネジメントの基本姿勢であろう。

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