2009年3月26日木曜日

リスクアセスメント規定の罰則

平成18年の労働安全衛生法正で第28条の二において、リスクアセスメントが努力義務化されました。

ただし、この条文には罰則規定がありません。
では、リスクアセスメントを実施しなければ、法的に何のお咎めも無いのでしょうか。

よく法令を読んでみると
 安衛法第10条(総括安全衛生管理者の職務)の五 労働災害を防止するための必要な業務で、厚生労働省令で定めるものとして、安衛則3条の2の二
危険性又は有害性の調査及びその結果に基づき講ずべき措置が規定されている。<50万円以下の罰金>

 安衛法第11条(安全管理者の業務)法10条各号の業務を行うこと。 <50万円以下の罰金>

 安衛法第17条(安全委員会)1項 調査審議事項として 三、労働者の危険の防止に関する重要事項として 安衛則第21条
二、危険性又は有害性の調査及びその結果に基づき項ずる措置のうち、安全に係るものに関すること。 <50万円以下の罰金>

 これらを遵守しないと明らかに罰則が科せられるのは明白です。
しかし、法的にどのような場合に違反となるのか明白に規定できないので罰則を外していると思われます。
 しかし、民法上の企業の安全配慮義務が、労働契約法のなかで条文に盛り込まれました。

 労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。これまで裁判の判例により判断していたのもが成文化されたものです。

その内容は
1)危険予知の義務 :職場における危険、特に働いている人の周りにある危険を予知して発見する。いわゆる「予見可能性」といわれるものです。
2)結果回避の義務 :リスクを除去したり、低減させる。残留したリスクに対して作業者にその存在などを示し、日々の活動で危険が顕在化しないように対策を取ること。
これらの具体的な対策は、危険予知活動とリスクアセスメントです。

 リスクアセスメントは、予防安全の考え方と企業の安全配慮義務を安衛法に取り込んだものであり、これを実施していないと何らかの法的処分があるのは間違いありません。また、民法の企業の安全配慮義務にも抵触し、訴訟上不利になるのは間違いありません。
 労働契約法の解説では、企業の労働者に対するリスクアセスメントの説明責任を述べています。

リスクアセスメントを努力義務ではなく、絶対に履行しなければならない義務という認識を持つべきです。

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