2010年11月3日水曜日

ヒューマンエラーとエラーチェイン

作業員の予想も付かない行動によって起きるヒューマンエラーを、本人の責任で片付けてしまっても第二の異常行動がまた起きます。
とかく現場は、本人の責任にして自分達には責任がないという安易な気持ちになることがあるが、それはとんでもない間違いです。作業所長が、そのような気持ちを外に表すと、得意先や監督官庁から厳しい批判を受けます。

ヒューマンファクターによるミスは、工学技術が進んだ現在においても減らすことはかなりの努力を要します。むしろ、ストレス、高齢化、生活不安という新たなファクターが加わり、ヒューマンエラーは増える傾向にあると考えた方がよい。

ヒューマンエラーの対策は、作業員の安全教育ではなかなか効果が上がりません。災害分析ではよく「本人の安全意識が低い」、再発防止対策で「・・・・を徹底する」、「・・・・の教育を行う」などのことばがよくでるが、再発防止効果は低い。このような災害分析・再発防止策は務めて避けるべきである。

ヒューマンエラーの再発防止策の基本は、設備を改善して、間違った行動を起こしにくくする、間違った行動を起こしても設備側が安全に防御する(フールプルーフ)、突然機械が停止しても安全側に停止する設備(フェイルセーフ)が基本です。間違って通電された電気ケーブルにうっかり触れてしまっても、瞬間的に電源が切れるようなELCBが設備の対策に当たります。

次に管理面で対策を立てる。
これらの対策を立てる場合に、エラーチャインを作ってみると何が重要かということが明白になります。
災害は、いくつかの要因が連続して災害に至り、その中の一つでもなかったら事故に至らないという考え方です。ANAなど、航空業界が取り入れている手法です。

(管理者が正しく指示を出さなかった)−>(ケーブルの配線計画がなかった)−>(ELCBを取り付けていなかった)−>(本人の不安全行動)−>感電
これらの対策をきちっと採れば、大きな災害に至らずにすむ筈です。

本人の不安全行動だけでなく、それ以外の要素を重点対策としたほうが効果が上がることが明白です。
ヒューマンエラーの再発防止策としてエラーチェインは有効な手段といえます。

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