2010年4月14日水曜日

安全施工サイクルの工夫

安全施工サイクルは日本が誇るすばらしい安全管理手法です。

安全管理を施工管理とは別個のものとせず、施工管理の中で協力会社と一体となって安全管理を一日、週間及び月間のサイクルとして活動するものです。

1日のサイクルとしては、始業前の体操から始まり、安全朝礼、ツールボックスミーティング(TBM)、危険予知活動(KYK)、始業点検で作業が始まり、作業と途中の安全巡視、安全打合せで午前中の実績報告と反省及び翌日の予定と安全指示事項の確認、再び安全巡視、後片付け、就労確認、終了報告で終わり、翌日も同じことを繰り返します。

ただ、それぞれの目的を理解せずに行っているとマンネリ化に陥ります。朝礼やTBMでは元請けや職長からの一方的な発言に終わり、KYKでは作業員から意見はでず職長が事前にKYボードに記入しておいてそれを復唱するだけに終わってしまいます。また安全巡視とは名ばかりで、不安全設備や不安全行動を見てもその場では何も言わず、朝礼の場で突然発言するような対話がないことが多いようです。

海外の現場でも同じようなサイクルがあります。日本的な学校教育を思い起こすような一斉に整列してのラジオ体操や朝礼は少ないですが、まずTBMまたはSTARRT(Safety
Task Analysis and Risk Reduction Talk)ミーティングとJSA(Job Safety
Analysis)あるいはJHA(Job Hazard Analysis)を行います。
STARRTは、当該工事に該当するリスクや対応すべき事項をチェックリスト形式で、作業員に対し問いかけながら確認していくものです。
JSAは、簡単な作業手順とそれに対して予め行われているリスクアセスメントから危険性・有害性を抽出して確認するものです。
これらは、KYKに良く似ていますが、KYKは作業員から発言が出てこないことが多いのに対し、こちらは対話形式で行います。
作業中は幹部やSafety OfficerによるSafety Walk ThroughまたはSafety Walk
Aroundを行い、その場で是正指示をしていきます。
作業打合せにおいても安全指示を行なうのは日本と同じです。

どのような方法であれ、その手法を理解していないと形骸化してしまい、時間の浪費です。安全施工サイクルも形にとらわれるのではなく、本来の目的を理解したうえでその現場に合ったやり方で工夫する必要があります。

これからの安全は、「規則を何が何でも守らせる」という押し付けでなく、自分たちで「何が危ないか見つけて対策を立てさせる」方向でコミュニケーションを深めることではないでしょうか。

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