2010年1月7日木曜日

ディーセントワークと安全文化

「安全文化」という言葉が良く使われるようになりました。

「安全文化」は、チェルノブイリ原子力発電所の事故に対して1986年国際原子力機関IAEAが行なった報告書の中で提唱されています。
それには、「安全文化とは個人の態度を表すものであると同時に、組織的なもの、すなわち機関と個人の双方を含めて、安全問題に関し適切に対処することを求めるもの」であるとしています。

一方、ILOの「労働安全衛生マネジメントシステムに関するマネジメントシステム」ILO-OHS2001において、冒頭挨拶でJuan Somavia事務局長が「労働安全衛生マネジメントシステムが、企業の内外に持続可能な安全文化を構築する際に、またとない強力な手段を提供するものである」述べられています。
Consequently, the Guidelines provide a unique and powerful instrument for the development of a sustainable safety culture within enterprises and beyond.

このなかでさらに重要な言葉が使われています。それは「ディーセントワーク」です。
「ディーセントワーク」は、日本語に適当な訳がなく、ILOの本来の目的は、男女が、自由で、公平で、安全で、人間の尊厳を保つ条件のもとに、良質で生産的な仕事に就く機会を増進することであり、このことをディーセントワークと名付けたとしています。さらに、ディーセントワークは、安全な仕事であり、安全な仕事は、同時に、生産性と経済成長を積極的に促進する要素であるとしています。
Decent work is safe work. And safe work is also a positive factor for productivity and economic growth.

安全目標とそれに対する具体的施策に「安全文化の醸成」という言葉を使うことがありますが、いきなり安全文化を醸成することはできません。まずは、会社のトップがスローガンばかり言いまくるのではなく、自らが率先して地道に安全を全てに優先することを実践することが必要です。「安全文化」を築くには労働安全衛生マネジメントシステムを形だけでなく地道に内容を伴って行っていくことにより、達成できるといえます。

0 件のコメント: