2010年12月1日水曜日

溶接機の帰線

アーク溶接作業を見ていると、ぞぉーとすることがある。

アーク溶接作業にはいろんな危険性がある。感電、火傷、火災、塵肺、目のダメージなど....
そしてそれらの危険性は災害の程度の重篤度がかなり大きいにもかかわらず、作業資格は特別講習のみでよい。だけど作業員の危険性の認識度は相当低いのではないかと思われる。
溶接機には直流方式と交流方式があるが、人体への危険度は交流式のほうがはるかに高い。その理由は、人体の心室細動電流は、直流電流は交流電流(60Hz)よりもおよそ4〜5倍になっており、交流電流のほうが直流電流に比較してはるかに危険であるからだ。

建設現場においても交流溶接機は広く使われている。交流溶接機には、電撃防止装置が内臓されなければならないことになっている。しかし、ごれで災害が全て防げるわけではない。

溶接機の帰線は、原則として母材の近くになることになっているが、かなり離れたところに取る事例を見かける。海上杭打ちの杭の溶接作業を行う場合、溶接機を台船上に設置し、帰線を台船に直接とっていることがある。この場合、杭も台船も海水を通してアースされているので問題なく作業ができる。しかし、溶接工の溶接ホルダーが台船上で台船に接していない鋼材に触れて、そのときその鋼材に他の作業員が素手で触れているとき、その作業員に電気が流れる恐れがある。

また、陸上のPHC杭の溶接作業を行う場合、溶接機を杭打機に搭載し、帰線を杭打機のボディーにとる場合も同じである。PHC杭も杭打機も地盤に接していてアースされているので作業はできる。しかし、母材近くに帰線をとっていないために、電流がいろんなを通って流れる。キャタピラと敷鉄板の間で火花が出たりする。近くに可燃性のものがあれば火災の危険性もある。

溶接機の帰線を母材の近くにとっていないと、感電、火災などのリスクが大きくなる。ただめんどくさいから行いことがあるが、これはきちっと教育して習慣づけを行うしかないであろう。

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