2009年7月24日金曜日

夏山登山の危険性

トムラウシ岳の死亡事故

 大雪山系で荒天に遭いツアー登山者が疲労と低体温症により8人死亡する事故が起きました。最近の中高年者登山ブームとマスコミに踊らされた「日本百名山」ピークめぐりブームが背景にあります。

 このブームに便乗して旅行業者が登山ツアーを企画し、自分で計画できない人たちを募集して登山に連れて行くケースが多いようです。今回も登山ツアーにガイドが3人添乗していたようですが、3人のうち2人はこの山に登った経験がありません。また、日本では商業目的で登山ツアーを募集する場合、日本山岳ガイド協会または日本山岳会認定の資格者を添乗させることを義務づけていません。

 今回の行動パターンを見ていても、リーダーとしての資質を疑います。全員の安全を守るという使命が全くありません。多分そのような訓練を積んでいないのだと思われます。強風雨の中をなぜ強行するのか、避難小屋でもう一日待ち、むやみに行動しないのが鉄則です。
 また、リーダーと元気のいい人だけが先をどんどん行き、みんなのペースがバラバラになるという新米リーダーの典型です。
 このような人をガイドとして送り出した会社の安全体制に問題があります。商業登山ツアーとして行う以上、契約には安全配慮義務が生じ社長に安全管理責任が生じます。今回のような場合は予想しがたい災害とは言えません。

 また、中高年登山者にも問題があります。山でよく見かける光景ですが、中高年のわがままと意固地なところです。避難小屋でも場所を確保して他者を受け入れようとしないとか、場所をわきまえず大声で喋るオバハンたち、道のあちこちでオシッコしてティッシュをちらけっぱなしにするなど、私たちが登っていても目を背けたくなります。
 そのわがままの中で、ある人は荒天でもお金を払ったんだからどうしても頂上へ行けと言っただろうし、もうしんどいから行きたくないなど、まとまりがつかなかったのだと思われます。
 夏山でも縦走する場合防寒着は必要ですがそのようなことも知らない参加者もいました。

 中高年登山者にはもう少し登山の常識「登山の基礎知識」を学んでもらいたいものです。
また、リーダーはどんな人にも「登山の基礎知識」を教える義務があり従わせなければなりません。それができなくなった時点で登山を中止して下山すべきです。

 マスコミによる「日本百名山」も困ったものです。ただただ深田久弥がいう百名山のピークを目指すだけで山そのものを味わう人が少なくなったことです。ただ深田久弥が名付けただけで良い山は他にも沢山あります。百名山と名前がついているだけで多くの人が訪れ、山が荒れているところが多くあります。世界遺産と一緒でミーハーが集まるだけでほんとに山を愛す人にとっては迷惑な話です。今回の悲劇も、山の基礎知識がない中高年登山者が百名山のピークを求めて登り、未熟なリーダーの指導力不足の犠牲になったのでしょう。

全員の安全を確保してこそリーダーです。

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