2009年7月13日月曜日

現場において土木技術者はスマートであれ

「現場において土木技術者はスマートであれ」
これは戦前の帝国海軍の伝統である「海軍士官は、スマートであれ」という格言から借用したもので、現場では技術者はスマートであってほしいと願うものです。



このはなしは、司馬遼太郎の「街道をゆく42 三浦半島記」にでてきます。


海軍士官は明治時代にイギリス海軍将校から徹底的に大英帝国の海軍魂を教え込まれました。そのなかで生活習慣として強調されたのが、「5分前の精神」です。海軍では「総員起こし5分前」に始まり「消灯5分前」に終わります。5分前には次の作業に掛かる準備を完了しておくということですが、建設業でも次の作業にかかる前には、その準備を終わらしておくのと同じです。


その場でバタバタせずに、予め周到に準備したことをスマートで淡々と進めることです。きちっと準備をし作業に取り掛かるときは決められた手順に従って紳士のように落ち着いて行動をしなければなりません。



建設業では5S、すなわちSeiri(整理)、Seiton(整頓)、Seiso(清掃)、Seiketu(清潔)、Shitsuke(躾)が基本になっていますが、海軍士官の遵守すべきものとして3S、すなわちSmart(機敏)、Steady(着実)、Silent(静粛)がありました。
この言葉は、千変万化する海上において、すべての行動が予め手順を定め機敏で着実であることが要求されます。そのためには、発令者以外は静粛を保ちサイレントでなければなりません。



今の海上自衛隊では「スマートで目先が利いて几帳面、これぞ船乗り」に変わっています。第一に「スマート」が掲げられたのは、艦上では万事がスマートに行なわなければ事故につながるという帝国海軍の伝統を引き継いでいます。そして、目先が利いて几帳面とは、いつも先のことを考え手順よく事を運べということであり、几帳面が重視されたのはちょっとしたミスや手抜きが、大きな災害につながるからです。海軍でもリスクアセスメントの考え方を取り入れていたことになります。



土木技術者も、工事現場は状況が刻々と変化しますが、常に次の作業のリスクを考え作業手順を定めておき、作業するときにはスマートに作業手順に従って実施することが重要です。たとえ予定外であることが起こってもスマートに対応する。



建設業と海軍は通じるところがあります。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

hi, new to the site, thanks.