2010年7月7日水曜日

OHSAS18001とCOHSMSの違い

OHSAS18001とCOHSMSはどのような違いがあるのか。

OHSASは、BS及びISOの流れとして規格化されたものであるのに対し、COHSMSは、ILOのガイドラインに基づき、各国がOHSMSの指針を策定し、建設業災害防止協会が建設業に合うようにマネジメントシステムを構築したものです。

特徴としては、OHSASは国際規格に準拠したものであるためにISOのように仕組みや形をより重視する傾向にある。一方、COHSMSは、労働者の安全確保を鮮明にしておりパフォーマンスをより重視し、実質を伴わなければならないとしています。
アプローチは規格要求からはいるか、従来の安全管理の発展的延長から入るかの違いであり、一言で言えば「QMSは顧客満足が目的である」という言い方をすれば、「OHSMSは労働者の安全が目的である」と言える。

その中で、大きく違う点は、OHSASは、第三者の認証を必要としているのに対し、ILO-OHSMSは認証は必要としないとしている点です。前者は欧州を中心とした認証機関の思惑が感じられ、後者は、安全管理は従来から官民で高度な管理を行ってきたものであり、それを自主管理できるように整理しただけであるからとしています。今後、企業が国際舞台に進出する場合は、第三者認証を要求されるケースが増えてくると考えられます。

また、細かいところに差はあります。OHSAS18001では、各国の法律に従うことが、「4.3.2
法的その他要求事項」として明文化されています。対象はすべての職場であり、事務所業務のリスクアセスメントも必要になってきます。
国内において建設業は、建前と実情の乖離があり労働者にも当然「法令を守るべき義務」があるのに、災害が発生すると管理責任のみが追及されます。マネジメントシステムの限界性も見えてきます。
また、監視なども明文化されています。EMSの規格要求がそのまま労働安全衛生に適用しています。

一方、COHSMSには、「5.1.2
労働者の意見の反映」が明文化され、労働者の参加を不可欠としています。OHSAS18001も2007年版からは、「4.4.3.2参加及び協議」として労働者の参加を取り入れています。
これらの時間的な差は、OHSAS18001は、ISO14000をベースに規格化されたものであるのに対し、COHSMSは、政府機関・労働組合の代表・事業者がこれまで蓄積してきたノウハウをマネジメント化した生い立ちの差から生じています。両者の差は改訂されるたびにより近づいてきています。
したがって、基本的な内容の差はないと考えてよい。

労働安全衛生マネジメントシステムは、労働環境の改善の問題であり、いくら立派な文書が整っていても災害を起こしてはなんの意味もありません。どちらのマネジメントシステムを採用しようと、文書を整備するだけでなく実際に災害を起こさないようにすることが第一の目的です。

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