2010年1月21日木曜日

クレーンワイヤーロープの終端処理方法



 東南アジア諸国の建設機械のほとんどが日本製や韓国製の中古であり、かなり老朽化しているものを使い続けています。機械の現場持ち込み時、セーフティ・スタッフによる検査を行っていることが多いようですが、セーフティ・スタッフは機械に熟知していないため、見落としが多いです。移動式クレーンには、荷重計やモーメントリミッターがないものまであります。

 補助フックのワイヤーロープの終端処理は、日本の中古車が多いためか、日本のクレーン構造規格に準拠したものが多いですが、この規格はASME(米国機械協会)を代表とする国際標準とは異なっているので注意が必要です。

クレーン構造規格第22条ではコッタ止めの場合は下記のようにしなければならないとされています。ワイヤーロープの終端処理を玉掛ワイヤーロープのクリップ止めの考え方を適用しています。

しかし、ASME B30.26-2004 (Rigging hardware) では、日本のクレーン構造規格のような方法は間違った方法であると示しています。理由は、ウェッジソケットを通したワイヤーロープはクサビに力がかかることによってワイヤーロープが抜けない工になっている。ワイヤーロープの端部側には荷重がかからず、クレーン本体に繋がっているワーヤーロープのみに荷重がかかる。ワイヤーロープは荷重がかかると絞られて細くなりクリップが緩む可能性があること、そして荷重のかかっているワイヤーロープをクリップで固縛すると応力的に弱点になることなどから、ASMEでは荷重のかかるワイヤーロープとワイヤーロープの端部をクリップで止めてはいけないとしています。

考え方の違いであり、どちらもおかしくない内容だと考えますが、それぞれの地域で採用する基準に従えばよいと思います。むしろ、ワイヤーロープの消耗度を確認する方が重要でしょう。中古機械の場合は、クレーンのワイヤーロープがかなり磨り減っていることが多いです。

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