2010年6月23日水曜日

ヒヤリハット報告の普及しない訳

製造業では活発に行われているヒヤリハット報告活動が建設業では、ほとんど板についていない。
その理由はなぜなのか?

建設業の特殊性が考えられる。事業場がプロジェクトごとの特定期間に、下請け業者の寄せ集め組織で、場所もその都度変わる。労働者が自分の大事な職場だという意識が希薄であり、わざわだしんどい目をして職場の労働環境を改善しようとする意欲が湧かないからである。
COHSMS(建設業の労働安全衛生マネジメントシステム)もそのことを踏まえてシステムがされているが、どうしても形式的な書類のみに終わっている。

ヒヤリハットは、リスクアセスメントを行ううえで、労働者の危険感受性を高める方法として非常に有効であり、安全に限らず職場に潜む問題を早期に解決する方法として有効な手段である。
ヒヤリハット報告活動を阻害する要因は以下のことが考えられる。

1.ヒヤリハット報告した者をマイナス評価してしまうこと。
2.ヒヤリハット報告の結果をうまく活用していないこと。
3.労働者にわずらわしい手間が増えること。

その対策として
1.ヒヤリハット報告をしたものをプラス評価し、表彰制度に組み入れること。そして、なぜ表彰に値するかの理由を説明すること。すなわち、問題が小さいうちに発見し、職場全体にその問題が再発しないように水平展開することができ、職場の改善に大いなる貢献をしたことを説明するのです。
2.ヒヤリハット報告をすぐその場で改善するような小集団活動を展開する。元請工事担当者を長とした担当部署の改善をしていく。
3.それぞれの部署で行ったヒヤリハット報告活動を作業所または支店全体でまとめ特定の固有名詞は省き、分析・分類して各現場にフィードバックし、リスクアセスメントやツールボックスミーティング、危険予知活動に活用する。
4.報告する書式はなるだけ簡略なものとする。報告されたヒヤリハットのうち、特に水平展開すべきと思われるものについてのみ、再度ヒヤリングを行い、詳しく原因分析と再発防止対策を立てる。
5.データベースは畑村洋太郎氏の失敗学データベースのような形でまとめ、水平展開の資料とする。
また、せっかく行うのであれば安全の問題だけでなく、環境、品質、工程上の問題など、現場に潜むあらゆる問題をすべて取り上げるのが良い。意外と根本問題は同じであることが多いからです。

形式的な労働安全衛生マネジメントシステムに陥らないようにするためには、かつてのTQCのような小集団活動をより簡略にして導入するのが良いかもしれない。

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