2009年5月19日火曜日

杭打ち機の安定性

杭打ち杭抜き機やアースドリルなどの転倒事故が相次いでいます。

これらの機械は地盤の悪い場所で作業することが多く、機械の安定性についてしっかりと検討しておく必要があります。杭打機の安定性についてはJIS A8509-1(基礎工事機械-安全-第1部:くい打機の要求事項)に記述されています。

前提 :杭打機が堅固な水平
地盤上に設置されているものとする。 
安定基準 :全ての運転条件において、安定角αが5°以上であれば安定しているとみなす。    

 L1 :旋回中心線から前方転倒枝線までの距離
 L2:旋回中心線から後方転倒枝線までの距離
 L3:旋回中心線から側方転倒枝線までの距離(キャタピラの端部ではない)
 GH ;地盤面から重心までの高さ
 GL :旋回中心線から重心までの距離
※安定角 :最も不利な転倒支線を通る垂直平面と、重心及び前期転倒支線とを通る平面がなす角度 
※転倒支線 :ISO4305:1995 Mobile crane- Determination of stabilityの付属書Aによる(ISOを参照してください) 
※重心 :機械全体の重心は、杭打機を構成するすべての機器及び取り付け部品を含み、個々の構成部品の重心を加算した結果として計算されなければならない。可動部品については、製造業者の取扱説明書に示す最も不安定な状態及び不利となる位置を基にして計算する。さらに欧州では、自走時の安定度を8または10と規定している。  

ただし、安定上最も不利となる条件が同時に発生する状況を考慮されなければならない。

1)装置各部が最も前方及び上昇した位置、及び前方、後方、又は側方にリーダが最大に傾いた場合 
2)キャタピラが接地した状態で、変動荷重が最も高い位置にある場合 
3)最も不利な転倒支線 
4)振動パイルハンマなどの作業装置によって、起振力の発生によって作業荷重が変動する場合はその荷重を加味する。

欧州機械指令の安全必須要求事項に適合するEN996:1995には風荷重及び動荷重によるモーメントの影響を盛り込んでいますが、JISでは作業条件を考慮して織り込んでいません。強風時に作業を行なわないなどの制限を行うため問題ないという考え方です。  

実際は、堅固な水平地盤上に接地されていることはないので十分な安全率をとる必要があると考えます。

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